【食品通販・EC市場】2021年度は2.9%増の4.4兆円、2022年度は4.3兆円と予測
矢野経済研究所が実施した食品通販市場に関する調査結果によると、2021年度の食品通販市場は前年度比2.9%増の4兆4434億円となった。
2020年度の新型コロナウイルス感染拡大による特需(巣ごもり需要)が発生した反動減が懸念されたものの、2021年度もコロナ禍での営業時間短縮や行動制限が継続。食品通販に対する需要は高止まりが続いた結果、続伸した。
内訳は、ショッピングサイトが40.5%、生協(班配+個配)が35.1%、食品メーカーダイレクト販売(直販)が17.1%、ネットスーパーが4.8%、自然派食品宅配・通販が2.5%。
2020年度とは異なるトレンドも見られた。生活必需品のまとめ買いや家飲みの需要増加といった傾向から、在宅時間を充実させるために、普段より高品質なグルメ商品やスイーツを通販でお取り寄せして楽しむといった消費が拡大。併せて、新規参入事業者が急増したことも食品通販市場の拡大につながったとしている。
食品ギフトといえば従来、化粧箱に入ったゼリーや羊羹などの菓子類を中元歳暮などの進物として贈るということが一般的だった。だが、近年は普段より“ちょっといいもの”“グルメ商品”を、お世話になった人や親族などに贈るといった食品ギフトの需要が拡大している。
また、2020年のコロナ禍以降、特にシニア層を中心に外食や旅行を控えて自宅で食事を取る機会が大幅に増加。ただ、普段の食事だけでは飽きもくるため、グルメなおかずを通販でお取り寄せし、自宅で楽しむという消費行動が加速している。
これまで通販に取り組んでこなかった有名店・人気店も通販での食品販売に取り組むようになり、食品通販市場にグルメ商品が増えたことも追い風になったと見られる。
2022年度はコスト上昇などが逆風
2022年度もコロナ禍の収束はいまだ見えない状況ではあるものの、行動制限は解除されていることで、過去2年間の特需の反動減の兆しが見られる。
また、新規参入も前年度に比べてやや落ち着いているほか、既存の通販事業者においても物価やエネルギーコストの上昇などに伴い、収益確保に向けて販促費を絞っており、コロナ禍で特に好調に推移してきた高単価な食品に関しては逆風となっている。
値上げで消費者の節約志向が強まっていることもあり、お得感のある商品の需要は底堅いものの、2022年度の食品通販市場規模は前年度比2.4%減の4兆3,374億円と縮小に転じると予測している。