ECタイムズ[転載元] 2023/7/26 7:00

突然ですが、皆さまは“商品ページ”にどれだけこだわっていますでしょうか? 競争が激化するオンライン市場において、自社の商品・サービスのイメージを左右するページ作りが成功の鍵を握っていると言っても過言ではありません!

今回は、楽天・Amazonのプロである稲葉さんにインタビューさせていただきました。「自社の商品の強み・魅力の伝え方がわからない」「実際に商品ページを作成する際に気を付けるべきことは?」などのお悩みに役立つこと間違いなし!

ぜひ、最後までご覧ください。

ECタイムズ 楽天 Amazon モール ランディングページ

ベビー用品ECを企業

⸺今日はよろしくお願いします。

稲葉:よろしくお願いします。

⸺では、はじめにご経歴についてお聞かせください。

稲葉:東証1部の蝶理株式会社にて東南アジアへの化粧品原料の新規プロジェクトを担当した後、アセットフロンティアにて楽天ショップの立ち上げを一人で担当しました。それと並行して自身でもEC事業の会社を起業しました。

⸺ご自分で会社を設立されたんですね。具体的にはどのような事業をされているのですか?

稲葉:ベビー用品を扱うブランドなのですが、2020年にAmazon、2021年には楽天で販売をスタートし、いくつか賞を受賞させていただきました。

2022年からは自社のノウハウを生かしたコンサルタントを始めました。サポートするクライアントは食品、美容・化粧品、生活雑貨など幅広いジャンルにおよんでいます。

⸺当時、ベビー用品に注目された理由は何ですか?

稲葉:ベビー用品にはブランドが他業界と比べて少ないんです。そのため、汎用品は大手が扱うものの、育児において少し特殊で細かいシチュエーションで必要となる用品を取り扱う業者がほとんどいませんでした。

そのような差別化をしやすい環境である上に、妻やその知り合いが小さな子供と接する機会が多い仕事をしておりますので、ニーズをキャッチアップしやすいこともあり、ブランドを立ち上げました。

商品が常にユーザーの目につくページ作りとは?

⸺稲葉さんは数ある施策のなかでも“ページの改善”に特化してサポートをされていますよね。それはなぜなのでしょうか?

稲葉:最も売り上げを伸ばすのに効果がある要素だと思うからです。Amazonや楽天のようなECモールにおいては、検索結果の上位に自社の商品が表示されることが重要になります。競合がひしめくECモールにおいて、常にユーザーにもっとも目につく商品とならなければなりません

しかも、一時的に上位にヒットするのではなく、継続してお客さんにクリックしてもらえる必要があります。一時的なアクセス数を伸ばすだけなら、いくらでも小手先の技術が存在します。一部の広告に関しても、突発的なアクセス数の増加を起こすことができますが、その後のコンバージョンや継続的な売り上げには直結しません。

⸺そうなんですね……。では、最も重要な手法は何なのでしょうか?

稲葉:商品ページを改善すること、LPをブラッシュアップしていくことです。費用対効果で考えれば、広告よりもページの改善の方がよいと思います。アクセス数が伸びたかどうかよりも、CTR、CVRの向上を目的とする方が本質的な訴求と言えます。

キーワード選定がCVRの明暗に

⸺実際のところ、転換率(CVR)はどこまで上げられますか?

稲葉:うまくいけばCVRが5倍に増えることもあります。どのようなキーワードでヒットしやすくするかで大きく変わります。

たとえば、頭痛、のどの痛み、発熱などの症状に効く風邪薬を販売するとします。このとき、「風邪薬」でヒットするようにめざすより、「風邪薬・のど」でヒットしやすくする対策をした方が良いと言えます。

キーワードを「風邪薬」としてしまうと、競合が多すぎて検索上位を維持するのが非常に難しいです。これでは、継続的な売り上げにつながりません。そのうえ、風邪には複数の症状があるので、その風邪薬がどんな症状を持つ人に最適なのかわかりません。

一方、キーワードを「風邪薬・のど」とした場合、競合が少なくなるうえに、のどの痛みを治したい消費者により確実に届き、CVRのアップも期待できます。

キーワードを工夫することでターゲット層にリーチしやすくなる
キーワードを工夫することでターゲット層にリーチしやすくなる

⸺なるほど! キーワードのヒット件数によっては「風邪薬・発熱」、「風邪薬・頭痛」としてもよさそうですね。

売れるページの特徴は、ターゲットに徹底的に刺さること

⸺稲葉さんが考える、“売れるページ”の特徴を教えていただけますでしょうか?

稲葉:消費者のインサイト、ニーズよりも深いところに刺さるページですかね。

つまり、商品のターゲットが特定されていて、その人に刺さるワード、内容、構成が徹底されているページが売れるページであると考えています。

⸺では、売り上げが伸び悩んでいるページで、よく目にする惜しいポイントや改善点はありますか?

稲葉:消費者から見て、ページが全体的にふんわりしていることが多い印象です。具体的には、商品の機能ばかりが列挙されて、アピールされていることがあります。

さっきの風邪薬の例を使うと、のどの痛み、発熱、頭痛に効くという情報が全て均一に書かれている状態です。いろんな消費者に届けようとしてブレブレになっています。のどの痛みに効くことに特化してこだわりや成分(即効など)をアピールすべきです。

⸺確かに! 同じ商品でも、訴求軸が曖昧なマーケティングと、のどに特化したマーケティングを比べると、のどが痛い消費者にとっては後者の商品を買うと思います。では、その商品がどんな人に刺さるかを特定するにはどうすればいいですか?

稲葉:これは既存商品についての話になりますが、現時点で商品を買っていただいている顧客が「誰」なのか明確に知る必要があります。どういう人が買ってくれているかをもとに、自社の商品が誰に特化しているものかを訴求によってわかってもらえるようにしましょう。

まずは自社の商品の機能のうち、顧客がどこを見て買ってくれているのかを分析してください。

そして、その機能と顧客の属性を結びつけることで訴求軸を明確にしていただきたいです。また、反響を見ながら何度もページを修正し、売れるページに近づけていくことも大切です。

⸺訴求軸とページの微調整に関しては、どこをどのように変えればよいかを考える必要があるので、知識と経験がものを言いそうですね。稲葉さんは多くのEC事業者さまを見られてきたと思いますが、どれくらいの事業者さまがここまでのことを達成できていると思いますか。

稲葉:そうですね......売れるページをしっかりと作れているところはほとんどありません。大手でも、自社のECサイトやSNSに力を入れているところはたくさんありますが、ECモールでうまくやっているところは少ないです。

事例①:機能面ばかりをうたってターゲットに刺さらない

⸺稲葉さんが過去に実際に関わった案件のうち、ターゲットを絞り込んだマーケティングを意識した事例がありましたら、教えてください。

稲葉:はい。サングラスとシャンプーの事例について紹介させていただきます。まずサングラスに関してですが、取り扱い事業者が多く、どの商品も「UVカット率〇%!」、「〇〇なデザイン!」といったような機能面ばかりをうたっています。

例にもれず、当時のクライアントもそのような状態でした。そのサングラスのポテンシャルを最大限引き出すために、先ほど述べた手法を使いました。

ターゲットに特化したマーケティングを追求

稲葉:そこで、まず「誰」に買われていたかを洗い出しました。すると、釣りをするお客さんが多いことがわかりました。

次に、なぜ釣り人に選ばれているのか考えました。おそらく、釣りをしてる時の水面から反射する日光を程よくカットでき、視界も明るすぎず暗くなりすぎないため水面が見やすかったためだと思われます。さらに、さびづらいため潮風に耐える機能があったことも一因だと思われます。

最後に、釣りに特化したマーケティング、キャッチコピーなどを軸に売り出すことに決定し、訴求を変更した結果CVRが上がりました。

事例②:訴求軸がブレブレ

稲葉:次に、シャンプーの事例についてお話します。当時、ページは映えてはいましたが、訴求軸がブレブレという印象でした。このままでは、素材は良くても伝わりません。

そのシャンプーの香りや効果から年齢層を限定し、若い人よりも、40~60代のハリやボリュームに悩みを持つ世代にターゲットを絞りました。

顧客の悩みにアピールする訴求に変更

稲葉:そういった悩みの改善を実感できる材料をアピールする内容、魅せ方に変更したことで、特定の年齢層に刺さる商品ページを作ることができたと思います。

使用例、ユーザーの声をすべてその世代のものにしたページを作っている段階です。

⸺“ターゲットの特定→ターゲットに刺さる機能・こだわりの特定→訴求軸の明確化”の流れがすごく具体的にわかりました! 自社商品はその企業様の思いが詰まった商品であるからこそ、つい主張したいことを全部盛り込んでしまって、消費者に伝わりづらくなってしまいがちなのかもしれません。

稲葉:プロダクトアウトのマーケティングではなく、自分たちの商品を必要としている人を理解することが重要だと思います。

消費者がページの内容を見て「だからなに?」というマインドにならないように、ベネフィット、つまり商品の購入前後で消費者にどのような良い変化があるかをわかってもらうことを意識していただきたいです。

ベビー用品の第一想起企業をめざす

⸺では、最後に稲葉さんの今後の目標についてお聞かせください。

稲葉:自身のベビーブランドの認知度を向上させ、「ベビー用品と言えばここだよね」と消費者の皆さんに思ってもらえるよう頑張っていきたいです。

また、企業さまへのサポート面に関しても、今やっていることを続け、クライアントの強みや魅力を最大限に引き出していきたいです。

⸺ECのプロとして今後の活躍を期待しております。今日はありがとうございました。

◇◇◇

みなさん、いかがでしたでしょうか? ECモールのプロ、稲葉 金さんのインタビューでした。

売れる商品ページの作り方を具体的にお聞きすることができたので、わたし自身とても勉強になりました!

ですが、「CVRを上げるためにページのどこをどのように修正すればよいか、は実際にプロと仕事をしてみないとわからない!」と思ったりもします。

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