通販新聞[転載元] 2023/1/26 7:00

2023年のバレンタイン商戦がスタートした。コロナ禍で停滞気味だった同商戦も2023年は大分、元に戻ってきているようで、通販実施各社の初速の売れ行きも悪くないようだ。百貨店各社のネット販売や仮想モール、通販事業者各社の今年のバレンタイン商戦のトレンドと出足の状況をみていく。

 百貨店各社は“お試し”ニーズに対応

大丸松坂屋は15%増収を計画

大丸松坂屋百貨店は1月6日から、店頭に先駆けて通販サイト「大丸松坂屋オンラインストア」で「大丸・松坂屋のバレンタイン2023」の注文受け付けを始めた。

今回のバレンタイン商戦は顧客の購買ニーズに応え、「大切なひとへ感謝の気持ちを贈る幸せ・自分へのご褒美を買う幸せ」をコンセプトに展開する。

中でも、2人の女性オーナーが手がけるスイーツをフューチャー。母親が子どもに食べさせたいものを重視した菓子作りを続ける田園調布のプチカヌレ専門店「コムパリ」からは、保存料・着色料を使わず、外はカリっと中はモチモチの食感が楽しめる5種類のプチカヌレのセットを提案する。

田園調布プチカヌレ専門店COMME PARIS(コムパリ)が展開する5種類のプチカヌレのセット「Première-Valentine’s Limited- プルミエールバレンタインリミテッド」
田園調布プチカヌレ専門店COMME PARIS(コムパリ)が展開する5種類のプチカヌレのセット「Première-Valentine’s Limited- プルミエールバレンタインリミテッド」

低糖質でもおいしいスイーツをめざす「カバの気持ち」からは、発酵バターの香りが広がるバターサンドで、神戸洋菓子の名店「ボックサン」の福原敏晃氏が監修し、“宝石”をテーマにしたバレンタイン限定商品を販売する。両ブランドの女性オーナー2人のインタビュー動画を特設サイトで配信。店頭配布カタログのQRコードから遷移して視聴できるようにした。

また、2022年に大きく復調した海外ブランドのチョコレートの品ぞろえを強化したほか、年々ニーズが高まっている焼き菓子などスイーツの新ブランドを取りそろえた。

大丸松坂屋が取り組む、リピート購入を促す仕組みとは?

大丸松坂屋百貨店では、バレンタイン商戦でもECを強化する考え。その一環として、早い時期に購入したユーザーには早期に商品を届けることが可能で、気に入った商品を自分用やプレゼント用にリピート購入しやすくする。加えて、自分用のニーズが増えていることから、受注期間を延長して2月14日以降の配送にも対応する。

バレンタイン商戦の売上高合計は前年比14・6%増を計画。過去5年間でもっとも売り上げが大きかった20年度を上回りたい意向で、ECチャネルの貢献も期待する。

高島屋は“サステナブルなチョコ”もラインアップ

高島屋は1月6日、「高島屋オンラインストア」でバレンタイン催事「アムール・デュ・ショコラ」をスタートした。高島屋各店では同月20日から順次スタート。世界から選りすぐりの100以上のブランドを提案する。

同催事では、日本初上陸のブランドや、世界の巨匠たちの商品が集結。伝統ある名門ブランドや世界的に愛されているチョコの紹介はもちろん、注目が高まっているフードロスや環境・社会問題などにアプローチする“おいしくてサステナブルなチョコ”も特集するという。

高島屋のバレンタインデー特集ページ
高島屋のバレンタインデー特集ページ

日本初上陸ブランドでは、仏リヨン郊外に店を構えてヴィーガンショコラを手がける「ファビアン・デアル」や、レバノンを拠点に高品質なチョコレートの製造にこだわる「ラ・ロシェ」が登場する。

サステナブルチョコでは、「TeaROOM」とコラボし、廃棄される予定だった素材をいかしたり、環境にやさしい農法で作られた3種類の茶葉を使用。それぞれのお茶の個性を生かしながら、「モンサンクレール」や「トシ・ヨロイヅカ」など人気パティシエが手がけた「アムール・デュ・ショコラ」限定のチョコを展開する。

高島屋のEC比率は4割近く見込む

高島屋のバレンタイン催事は年々売り上げを伸ばしており、今年の目標は前年比12%増で、店頭は8・4%増、ECチャネルは18・9%増をめざす。また、バレンタイン商戦におけるECチャネルの比率はコロナ前が約15%だったが、今年は約37%を見込む

そごうは本会期前の「おためしバレンタイン」開催

そごう・西武は12月1日、公式通販サイト「eデパート」でバレンタインチョコレートのネット受注をスタートした。毎年、早期の予約や自家需要、人に贈る前に自分で試したいというニーズが多いことから、今回も1月6日からの本会期に先駆けて「おためしバレンタイン」を開催。国内外の人気ブランドやそごう・西武の限定品など、この時期にしか味わえないチョコを取りそろえた。

早期展開ブランドは「ピエールマルコリーニ」や「デルレイ」「カカオサンパカ」など約40ブランド、250アイテムで、1月20日以降に届ける。

【楽天】期間限定ポップアップストア開設、リアルからの送客図る

楽天グループでは2023年のバレンタインデーに向けて、運営する仮想モール「楽天市場」のショールーミング型ポップアップストア「楽天市場 バレンタイン特集 ご当地&映えスイーツセレクション」を、東京都足立区の「北千住マルイ」2階に、2月1日~14日の期間限定で開設する。

楽天はショールーミング型ポップアップストアを開設、特設ページも公開中
楽天はショールーミング型ポップアップストアを開設、特設ページも公開中

これに先立ち、ポップアップストアを紹介する特設ページを1月17日に公開。オフラインからオンラインへの送客を図る

ポップアップストアでは、「横浜チョコレートのバニラビーンズ」や「創作和洋菓子 花えちぜん」など、楽天市場に出店する18店舗が取り扱うバレンタインデー向けの商品約35点を展示。来店者は、店頭で商品を試食することが可能で、QRコードをスマートフォンで読み取ることで、楽天市場の各商品ページに遷移し、商品を購入することができる

期間中は先着600枚限定で、3000円以上の対象商品購入時に使える500円割引クーポンを配布する。また、特集ページでは「ご当地ギフト」「映えギフト」という切り口でポップアップストアにて販売するチョコを紹介。3000円以上の購入で200円割引となる、先着2000回まで利用可能なクーポンも配布している。

バレンタイン流通額は約2倍に成長中

楽天市場では、1月4日から今年のバレンタインデー特集ページを公開。チョコレートやスイーツを中心に、約5万点のバレンタインデー関連商品を紹介している。

楽天市場のバレンタインデー特集ページ(画像は楽天市場から編集部がキャプチャ)
楽天市場のバレンタインデー特集ページ(画像は楽天市場から編集部がキャプチャ)

同社によれば、ECでバレンタインデーのギフトを購入するユーザーは拡大傾向にあり、楽天市場におけるバレンタインデー関連商品の流通額は、2020年から2022年の2年間で約1・9倍に拡大(2020年1月4日~2月15日と、2022年1月4日2月15日の流通額を比較)しているという。

【ヤフー】“お得”を訴求

ヤフーは運営する仮想モール「ヤフーショッピング」で1月12日から、特集ページ「バレンタイン特集2023 ~チョコ&ギフト大作戦~」を開設してバレンタインデーのギフト商品の拡販を本格化させている。

「ヤフーショッピング」で開設しているバレンタイン特集ページ(画像は「ヤフーショッピング」から編集部がキャプチャ)
「ヤフーショッピング」で開設しているバレンタイン特集ページ(画像は「ヤフーショッピング」から編集部がキャプチャ)

特集ページでは高価格帯のチョコレートをそろえた「高級・プレミアムチョコ」、ゴディバやモロゾフといった有名菓子ブランドの商品をそろえた「ブランドチョコ」、工具を模したものやチョコでできた恐竜の化石をチョコの中から発掘できるものなどユニークな商品をそろえた「おもしろチョコ」、安価な商品をそろえた「ばらまきチョコ」などをラインアップ。

同モールのレビューでユーザーからの評価が高い「高評価チョコ」や1000円未満や2000円から3000円までのチョコレートといった「予算別」や恋人、家族、友達、職場など「贈る相手別」でもチョコレートを選べるようにページ上部に各ランディングページに誘導するリンクを設けた。

バレンタインギフト専用の割引も

また、バレンタインギフト専用も割引クーポンを配信。期間中、毎週木曜日に2000円以上の購入者を対象に200円分のクーポンを、バレンタイン直前の2月5日には「バレンタイン×5のつく日300円クーポン」を配布し、拡販を強化していく考え。

すでに配布中のクーポンは「昨年と比較すると倍以上の枚数を利用頂いており、客単価も下がっていない」(同社)とし、売れ行きの引き上げにクーポンが貢献しているようだ。

初速は好調。ポイント還元が奏功?

なお、バレンタインデー商戦の出足については「特集自体は開始したばかりだが初速は好調」(同社)としている。好調な要因については次のように話している。

行動制限のないバレンタインで百貨店などのリアルへ人が戻っているかと思うが、ヤフーショッピングは(決済時にグループの決済サービスやクレジットカードを使用した際のポイント還元率が)毎日5%でお得。ポイントやクーポンを使い少しでもお得に百貨店と同じ商品などを購入いただけているのではないか。(同社)

ベルーナの目玉商品は“日本酒チョコ”

総合通販のベルーナのグルメ専門通販「ベルーナグルメ」では、通販サイトとカタログ「2023 St.Valentine's Day」において、今年のバレンタイン特集を展開している。

「ベルーナグルメ」トップページ(画像は「ベルーナグルメ」から編集部がキャプチャ)
「ベルーナグルメ」トップページ(画像は「ベルーナグルメ」から編集部がキャプチャ)

通販サイトでは100種類以上のバレンタイン商品を販売。人気のブランドチョコや輸入チョコ、配るための大容量チョコなどを揃えている。今年の目玉商品となるのは、同社の日本酒通販「旨い酒が飲みたい」の日本酒チョコレートとなっている。

「江戸の酒 ボンボンチョコ」(価格は1501円)は、澤乃井・屋守・千代鶴・久兵衛という東京の地酒を使ったボンボンチョコ。昔ながらの砂糖シェルタイプで、シャリシャリした食感が特徴のボンボンチョコに、酒を閉じ込めている。個包装で便利な点もポイントとなっている。利き酒師が「本格的な味わい」と太鼓判を押す商品で、スイーツ好きや日本酒好きへのギフトにおすすめとしている。

ベルーナが取り扱う「江戸の酒 ボンボンチョコ」

「日本の酒 蔵元三昧」(価格は1393円)は、2022年に好評だった「日本のお酒を使用したチョコレート」を刷新したもの。個性豊かな日本酒、梅酒、焼酎10種類を食べ比べできる。

チーズケーキECも限定商品の投入に注力

EC限定でチーズケーキを販売するMr.CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)は1月22日、バレンタイン限定フレーバーの「ミスターチーズケーキ ブラウンミルク」と「ミスターチーズケーキ ブラックカカオ」を販売する。

新商品のブラウンミルクは、ミルクチョコレートのようなやさしく、なめらかな味わいのフレーバーだ。チョコレートとマスカルポーネに、ナッツに砂糖を加え煮詰めてキャラメル状にしたプラリネを入れ、やさしく深い味わいに仕立てた。

時折り感じるパールショコラの食感と、ケーキの底に敷き詰めた甘酸っぱいアプリコットと甘いミルクチョコレートのバランスが楽しめる。

2022年も販売して好評だったブラックカカオは、濃厚な旨味を持つカカオをベースに、焦がしバターやアーモンドペースト、クローブというスパイスを合わせることで香ばしさを強調。マスカルポーネやダークチェリーがコクのある旨味を一層引き立てる。

バレンタインだけのデザイン&フレーバーを展開

また、2023年はバレンタイン限定デザインのギフトバッグとメッセージカードを用意。ギフトバッグはハートにかたどった花びらをメインに、たくさんの花びらを散りばめたデザインで、無料のメッセージカードは感謝の気持ちをさまざまな形で表現した3種類のオリジナルデザインの中からランダムで届ける。

バレンタイン限定フレーバーのチーズケーキはどちらも税込5400円で、1月22日~2月14日まで公式通販サイトで販売。期間中は毎日午前10時から販売開始し、当日分の在庫がなくなり次第終了となる。

なお、両フレーバーは1月25日~2月14日まで大丸東京店と大丸神戸店で同時開催するポップアップストアでも販売するほか、両店ではバレンタインに合わせて開発した「プラリネガトーショコラ」を店頭限定商品として展開する。

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