進化のスピードが早いデジタルコマース市場を攻略することは、いつの時代も困難です。直面しているコスト削減へのプレッシャー、サプライチェーンへの懸念、移ろいやすい顧客ロイヤルティを考えると、今はさらに難しい状況と言えるでしょう。

次のSearsにならないために

私はよくクライアントに、「次のSearsにならないで!」と警告しています。Searsのような小売りの大企業が全国で店舗を閉鎖するように、リーダーが迅速に対応しなければ、デジタルコマースの犠牲者になる危険性があります

小売企業のほとんどは、自分たちが変わらなければならないことを自覚すると同時に、新型コロナウイルスの大流行はコントロールできないことを理解しています

コンサルティング企業McKinseyの調査はこの事実を裏付けています。小売企業の経営幹部の90%以上が、コロナ禍によって今後5年間のビジネスのあり方、消費者の行動が根本的に変わると答えています

消費者はこれまで以上にオンラインに移行し、コロナ禍が去った後もオンラインに留まるという方向性が明確になっています。進化の早いデジタルコマース市場を攻略することは、いつの時代も困難です。

しかし、現在直面しているコスト削減へのプレッシャー、サプライチェーンへの懸念、移ろいやすい顧客ロイヤルティを考えると、さらに難しい状況になると言えるでしょう

小売企業の経営者の多くは、これからが自身のキャリアのなかで最も困難な時期になると考えています。しかし、前進する方法はあります。実際に私は、進化する企業を見てきました。

新しいビジネス環境において、「コンポーザブル・コマース」(既存のプロセスやインフラに合わせて柔軟に構築するコマースビジネス)が、小売事業者がより大きな視点で考える機会を提供するでしょう。つまり、モジュール式のアプローチを用いて、規模を拡大し、価値実現までの時間の短縮、コストの削減を推進するのです。

デジタルコマースが変わる

コロナ禍で、ネットショッピングをすることが多くなりました。毎週の食料品から、家で過ごす時間を埋めるための最新のベストセラー「必読書」まで、ECが私の買い物場所になりました。

その結果、実店舗の売り上げは減少しましたが、デジタル消費は大きく伸びました。そして、この傾向は続いています。コロナ禍の危機的段階を脱した今でも、私は多くの買い物をWebやアプリで行っています。

それは私1人ではありません。ある試算によると、米国の消費者は2021年に933億ドル以上をオンラインで消費し、前年比約18%増になるそうです。小売業全体の売上高の15%以上をデジタルが占めることになります。

家具やヘルス&パーソナルケアなど、20%以上成長している分野もあります。オンラインで取引できるものはすべて、いずれオンラインで販売されるようになるでしょう。成長率は当分鈍化しないと思われます。

食料品のオンライン販売に関しては、米国はフランスや英国などの成熟した市場から大きく引き離されており、コロナ禍前の食料品のオンライン売上はわずか3~5%という調査結果もあります。しかし、コロナ禍の最中にはその数字が20〜30%にまで上昇しました。

コロナ禍でオンライン化が5年早く進み、現在では10%程度に落ち着いています。消費者は、他のカテゴリーにおいても、オンライン購入に対する従来の消極性を克服しつつあります。Googleによると、消費者の3分の1以上が、これまでオンラインショッピングで購入したことのない商品を購入するようになったそうです。

現代の消費者は、企業が長年提供してきたような静的なウェブ体験だけを求めているわけではありません。モバイルコマース、組み込み型VR/AR、動画、音声、その他のイノベーションにも注目しているのです。

小売事業者は、消費者を魅了し、ショッピング体験を向上させるために、技術革新を活用するようになっています。バーチャル・ヘッドセットや動画などを使って、買い物リストにある商品をより身近に感じることができれば、消費者は触れたりできない商品でも積極的に購入するようになるでしょう。

中国の未来に目を向ける

小売業が今の勢いを持続させるためには、さらなるイノベーションが必要です。これは、あらゆる規模の組織に当てはまりますが、特にコロナ禍で大挙してオンラインに移行した個人商店に当てはまります。

大手小売企業やマーケットプレイスプロバイダーから突き上げられている小規模な地元企業は、米国の小売業界を支える屋台骨です。それらの企業は、他では得られないサービスを消費者に提供するとともに、全国で何百万もの雇用を生み出しています。しかし、ほとんどのビジネスがオンライン化されている分野では、もはやデジタル化だけでは十分ではありません。

では、何が必要なのでしょうか。デジタルコマースの未来が垣間見れるのは、米国ではなく中国であることが多くなってきています

Tencentは、WeChatのようなソーシャルメディアプラットフォームと連携し、小売事業者がバーチャルストーリーを構築しやすくしています。またAlibabaは、EC戦略の一環として動画を活用することを推進しています。

私は、小売事業者にアドバイスをする際、大手と差別化するために動画から始めることを勧めています。ライブストリーミングや録画されたコンテンツをサイトに埋め込むことで、消費者が商品と触れ合う、別の方法を提供することができます。

ライブストリーミングの場合、消費者はリアルタイムで質問し、商品やその背景について知ることができます。また、コンテンツ内のリンクから決済ページへ直接誘導し、コンバージョンを最適化することも可能です。

米国の消費者の約3分の2(62%)が、オンラインで見つけた商品を確認する際に、写真やビデオに頼る可能性があると回答しています。

2025年までに米国家庭の4分の3がスマートスピーカーを所有すると言われていますが、ボイスコマースも中国で普及した技術であり、米国の小売事業者にとっても十分なビジネスチャンスとなります。

他の多くの人と同様、私も携帯電話やスマートスピーカーに話しかけて購入したり、調べ物をしたりすることに慣れました。電話やテレビなどのスマートデバイスに搭載されたAI技術により、消費者は商品やレビューを検索したり、買い物リストを作成したりすることができるのです。

消費者の約半数が、すでに音声コマンドを使ってオンラインで商品を購入していると言われています動画、ライブチャット、そして最終的にはARやVRも含め、重要なのはリテール体験全体がシームレスに統合されることでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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