Amazonなど大手へ対抗するには商品詳細ページのクオリティ向上が重要なワケ。4000人に聞いた最近の消費行動
商品ページに掲載する徹底した商品情報と優れた画像で、消費者の購買意欲が高まるかどうかが決まります。
5割近くの消費者「詳細な商品情報を提供していない場合、そのお店では購入しない」
オンラインショッピングの利用者は、お得な買い物をしたいと思う一方で、自分が手に入れる商品を詳しく確かめたいと考えています。
eコマーステクノロジープロバイダーのSalsifyが行った調査(米国、英国、ドイツ、フランスの消費者4000人以上を対象に実施)によると、米国の消費者の46%は、小売事業者がオンラインで詳細な商品情報を提供していない場合、そのお店では商品を購入しないと回答しています。
また、米国の消費者の30%が、画像がない場合や画質が悪い場合は商品の購入しないと回答。そして70%は、商品ページでいかに便利か、あるいはいかに自分のライフスタイルに適しているかが示されると商品を購入する可能性が高くなると答えています。
「商品ページのクオリティは、オンライン販売にとどまらず、さまざまな分野に影響を及ぼす」と話すのは、Salsifyのコーポレート・マーケティング担当副社長であるピーター・クロスビー氏。商品ページのクオリティは、消費者がその店舗で購入するかどうかに影響するのです。
商品リサーチをする際、店舗で商品を比較する消費者がわずか10%であることが一因にあげられます。多くの消費者は、小売事業者のWebサイト(42%)や検索エンジン(25%)などのインターネット情報を頼りにしているのです。
また、消費者は店舗で買い物をする際にも、ネット情報を利用して価格比較やクーポンの検索を行っています。ほとんどの消費者は、複数の小売店の価格を比較したり(59%)、クーポンコードをチェックするためにWebを利用(54%)。37%は実店舗での買い物中にオンラインで商品情報を確認したと回答しています。
調査対象となった米国の消費者のうち40%は、商品購入は「店頭で買う可能性が高い」と答え、店頭購入が商品購入の選択肢のトップとなっています。
しかし、数字を合計すると、オンラインチャネルは47%を占めます。米国の消費者のうち、35%が「小売店のウェブサイトから購入する可能性が最も高い」と回答し、12%が小売店のアプリで購入する可能性が高いと答えています。
信頼性の大切さ
調査対象となった米国の消費者の46%が、信頼できるブランドからの商品であれば、同様の商品に対してより多くの金額を支払っても良いと回答しました。2021年の調査ではその数字は30%にとどまっていました。
ただ、送料の割引と引き換えに多く支払うと答えたのは30%にのぼっています。より速い配送と引き換えに多く支払うと答えたのは29%です。クロスビー氏はこう言います。
消費者は、小売事業者のWebサイトにアクセスする際、自信を持って購入したいと考えています。オンラインであろうと、店舗であろうと、商品を調べている時は自信を持って購入できる情報を探しているのです。それを提供できない小売サイトは、提供できているサイトに顧客を奪われることになるでしょう。
クロスビー氏は、今回の調査結果から、小規模な小売事業者がAmazonのような巨大企業に対抗するにはどうすればよいかが明らかになったと付け加えています。
小規模な小売事業者が持つ最大の強みは経験です。消費者は商品ページの商品情報を「真実の拠り所」として見ているため、企業は商品の詳細を深く掘り下げた情報を提供し、質の高い商品画像を提供することで優位に立つことができます。特に、購入者がその商品をどのように使用・着用するかを画像で示すとより効果的です。
オンラインショッピングの利用者にとって、詳細な情報はより適切なコンテンツになるとクロスビー氏は言います。そのため、ファッションモデルではなく、一般的なアメリカ人のような「People like Me」(私のような人達)と呼ばれるモデルを起用するよう、アパレル小売事業者に提案しています。
消費者行動を変えたコロナ禍
調査によると、米国の消費者のうち、コロナ禍によって買い物習慣が変化しなかったとする人はわずか34%でした。
残りの人々は、コロナ禍前よりもオンラインで買い物をするようになった(43%)、割引サイトで買い物をするようになった(9%)、オンラインで購入して店舗で受け取るなどのオムニチャネルサービスを利用するようになった(8%)などと回答しています。
また、コロナ禍前よりもオンラインでの買い物を減らし、実店舗での買い物を増やしたと答えた人は5%でした。
オンライン購入への移行は、食料品カテゴリーで最も顕著です。調査対象となった米国の消費者のうち、67%がコロナ禍以前は食料品のオンラインショッピングをしたことがないと回答。現在では、ほとんどの消費者が食料品の少なくとも一部をオンラインで購入しており、そのうち15%は食料品をオンラインのみで購入しています。
国による違い
今回の調査では、多くの消費者が購入前に商品の調達方法や持続可能性を気にしていることがわかりました。
しかし、リサイクルに関しては、調査対象となった4か国間で大きな違いがあります。米国では、33%の消費者が購入前に商品やパッケージのリサイクル情報を確認すると回答したのに対し、ドイツでは53%、フランスでは44%、英国では31%でした。
その他の顕著な国の違いは以下の通りです。
- 2021年末にサプライチェーン不足の影響を受けたアメリカ人は40%。フランス人は19%、イギリス人は28%、ドイツ人は29%にとどまっています。
- フランス人はブランドサイトで直接購入する可能性が最も高く、26%が2023年も同じように買い物すると回答。これに対し、英国の消費者は19%、ドイツ人は15%、米国人は13%にとどまっています。
- 各国とも、プライベートブランド商品を選ぶ理由として、価格の安さをあげる消費者が多い。米国では調査対象者の37%が、プライベートブランドへの愛着がそのブランドに対するイメージに結びつくと回答。一方、同じ設問に対し、イギリス人は8%、ドイツ人は13%、フランス人は14%にとどまっています。