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2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対策

2021年6月中旬から表示スピード改善の新指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」がアップデートされます。UX・SEOの観点からも注目が集まっていますが、EC売り上げTOP200サイトの対策状況はどうなっているのでしょうか? 調査・分析を行いました

種村 和豊

2021年6月2日 9:00

「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」が、2021年6月中旬から検索エンジンのアルゴリズムでアップデートされます。Googleは、UX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」の3指標が検索ランキング決定要素の一部になると公式に発表。このアップデートは、2018年の「スピードアップデート」時以上に、SEO観点において注目すべきだと考えられています。

最新のEC・売り上げTOP200サイトを計測し、Googleが推奨する「SpeedIndex」の指標をベースに一部ランキング化。最新ランキングをベースに、各サイトの「コアウェブバイタル」対策の状況を考察しました。

「コアウェブバイタル」とは

Googleが2020年に発表した表示スピード改善のための新しい指標で、「LCP(Largest Contentful Paint)」「FID(First Input Delay)」「CLS(Cumulative Layout Shift)」の3つです。

以下の3つの要素を元に総合的に組み合わせ、UXの良し悪しが判断できるように構成されています。

  • Largest Contentful Paint (LCP):ページ表示速度を測る指標
  • First Input Delay (FID):ユーザー応答性を測定する指標
  • Cumulative Layout Shift (CLS):視覚安定性を測定する指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals LCP
Largest Contentful Paint (LCP):ページ表示速度を測る指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals FID
First Input Delay (FID):ユーザー応答性を測定する指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals CLS
Cumulative Layout Shift (CLS):視覚安定性を測定する指標

表示スピードが速いサイトは「コアウェブバイタル」対策も万全か?

計測ツール「SpeedCurve」に新しく加わった「コアウェブバイタル」対応のダッシュボードを活用して、詳しくデータを見ていきます。(参考:コアウェブバイタルズ(CoreWebVitals)をSpeedCurve内で確認する方法)

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals コアバイタルダッシュボード
SpeedCurveのコアバイアルダッシュボード。時系列での変化がわかります。

表示スピード上位20サイトのうち6サイト(約30%)が「コアウェブバイタル」の各指標で「良好」(オールグリーン)を獲得しています。

TOP200サイト全体では19サイト(約9.5%)という結果ですので、表示スピードが速いサイトは「コアウェブバイタル」対策も積極的に進めてきたと考えられます。それを裏付けるように、上位10サイトでは、4サイト(約40%)が3つの指標で「良好」(オールグリーン)を達成しています。

「daily-3」「ヨドバシ・ドット・コム」など、サイト名の背景が黄色になっているサイトが「コアウェブバイタル」の3指標すべてが「良好(グリーン)」のサイトです。数値はトップページ、カテゴリ、詳細ページの平均値を集計しています。

ECトップ200のSpeedIndexランキング上位20サイト

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
LCP(秒)TBT
(※FID
代替え指標)
CLS
1アサヒカルピスウェルネス1.381.5110100.00
2daily-3 (デイリースリー)1.391.56190.01
3ローカロ生活1.391.623480.00
4ヨドバシ・ドット・コム1.421.49460.00
5ビックカメラドットコム1.451.444560.02
6ツクモ(TSUKUMO)1.451.631000.21
7サウンドハウス1.461.47270.04
8北の快適工房1.512.381480.50
9激安!家電のタンタンショップ1.511.45280.00
10DELL公式サイト1.561.585000.17
11花王ダイレクト販売サービス1.571.3070.02
12アイドラッグストアー1.671.281520.00
13ニトリネット1.751.827540.06
14プロアクティブ+1.821.932020.38
15とらのあな1.842.341950.14
16ジーユーオンラインストア1.882.3113300.21
17オレンジブック.com1.982.061820.27
18PCボンバー1.981.9190.16
19エノテカオンライン2.001.927120.01
20フォレストウェイ2.032.78550.20

※TBT(FIDの代替指標)について
本計測はSpeedCurveのSynthetic計測サービスを利用しています。FIDはWebサイトに訪れたユーザーのリアルデータに基づく統計指標であり、仕様上精緻な計測が難しい指標です。そのため、GoogleDevelopersサイトの内容を踏まえて、FID代替え指標のTBT(Total Blocking Time)で計測、集計しています。

オールグリーンのハードルが非常に高い理由

3つの指標のうちいずれか1つで「良好」を達成しているサイトは31%~38%という割合ですが、LCP、FID(TBT)、CLSのすべての指標をクリアしているサイトは、19サイト(約9.5%)しかありませんでした。

これは各指標で「良好」(オールグリーン)を取るためのハードルが相当高いことを表しています。そもそも、上位サイトの表示スピード対策の内容は、サイトの構造やコーディング、画像リサイズ、CDNのキャッシュ対応など非常に手がかけられており、簡単には追随できないレベルです。

CoreWebVitalsの各指標とサイト数(割合)

 LCPTBT
(※FID代替え指標)
CLS
良好
(グリーン)
60サイト(約31%)72サイト(約38%)60サイト(約31%)
要改善
(オレンジ)
79サイト(約41%)46サイト(約24%)50サイト(約26%)
不良・低速度
(レッド)
52サイト(約27%)73サイト(約38%)81サイト(約42%)

※EC・売り上げTOP200サイトのうち、正しく計測できたのは191サイト

対策すべき指標の優先順位はこれだ!

すべての指標で「良好(グリーン)」をめざすべきですが、人と時間的リソースに制約がある中でどういう優先順位で対応すべきか? という疑問がわきます。

① 良好(グリーン)の割合

「良好(グリーン)」が最も多かった指標はTBT(※FID代替え指標)で72サイト(約38%)となり、LCP、CLSは同数の60サイト(約31%)でした。

② 要改善(オレンジ)の割合

「要改善(オレンジ)」ですが、最も多かったのはLCPの79サイト(約41%)でした。CLSは50サイト(26%)、TBTは48サイト(約24%)で、TBT(FID)より各指標で大きな違いが出ました。

③ 不良・低速度(レッド)の割合

最も低い評価である「不良・低速度(レッド)」が多かったのは、CLSの81サイト(約42%)です。続いて、TBTの73サイト(約38%)、LCPの52サイト(約27%)でした。この結果から、多くのサイトにCLSの課題があると予想できます。

この疑問に対するヒントは、GoogleのLighthouseのスコア変更に関する説明記事にありそうです。(参考:https://web.dev/performance-scoring/(英文))

元々「コアウェブバイタル」は、表示速度の計測ツール「Lighthouse」に採用されている指標です。「Lighthouse」における各スコアの配分(Weight)を見てみると、LCP(ページ表示速度) が25%、TBTが25%(※FID代替え指標、ページ応答速度)で、2つの指標で2分の1を占めているのがわかります。それと比較するとCLS(視覚の安定性)のスコア配分はわずか5%程度です。

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals Lighthouse6での各メトリックのスコアに対するウエイト配分
Lightouse6での各スコアに対するウェイト配分

この情報から、まずはLCPとFIDの改善を優先的に行いつつ、次にCLSを図るというステップが、最も効率的なスコア向上=UX向上につながると言えるでしょう。

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals CLSのズレを視覚化
SpeedCurveのダッシュボードで視覚化したCLSのズレ

対策難易度の高さは、FIDがトップ

対策の難易度ではどうでしょうか? Googleによると、FID(First Input Delay)とはWebサイトが表示されて実際にユーザーが操作可能になるまでの時間、インタラクティブ性を図る指標と定義されています。しかし、その推奨値は0.1秒と非常に高いレベルを求められます。

FIDが遅くなる要因はさまざまですが、表示スピード改善の経験上最も多いのが「不要なJavaScriptの読み込みと実行」によるリクエスト数の増加です。

Webサイトを運用していく中でさまざまなJavaScriptを読み込みますが、「不要になった自作のJavsScriptライブラリが残っている」「以前は使っていたが、今は使用していない販促&マーケティング用のサードパーティタグがそのままになっている」などのケースは非常に多いと言えます。

下の表は、EC・売り上げTOP200の表示スピードランキングから、リクエスト数400以上のサイトを抽出したデータです。「Amazon」など高速サイトのリクエスト数が150前後なので、400というのはかなり多い数字です。

こうした多くのリクエスト数を持つサイトの中で、19サイト中「Good(良好)」の評価を獲得したのは「ハーブ健康本舗」だけでした。このデータを見る限り「リクエスト数が多いサイトはTBTが遅い傾向があり、その結果として『Needs Improvement(要改善)』か『Poor(不良・低速)』」という評価が出てしまいます。

リクエスト数が400以上あるサイトとTBT(FID)状況

順位サイト名Speed
Index(秒)
①
RequestTBT
(※FID
代替え指標)
1アサヒカルピスウェルネス1.385601010
33サントリーウエルネス2.367001735
102富士フイルムヘルスケアラボラトリー3.67495789
126エーザイの通信販売4.224942705
127DHCオンラインショップ4.26453570
128ソニーストア4.34428437
135ヤーマンオンラインストア4.538942748
150シーオーメディカル公式通販ストア5.22408764
153MTG Online shop5.274411275
160カゴメ健康直送便5.598461403
161ハーブ健康本舗5.65544253
162アイリスプラザ5.70407837
164ピーチ・ジョン公式通販サイト6.134191474
168RUNWAY chanel6.444071404
179Maison KOSÉ8.084561147
182ビタブリッドジャパン公式通販サイト8.484471326
185マウスコンピューター9.86445429
187チャップアップ公式ショップ13.1416403345
188Hamee13.16448665

「コアウェブバイタル」対策を強く意識しなければならない理由とは

Webサイトスピード研究会の有志 (ファシリテーター/スピード研究会主催:種村和豊氏(ゴルフダイジェスト・オンライン)、加藤晋平氏(インフラレッド合同会社)、近藤洋志氏(大日本印刷))の3人で、今回の結果についてディスカッションを行いました。

ゴルフダイジェスト・オンライン 種村和豊氏(以下、種村):今回、初めて「コアウェブバイタル」の計測分析データを見て、いろいろな気づきがあったと思います。これらのデータをどのように捉えていますか?

大日本印刷 近藤洋志氏(以下、近藤):「良好」という基準をめざすためには、まず現状を正確に計測して、何からどう改善するかの道筋を考えて取り組むのが重要だと感じました。

特にリクエスト数が多いと、FIDの指標が悪くなるということが今回の調査からも見えています。不要なページリクエスト内容の精査・断捨離がFIDの改善を進める上で非常に重要ですね。

インフラレッド 加藤晋平氏(以下、加藤):これまでのGoogleの指標と異なっているのは「よりユーザ視点(UX)で、それも複数の指標でWebサイトの来訪体験を評価する」という点でしょう。

種村:一方で、CLSの「視覚のズレ」という点ではレスポンシブウェブデザインは、実装上の仕組みとして不利になってしまいます。これはショックですよね。今までGoogleに推奨されていたやり方だったのに、どういうことなのかと。

近藤:その動向が少し気になりますが、いずれははっきりと駄目になっていくのだと思います。急に駄目だといったら、みんな困ってしまいます。

「コアウェブバイタル」はモニタリングと課題対応が必要

種村:いよいよ「コアウェブバイタル」がSEO検索ランキングのシグナルに組み込まれていきます。今回の調査データから、各サイト対応状況をどう感じましたか?

近藤:表示スピード上位TOP10に関しては想像通り。「コアウェブバイタル」の各指標に関しても高い水準で「良好」なので、表示スピード改善とあわせて「コアウェブバイタル」の指標もモニタリングが必要だと再認識しました。

加藤:今回の「コアウェブバイタル」の対応は、フロントエンドの実装やそれを支えるインフラアーキテクチャ含めて、きちんとモニタリング・課題対応しないといけないと改めて感じました。「コアウェブバイタル」は「Webサイトの顧客体験指標」なので、ごまかしが効きません。

種村:難しいのは、「コアウェブバイタル」ではSpeedIndexのように絶対評価がしにくい点です。2つが「良好(グリーン)」でも残りが「不良・低速度(レッド)」だと大きく違いがでる。今後、評価ランクを見極めて総合ランク付けをしてくことも、わかりやすさのためには必要かもしれません。

まとめ

当初、「コアウェブバイタル」は2021年5月中旬に開始される予定でしたが、6月中旬に延期になりました。とはいえ、今回のEC・売り上げ TOP200サイトの計測データから、売り上げの大きい・表示スピードの感度が高いECサイトは、「コアウェブバイタル」対策準備が完了しているサイトが多いことがわかりました。

FID、LCP、CLSの3つ指標に関しては「さらにWebサイトの顧客体験をより良くすべき」という、Google社の強い意思を感じます。我々はサービスを提供する側として、顧客の来訪体験をより良くするために、「コアウェブバイタル」にきちんと向き合うことが大事だと再認識しました。

◇◇◇

今回の「コアウェブバイタル」ランキングの完全版データは、スピード研究会の研究記事を掲載・公開しています。ご興味ある方はこちらの「売り上げTOP・EC200サイトのCoreWebVitalsデータ完全版」からご確認ください。

この調査について

本記事の「コアウェブバイタル」の基準値はGoogle社情報「ウェブに関する主な指標レポート低速なサイトを修正してユーザー エクスペリエンスを改善する」に準拠した形をとっています。

 Good
(良好)
Needs
Improvement
(要改善)
Poor
(不良・低速度)
LCP2.5 秒以下4 秒以下4 秒を超える
TBT
(※FIDの代替)
300 ミリ秒以下600 ミリ秒以下600 ミリ秒を超える
CLS0.1 以下0.25 以下0.25 を超える

従来の一般的な計測ではアイドルタイムと呼ばれる、購入客が少ない午後の時間に計測されることが多く、朝、昼、夜のピークタイムや、土日の計測がほとんどされていませんでした。例えば、メルマガやLINEなどでキャンペーン情報を送った時にサイトがどんな状態になるのかを、ほとんどのEC事業者が知らないのが現状です。

今回の調査では売れている時間帯のコンディションを把握するために、12:30、18:30、22:30の1日3回、比較的高負荷の時間で実施しました。1サイトにつきトップページ、リストページ(カテゴリページ)、商品詳細ページの3つのURLを計測対象としました。

本記事、計測データの指標について

①「Speed Index」……Googleが発表したパフォーマンス指標。ブラウジング開始後、経過時間あたりのファーストビューが何秒で表示されるかを総合的に算出したもの。本計測、分析を行っているスピード研究会では最低目標値 4秒台、推奨値4秒以下を推奨しています。
(参考:(スピード研究会)SpeedIndexの基本合格基準、5秒から4秒の引き上げを決定!!)

誤差や数値の違いについて

今回の計測は、12:30、18:30、22:30の1日3回という、ECサイトにおいて比較的高負荷とされている時間帯に行いました。従来の計測結果と乖離があるとすれば、この時間滞とアイドルタイムの違いが一番の違いとなります。

調査概要

調査期間:2021年2月22日(月)12:30 ~ 2021年3月8日(月)12:30までの14日間

調査対象:EC・売り上げTOP200のサイト対象に関しては、2019年度のネット通販売上高、上位200社のECサイト(日本流通産業新聞社「ネット経済研究所」 [2020年版]ネット通販売上高ランキングTOP480データ)を参考にしています。

調査範囲:1サイトにつき①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページの3つのURL(サイトの構成上、該当ページがなく測定できなかったサイトもあり、実際に計測したのは①195URL、②195URL、③195URLの計585URL。リストページと商品詳細ページが同一のため②③に同一ページで計測したのは3URL)。当該サイトURLは、検索エンジンによる検索結果から移動できるURLを用いた。

①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページ、それぞれの中央値(median)を平均したものをサイトの代表値とする。

※アスクルの2サイト(ASKUL、LOHACO)は別サイトとしてそれぞれ計測

※ゲオショップの2サイト(セカンドストリート、ゲオショップ)は別サイトとしてそれぞれ計測

※ログインや会員登録が必要、モール出店のみ、スマーフォン対応サイトがない場合などは計測対象から除外、EC・売り上げTOP200企業サイトの内、外部から正常計測が確認出来た191サイトを本計測、分析の対象としています。

計測時間:12:30、18:30、22:30の1日3回

測定プロファイル:Apple iPhone X(4G LTE)

1回当たりの計測数:3 checks

計測回数:585URL × 1日3回 × 3checks × 1デバイス × 14日間 = 73,710回計測

エミュレート回線品質(4G):ダウンロード 11.7Mbps/アップロード 11.7Mbps/レイテンシー 70ms

サイト調査実施:レポート/Web表示スピード研究会 種村和豊 調査解析/村岡温子、畑山真治 協力/Web表示スピード研究会(インフラレッド 加藤晋平、大日本印刷 近藤洋志) 監修/ドーモ 占部雅一

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