大村 マリ, 995[イラスト] 2022/2/14 8:00

「ネットショップ道場」第2回のテーマはSEOの基礎。講師はSEOに強いデザインファミリー 取締役事業本部長の大谷将大さん。ネットショップ運営に携わる方であれば、Google検索で1位を取るのは目標の1つではないでしょうか。キーワードの種類や評価される要素などについて教えていただきました。筆者も正直、SEOはどこから手を付ければいいのかわからなかったので、この講座でそのコツをつかむことができました!

知っておくべきGoogle検索の基本的な“思想”

大谷氏大谷氏

SEOにかける時間やリソースがなかったり、サイトの認知度が低いという環境でも、時間をかけてGoogleの考え方を理解して上手くコツをつかめば、順位が上がりやすくなり、結果としてアクセスは増えていく

自社サイトのコンテンツを考える際、ユーザーのニーズをコンテンツ化することはもちろん大切ですが、Google検索の基本的な考え方を知った上でコンテンツを考えることも重要です。Googleの基本とは、ユーザーが検索したキーワードと最も関連性が高くて有用なページ、そのユーザーに対して役立つと思われるページを検索結果の上位に表示するということです。

Web上に存在する情報の量を考えると、何か情報の整理を助けてくれるものがなければ、必要な情報を見つけるのは不可能に近いでしょう。Googleのランキングシステムはそのために設計されています。検索インデックスに登録されている膨大な数のWebページを分類し、最も関連性の高い有用な結果を瞬時に検索して、探している情報を見つけやすい形でユーザーに表示します。

Google検索「検索アルゴリズムの仕組み」より

Googleの検索アルゴリズムは、この基本的な考え方に基づいて開発、調整されています。2020年から続く新型コロナウイルスの影響など世の中の流れに関しても、Googleはアルゴリズムを調整しているそうです。クエリ(ユーザーが検索したキーワード)、ページの関連性や有用性、ソースの専門性、ユーザーの位置情報なども検索結果の変動要因になります。

SEOで大事なのは「最も関連性の高い有用な結果」となるコンテンツであることがわかりました

大谷氏大谷氏

ユーザーの検索意図をくみ取って、注力したいキーワードの意味を説明するようなコンテンツにすると検索順位が上がる。それはGoogleのアルゴリズムが関連性の高い情報を探そうと動き、いろいろな軸で言葉の意味を解析しているから。

「関連性が高くて有用」なコンテンツになるには?

では上位表示させたいキーワードをサイト内にたくさん入れれば良いかというと、そう単純な話でもないそうです。たとえば、スマホケースを扱っているショップで「スマホケース」というキーワードで検索1位を取りたいとします。

そのために、サイト内に「スマホケース」という単語をたくさん入れ過ぎると、逆に「過剰な最適化」と判断され、順位が上がらないことがあるそうです。

以前は単純な変更で順位が上がっていた時代もあったようですが、今や検索エンジンは「キーワードから意味を解析するもの」へ変化し、企業評価的なものや運用年数といったサイトの信頼性、誰が何を発信しているのか、SNSや他のメディアで言及されているか、ユーザーレビューがあり、管理者からの返信などコミュニケーションが取れているか、Googleビジネスプロフィールにユーザーにとって役立つ企業情報や投稿がされているか……などなど、さまざまな軸からコンテンツを評価しているのです。

最適な回答を返すためには、検索の意図を把握することが大切です。関連性の高い情報が含まれているページを見つけるために最初に行うのは、検索クエリに含まれる単語の意味の分析です。Google では、どの単語をインデックスで検索する必要があるのか解釈するための言語モデルを構築しています。
Google検索「検索アルゴリズムの仕組み」より

ここまでで、

  • コンテンツの文章内に強化したいキーワードと関連性が高いキーワードをちりばめると良い
  • でもキーワードを文章に入れるだけでは検索順位の上昇は難しい
  • キーワードの裏側にある検索意図に合わせたコンテンツを作るのが非常に大事

ということがわかりました。

ユーザーのニーズからコンテンツの方向性を探る

「スマホケース 人気」や「観葉植物 おすすめ」など、ユーザーが検索している検索クエリについて、Googleはユーザーのニーズを「know(知りたい)」「go(行きたい)」「do(したい)」「buy(買いたい)」の4つに分類しています。

Googleによる検索の4つのモーメント
Googleが定義する検索の「4つの瞬間」

「順位を上げたいキーワードがどれに分類できるかを知ることで、ページの中に書くコンテンツが変わる」と大谷氏は言います。ここでも検索する人の意図を理解することが大事になるとのこと。

たとえば、「○○が買いたい」と思って検索してきたなら、ページ内に類似商品の比較検討表があれば購入につながったり、検索順位が上がったりすることがあるからです。

実際に順位を上げるには、コンテンツをいかに磨いていくかが勝負。「キーワードの種類を見極められれば、コンテンツの方向性を決めるのは比較的スムーズに作業を進められるようになる」とのこと。といっても簡単ではなさそうですが、まず方向性を決められるのは大きいですね。

地味に大事なカテゴリの整理

次に知っておくべきことの1つが「サイトの構造」です。サイトのコンテンツはGoogleのロボットによって調査され、さまざまな角度から順位付けされています。そのため、ロボットが読み取りやすいサイト構造であることが重要だそうです。理想は上がトップページで、下にカテゴリ、その下に商品ページというように、階層(ディレクトリ)が広がっていくピラミッド構造です。

ディレクトリが整理されていないサイトと、ディレクトリが整理されているサイト

カテゴリの整理を行い、そのカテゴリに合わせたページを作ると、ユーザーにとってもロボットにとっても探しやすい状態になるため、カテゴリの整理は大変重要と言えます。ただ、すでにオープンしているサイトの場合、サイト構造を変えるとURLが変わってしまうため、Web制作会社などの専門家に相談するのがおすすめとのことです。

大谷氏大谷氏

リニューアルや新規サイトの立ち上げの際に意識して見直したり、制作会社にディレクトリマップから作成してもらったりすると良い。ブログも同様に、カテゴリをしっかり作って記事を作成すると良い。これが地味に重要。いろいろなキーワードで1位を取りたいのであれば、階層構造は意識すべき。

サイト構造まで何となくわかったかなというところですが、すでにやらなくてはいけないことが山積みです…… ^ ^ ;

実は重要なロングテールキーワード

ロングテールキーワードとは、3語や4語の複数単語の掛け合わせで構成される検索クエリのこと。例えば「みかんジュース 通販 おすすめ 人気」など。

図 ロングテールキーワード
ロングテールキーワードとはビッグワード以外のあまり検索ボリュームが多くないキーワード

基本的にキーワード数が少ないと検索ボリューム(検索された回数)が多く、キーワード数が多いと検索ボリュームは少なくなります。実際に私たちが検索する時も、なるべく少ない単語で探したい情報にたどり着こうとしますよね。ロングテールキーワードは「あまり多くの人が検索していないキーワード」と言い換えることもできます。

では、ロングテールは放置しておけば良いのかというと、そういうわけではありません。ロングテールになればなるほど、つまりキーワード数が多ければ多いほど、ユーザーの検索意図が明確になります。

たとえば「みかんジュース 通販 おすすめ 人気」で検索する人は、「みかんジュースを通販で購入したくて、そのために人気の商品を知りたいんだな」ということがイメージできます。

検索結果から明確な意図を持ったユーザーを自社のサイトに連れて来ることができれば、自社のお客さまになってもらえる可能性が高いということです。

ロングテールキーワードが検索されいてる場面は多く、コンテンツがユーザーニーズを満たし、関連性が高いものであれば、Googleが評価を上げるという特性があります。しかし、いろいろなキーワードを網羅していかないと、本当に上位を取りたいキーワードも取れないとも言えます。

大谷氏大谷氏

ビッグキーワードはまず権威性、専門性、信頼性が必須。そのためにはまずミドルキーワードをねらえる位置までサイトの評価を上げる必要がある。自社サイトの立ち位置を知った上で、まずロングテール対策をして、ミドルキーワードを上げていく必要がある。

ロングテールキーワードから取り組むと、結果としてサイトの評価が上がったり、意外なキーワードから売り上げが増えたりするので、サイト全体が強くなると言います。ある程度集客できて売り上げも上がったタイミングで、ビッグワードやミドルキーワードを狙っていくべきだとのことです。

そのためには地道にコンテンツを磨いていくしかありません。たとえば、商品の特徴をより細かく伝えたり、より見栄えの良い写真に変えたり、文章の表現を変えたりするなど。長い目で見て、そうした積み重ねでミドルキーワード、ビッグキーワードが取れていくイメージで、ドメイン全体の中長期的な改善に取り組むというのが良いようです。

大谷氏大谷氏

ロングテールの意味や内部リンクの仕組みを理解しておくと、本当に欲しいお客さんを誘導したり、売り上げにつながるお客さんをコントロールできたりするようになる。サイト全体で検索意図を満たすために時間をかけてコンテンツを作る必要がある

SEOでやるべきことは他にも……

他にもSEOで重要なことはたくさんあります。たとえば内部リンク。ユーザーにとって使いやすいサイトにするためにも、またGoogleのロボットが新しいページを発見できるようにするためにも、サイト内のページへ適切にリンクを張ること、リンクのアンカーテキストにリンク先の内容を端的に説明する文言を記載することは重要です。

他にもページの表示速度(点数ばかりを意識しがちですが、ユーザー体験がかなり重要)や、スマホやタブレットで見たときの見やすさ(モバイルフレンドリー)、どれだけ多くの外部サイトからリンクを張られているか、ユーザーの役に立つポジティブ/ネガティブな情報を含むオリジナルコンテンツであること、更新頻度などもランキング要素になっているのではないかと言われています。

たくさんの評価基準があると諦めたくなる気もしますが、目的は「関連性が高くて有用」なコンテンツになることです。ユーザーが満足できるコンテンツをきちんと書いていくことが、結局は一番の近道のようです。

「記事なら毎日書いているけど、どこを改修していいか分からない」という場合は、たとえば商品詳細ページに専門家のアドバイスを入れるとか、ユーザーアンケートをもとにブログページに売れ筋商品ランキングを作ってみる、メリットとデメリットをしっかり明記するというように、切り口を変えてみると良いとのことでした。

また、こうした修正によってページへの流入がどう変化したのか、Googleアナリティクスを確認することも重要です。KPIとして定めるのも1つで、知っておくだけでコンテンツの修正に生かせます。

今回の言葉

大谷氏大谷氏

コンテンツが最重要なのは間違いないが、コンテンツ以外にも見なければいけない項目が数多くある。サイト構造やリンクの調整、ロングテール対策がいかに重要かがわかったと思う。こうした地道な施策を妥協せずにやり続けるサイトが、勝っているサイトと言える。

今回の講座では、「Googleロボットがどういったところを見るのか」を理解して、検索順位を上げるためにロボットに理解されやすいサイトやページ作りの考え方を学びました。ついサイト全体の流入アップに目が行ってしまいますが、それこそビッグワードをいきなり取りにいくのは至難の業ですね。今回もここでは伝えきれないほど多くのことを学び、改めてSEOの難しさ、奥の深さをひしひしと感じています。

次回のテーマは「サイト内行動分析編 CVに貢献しているカテゴリ・商品ページを知る」で、実際に自社サイトの評価をするための分析を中心とした講座です。お見逃しなく!

つづく
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