ZOZOグループ初の海外出展。世界に発信したZOZOの最新テクノロジーとは
ZOZO NEXTは米国テキサス州で開催された「SXSW 2022」(サウス・バイ・サウスウエスト 2022/3月13日〜3月16日)の「CREATIVE INDUSTRIES EXPO」(クリエイティブ・インダストリーズ・エキスポ)に出展。ファッションの未来を描いたコンセプトムービーや最新のテクノロジーなどを世界の先端テクノロジーの関係者やファッション関係者に披露した。
「SXSW 2022」は1987年から30年以上開催されている世界最大級のテクノロジーと音楽・映画に関するイベント。ZOZOグループが海外の大規模イベントに出展するのはこれが初めて。ZOZO NEXTブースのコンセプトは「UNVEIL THE FUTURE OF FASHION TECHNOLOGY」(ファッションテックの領域のヴェールを取り払う)。ZOZO NEXTが世界に公開した最新テクノロジーを紹介する。
西陣織と最先端技術のコラボ「スマートテキスタイル」
300年以上の歴史を持つ西陣織の老舗、株式会社細尾の伝統工芸技法と、東京大学とZOZO NEXTが開発した先端テクノロジーを掛け合わせ、日本古来の美しさと機能性を両立したスマートテキスタイル作品の展示を行った。
温度で色が変わる西陣織「Wave of Warmth」(海外初公開)
「Wave of Warmth」は、周囲の温度で色が変化する西陣織。元の色は黒だが、周囲の温度が25度以上になると特殊な染料が反応して青色に変色し、柄が浮かび上がる。
通電すると光る「Woven Glow」(国内外初公開)
紐状の有機ELを織り込み、通電すると発光する西陣織。昨年4月に京都で展示した作品を3色で発光する仕様にアップデートした。発光のアニメーションは30FPSで設計可能。
染色と退色を繰り返す糸「Drifting Colors」(海外初公開)
緯糸に特殊なチューブを織り込み、染色と退色を何度も繰り返すことを可能にした西陣織。色水に浸すことで植物が水を吸い込むように染色し、無色の水に浸すと吐き出すように退色する。
「バーチャルヒューマン」でバーチャル試着
「バーチャルヒューマン」はデジタルサイネージを使用したインタラクティブなデジタルコンテンツ。顔写真を撮影後、スタイル(ジェンダー)、身長、体重を入力するだけで画面内にバーチャルヒューマンを生成できる。デジタル化されたいくつかの衣服の中から好みのものを選択すると、実際に試着をしているかのようなバーチャルフィッティングを体験できる。
現実世界の自分の身長や体重とは異なるデータを入力し、理想の自分に出会う体験者も多く、バーチャルならではのファッションの楽しみ方が見られた。作成したバーチャルヒューマンをSNSにアップする来場者も多く、ブース内で一番の盛り上がりを見せたコンテンツとなった。
今回の展示は技術デモであり現時点で実用化の予定はないが、ZOZOではファッションの新たな可能性を模索し、表現するプロジェクトとしてバーチャルヒューマンユニット「Drip」を2021年2月に発表している。「今後は、お客様一人ひとりに最適なモデル、着こなしを提供するパーソナライゼーションの構築にも力を入れたい」とコメントした。
ファッションの未来を描いたコンセプトムービー
ファッションの未来を描いたコンセプトムービー『THE FUTURE OF FASHION』を会場内と特設サイトで公開。現在は先端テクノロジーと呼ばれる「XRテクノロジー」や「スマートファブリック」といった技術が日常に溶け込んだ未来の世界を描きつつ、ZOZO NEXTの今後の取り組みを期待させる内容。
ZOZO独自の計測テクノロジーの展示
「ZOZOSUIT 2」をはじめ、ZOZOグループがこれまでに開発した計測テクノロジーの展示も行われた。計測者数が200万人を超えた足の3D計測用マット「ZOZOMAT」(2022年1月末時点)や、計測者数110万人超のフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」(2022年1月末時点)、ブルガリ ジャパンで2021年11月に期間限定で配布をおこなったテ指の計測ツール「ZOZOMAT for Hands」を展示した。
ZOZOではこれまでZOZOTOWN用に開発した数々の計測技術を、海外を中心とした外部企業にライセンス提供するビジネスに参入することを今年度の重要な方針として掲げている。 今回の「SXSW 2022」への出展理由は海外のパートナー候補企業へアプローチする目的もあったという。
新たなビジネスやコラボレーションにつなげたい
ZOZO NEXT 代表取締役の金山裕樹氏は、今回の出展について下記のようにコメントした。
今回の出展ではパートナー企業の協力を得て、日本古来の意匠である西陣織を使用したスマートテキスタイルや、バーチャルヒューマン生成体験のプロトタイプ作品など、国内外初展示作品を含む複数作品を展示しました。
プロトタイプ作品を実際に展示し、我々が持つ技術に対してグローバルな多くの来場者からフィードバックを得られたことは、非常に大きな財産となりました。我々にはなかった視点や発想、活用方法を提案してもらい、今後の展開のヒントをもらうことができたと思っています。また、ここでの出会いから新たなビジネスやコラボレーションへと繋がっていくことにも期待しています。