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地元で買い物をすることは、オンラインショッピングを避けることを意味するのでしょうか? 『Digital Commerce 360』の消費者インサイトシニアアナリスト ローレン・フリードマン氏は、「今年のホリデーシーズンでは、地元の小売店や中小企業を通じて買い物することが重要」と言います。その理由を紹介します。

コロナ禍で打撃を受けているローカル店舗

新型コロナウイルス危機で地元経済が悪化。飲食店は苦戦を強いられ、店舗が減少していっています。生き残っているように見えるのは全国チェーン店だけです。新しいテナントを求めている不動産の看板が目立ちます。

私は助けられる立場にありますし、実際に助けなければならないと思っています。全員が助け合わなければいけないのです。そうしなければ、開店している店舗がほんの一握りになってしまいます。買い物できそうな地元の店のリストを作ってみましたが、リストを作っている間にも、いくつかの店はすでに廃業していることがわかりました。自宅の周りを数マイル運転した時に目にした光景に、心底ショックを受けました。

29%の消費者が「地域社会を救うために地元で買い物をする」

地元の小売事業者も、大規模な企業と同じように苦難に直面しているでしょう。もちろん、単純な比較はできませんが、苦境を理解しておくべきです。『Digital Commerce 360』が小売事業者118社を対象に行ったホリデーシーズン事前調査では、29%の消費者が「地域社会を救うために地元で買い物をする」と話していました。ですが、地域社会を救うためには、それ以上のことが必要になるでしょう。

小売事業者118社を対象に『Digital Commerce 360』が行ったホリデーシーズン事前調査「今年のオンラインホリデーショッピングはどのように変化すると予想しますか?」に対する結果
小売事業者118社を対象に『Digital Commerce 360』が行ったホリデーシーズン事前調査「今年のオンラインホリデーショッピングはどのように変化すると予想しますか?」に対する結果(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より編集部が作成)

密接に絡み合うインターネットとローカルショップ

雑貨や衣料品を扱う「Hazel」は、シカゴで最も魅力的なお店の1つ。Webサイトを見ればメッセージは一目瞭然です。

今年のホリデーシーズンは、早めに、コンパクトな買い物を「Hazel」ですることをお勧めします。(HazelのWebサイトより)

店舗の営業時間の延長、オンラインでの品揃えの充実、そして「カーブサイドピックアップ」(道端での商品受け取り)のオプションも紹介されています。どの小売事業者のサイトでも、新型コロナウイルスへの対応を表明しなければいけません。オンライン、オフライン両方のチャネルが互いに補完し合い、状況に対応しながら結果を出しています。今まで以上に、これが地元で生き残るためのモデルになるでしょう。

「Hazel」のWebサイト
「Hazel」のWebサイト(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より)

Amazonが登場し、独立系書店はここ数年苦労してきました。その結果、多くの書店がシャッターを下ろしました。シカゴに拠点を構える書店「Women & Children First」は店舗営業を継続すると同時に、オンラインでも購入できることを消費者にリマインドしています。「Women & Children First」の店舗は、ホリデーショッピングのために利用されるだけでなく、地元の政治活動の掲示板的な役割も担っています。

「Women & Children First」の店頭写真
「Women & Children First」の店頭写真(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より)

小規模事業者は、ビジネスを獲得するためにクリエイティブになる必要があります。「Women & Children First」のように、「Barns & Noble」(※米国最大の書店チェーン)などの会員制モデルを採用している店舗もあります。年間25ドルで、消費者はチャネルをまたいで10%オフ、年間セール期間中は20%オフで買い物ができます。問題はこれで十分なのかということです。

「Women & Children First」のサイト
「Women & Children First」のWebサイト(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より)

ローカル事業者が採用すべきAmazonへの対抗策は?

ユニークな品ぞろえが成功の鍵

多くの小規模小売店を徐々に廃業に追いやっているAmazonについて質問したところ、この巨大企業に対抗する方法としてあがった上位2つは、充実したカスタマーサービスとユニークな商品やキュレーションされた商品の品ぞろえでした。

家具を扱う「Jayson Home」は、シカゴのリンカーンパークの中心部であるクリボーンアベニューにあるお店です。どこにも負けないテイストのクオリティと品ぞろえが、自宅用にもギフト用にもリピートして顧客が購入する理由です。「Jayson Home」のWebサイトは、オンラインで見かける一般的なセレクションと比較して、ギフトの品ぞろえが充実しています。店舗前の看板では、カーブサイドピックアップがオムニチャネルソリューションの一環であることが強調されています。

Amazonに対抗する方法について
「Amazonにより効果的に対抗するために何をしますか?(複数回答可)」に対する結果(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より編集部が作成)

カスタマーサービスの充実

小規模小売店には、サービスを通じてさらに一層の努力ができるチャンスがあります。これこそが、小規模小売店が生き残れる大きな理由の1つでしょう。

私は、小売事業者が既存のルールに従うのではなく、例外を作ることで新たなカスタマーサービスを生み出すのを見てきました。カスタマーサービスについて、カスタムバッグを販売する「Laudi Vidni」の創設者ローラ・コフォイド氏に話を聞いてみました。「Laudi Vidni」とは、Individualを逆に綴った言葉です。

アーミテージアベニューにある彼女のショップでは、自分の人生を自分らしく生きる人のために、高品質なカスタムレザーバッグを作っています。顧客は40以上のスタイルの中から選び、革や裏地、金具などのディテールまでカスタマイズします。

カスタマーサービスについて答えてくれた彼女の話は、顧客を大切にすることによってもたらされるパワーを物語っていました。

  • 100%の保証。顧客がバッグを気に入らなかった場合は、引き取ります。そうすることで、カスタマイズしてバッグを購入するリスクがなくなります
  • すべての注文を確認してから作ります。そして、提案や懸念事項があれば、顧客に連絡します。顧客は我々からのアドバイスを重宝し、私たちは潜在的な返品を減らすことができます
  • スタイリストが顧客との信頼関係を築き、顧客が安心して電話やメールでアドバイスを受けられるようにします。これは特にコロナ禍の間、役立ちます
「Laudi Vidni」の店内写真
「Laudi Vidni」の店内写真(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より)

消費者の心を掴むカーブサイドピックアップ

1000人のネット通販利用者を対象にした『Digital Commerce 360』とBizrate Insights のホリデーシーズン事前調査では、20%が「今年のホリデーシーズンにカーブサイドピックアップ(道端での商品受け取り)を利用する」と回答しました。大規模店舗のサービスを地域レベルで利用できるようにすれば、消費者の心に響くことでしょう。

また、今年のホリデーシーズン中に新型コロナウイルに関する新たな規制が出来た場合、カーブサイドピックアップが生き残りの鍵となる可能性があります。アパレル小売店の「Raygun」は、店舗ウィンドウのほぼ半分を、カーブサイドピックアップの告知に費やしています。

店舗ウィンドウのほぼ半分を、カーブサイドピックアップの告知に費やすアパレル小売店の「Raygun」
店舗ウィンドウのほぼ半分を、カーブサイドピックアップの告知に費やすアパレル小売店の「Raygun」(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」より)

在庫があれば増える来店

消費者は、お店に行くたびに生産的な買い物がしたいと思っています。そのため、店舗の在庫状況を知ることが不可欠です。『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った、2020年2月のオムニチャネル調査では、すでに54%のネット通販利用者が、店舗に向かう前に商品の在庫状況を確認していました。

シカゴに2店舗を構えるアパレル販売の「Uncle Dan's」は現在、規模の大きい企業の傘下に入っていますが、私は今でも地元の店舗と認識しています。ビジネスの規模は小さいながら、どの店舗に何の在庫があるかを消費者に知らせるために素晴らしい努力をしています。それを、当たり前のように行っている他の多くの店舗と競合していかなければいけない現状があります。ファッション用品を扱う「Dick's Sporting Goods」や、スポーツファッションの「REI」のような専門店が生き残るためには、このようなオムニチャネル機能が必須となっています。

「Uncle Dan’s」のWebサイト
「Uncle Dan's」のWebサイト(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」よりキャプチャ)

返品ポリシーの刷新

小規模小売事業者が直面している課題の1つは、大手競合他社が展開している無制限の返品ポリシーに対抗できないことです。地元の小売事業者は、オンライン注文で競争に勝つためには、創造性を発揮する必要があることを学びました。情報は力なりですが、時に消費者が処理できないほどの情報量になってしまうことがあります。事実をストレートに伝えなければ、すぐに大規模小売事業者に移ってしまうでしょう。

ギフトショップの「Art Effect」は、配送と返品の両方のポリシーをうまく調整しています。もちろん、伝統的なEコマース企業と比較すると制限はあります。返品は10日以内に処理される必要がありますが、長年横行しているストアクレジット(返品した品物と同金額分の商品と変更)のみの返品ポリシーとは対照的です。オンラインショッピングによってもたらされるビジネスの成長のために、柔軟な返品ポリシーは不可欠です

ギフトショップ「Art Effect」の配送&返品ポリシー
ギフトショップ「Art Effect」の配送&返品ポリシー(画像:『Digital Commerce 360』の「The Shopper Speaks: Going local」よりキャプチャ)

小規模事業者の利点は、必ずしも近場になくていいことです。この記事を書き終えようとしていたら、ユニークな雑貨を扱う「Uncommon Goods」からメールマガジンが届きました。CEOのデビッド・ボロツキー氏とは、私がEコマースに関わり始めたばかりの頃からの知り合いです。

彼は投資銀行の世界で、非常に親切な人として目立っていました。今回のメールマガジンでは、スモールビジネスに言及しながら、「Made in USA」商品を取り上げ、オンライン小売事業者がスモールビジネスを応援する方法を伝えています。オンライン小売事業者は、私たち消費者が暮らす世界に価値を提供してくれるのです。

小規模事業者のことを考えて、地元で買い物をしよう

私たちは皆、同じ状況にあることを忘れてはいけません。苦難を乗り越え、地元が成長すれば、より強いビジネスとより良い生活を手に入れることができます。ですから、大手ECサイトをクリックするだけではなく、小規模事業者のことを考え、地元で買い物をしましょう。それがあなたの人生と、近隣に住む人々の人生にとって何を意味するのかを思い出してください。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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