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ロイヤル顧客を生む会員プログラムとは? 8割が会員登録&売上UP+客単価増+注文回数増に導いた米アパレル企業の事例

米国のアパレル事業者の成功事例から、顧客をロイヤルティ会員に引き上げた打ち手と、売上アップや購入頻度アップにつながった実績を紹介します

Digital Commerce 360[転載元]

2023年8月24日 8:00

購入客をロイヤルティ会員に引き上げ、ECの売上アップを実現している米国企業の事例を紹介します。女性向けアパレルブランドのChico’s(チコ)は2022年6月、ECの利用者を対象にロイヤルティプログラムを刷新しました。新たなロイヤルティプログラムは著しい成果をあげており、購入客の80%が9か月以内にロイヤルティ会員に登録。注文頻度のアップや利用金額の増加に結び付いています。

記事のポイント
  • Chico’sの新たなロイヤルティプログラムは、年間利用額に応じて顧客を分類。ポイント付与、送料無料、返品無料などの特典を顧客の分類ごとに提供
  • 新たなテクノロジーの導入で、顧客の属性や傾向をより細かく分類する「マイクロセグメンテーション」が可能に
  • ロイヤルティ会員は、非会員よりも購入金額が高い

ロイヤルティ会員を4階層に分類、マイクロセグメンテーションで引き上げ

Chico'sのリアナ・レス上級副社長(マーケティング担当)は「当初の計画では、ロイヤルティプログラム刷新の初年度に、購入客の65%が加入すると期待していましたが、刷新から9か月以内に80%がプログラム会員に登録しました」と説明します。

Chico’sが利用料無料で提供するロイヤルティプログラム「Chico’s Reward」は、年間利用金額に応じて顧客を4つの階層に分類しています。最下位層は年間利用金額が200ドル未満、最上位層の年間利用金額は2000ドル以上の顧客です。ロイヤルティ会員には所属する階層に応じて、利用金額に応じたポイント、送料無料、返品無料などの特典を付与しています。

Chico’sは、米国のEC専門紙『Digital Commerce 360』が提供する北米大手のEC事業者データベース「北米EC事業 トップ1000社データベース 2023年版」で108位にランクイン。Chico’sの他にランクインしているアパレル小売企業のブランドは、White House Black Market(ホワイトホースブラックマーケット)、Soma(ソーマ)などです。

ロイヤルティプログラムで成果を上げているChico’sのECサイト
ロイヤルティプログラムで成果を上げているChico’sのECサイト

「北米EC事業 トップ1000社データベース 2023年版」にランクインしている小売企業で、ロイヤルティプログラムを導入している企業はそんなに多くはありません。ロイヤルティプログラムを導入している小売企業は、上位1000社のうち27.9%。このうちアパレル小売企業は、4割弱が導入しています。『Digital Commerce 360』のデータによると、ロイヤルティプログラムを最も多く導入している業種は小売チェーンで、業界全体の48.1%の企業が導入しています。

ロイヤルティプログラムを提供する小売チェーンおよびロイヤルティプログラムを導入している北米EC事業者トップ1000社の割合〈業種別〉(出典:『Digital Commerce 360』)
ロイヤルティプログラムを提供する小売チェーンおよびロイヤルティプログラムを導入している北米EC事業者トップ1000社の割合〈業種別〉(出典:『Digital Commerce 360』)

Chico’sは2022年6月に、1990代から変えていなかったロイヤルティプログラムを刷新しました。刷新の理由は、「私たちの技術は時代に遅れており、以前のロイヤルティプログラムでは将来できることに大きな制限がかかってしまう状態でした」(レス氏)と言います。そこで、Chico'sは新しいテクノロジーを導入。消費者ターゲットをより適切に絞り込めるようにしました

Chico’sは現在、顧客に対して驚異的なマイクロセグメンテーション(編注:細かく区分けすること)が可能となりました。これは本当に画期的で、重要なことです。(レス氏)

従来のロイヤルティプログラムでは、リピーター全体に対してプロモーションをかけていました。刷新に伴う新たなテクノロジーの導入で、顧客のなかからターゲットを絞ってプロモーションを展開することが可能になり、効果を最大化できるようになりました。たとえば、ある階層のなかで上位に位置する会員に特定の割引を与えて、次の階層に引き上げるといったことです。

著しい成果をあげているロイヤルティプログラム

購入額は非会員よりも40%増

「Chico’s Reward」の会員は、Chico’sにとって重要な存在です。直近の四半期において、顧客1人あたりの平均支出額は、ロイヤルティ会員は非会員より40%高くなっています。今回のロイヤルティプログラムは新しく導入したため、前年比のデータはありませんが、初期の結果として上々の成果となっています。

会員の多くは、非会員をかなり上回る金額を買い物しています。また、次の四半期に当社の商品をまた購入する可能性も、ロイヤルティプログラムになっていない顧客と比べて、かなり高くなっています。(レス氏)

注文頻度は非会員の3~4倍

ロイヤルティ会員全体の注文頻度は、非会員の3~4倍で推移しています。年間2000ドル以上を買い物する顧客で構成している最上位層の会員と、非会員を比べると、注文頻度の差はさらに顕著になります。

最上位層の会員数は、4分類した会員層のなかで最も少ないですが、売上高で見ると過半数を占めており、収益の大部分を担っています。ロイヤルティ会員における上位100人の顧客は、売上高では年間1万5000ドル相当の買い物をしています。これらの上位会員は、下位会員顧客の5~10倍の頻度で商品を購入しています。(レス氏)

トップ会員の特典利用率はほぼ100%

Chico'sが提供している特典は提供から90日後に期限切れとなるもので、階層の高いロイヤルティ会員は特典をほぼ100%利用するとレス氏は言います。

利用率の高さは会員、特に階層の高い会員が、期限内に特典を利用して最もお得に買い物をするための「ゲームを楽しんでいる」ことを示唆しています。(レス氏)

ロイヤルティプログラムで収集する顧客情報は貴重なデータ

一部の小売事業者の消費者は、メンバーシップの加入による会費の支払いと、それと引き換えに、買い物する際に割引で利用できることを受け入れていますが、上位1000社に入る小売事業者のうち、ロイヤルティプログラムの利用を無料で提供している事業者は少数派。ですが、プログラムを通じて収集する顧客情報は貴重なデータとなり得ます。

この根拠は、『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsが消費者1015人を対象に実施した調査で、40%が「ロイヤルティプログラムの加入に関する提案が記載された電子メールを開封する可能性が高い」と回答したことです。

この開封率は割引、配送、注文、配送確認に関するメッセージに比べると低いですが、送料無料、再入荷、その他のプロモーションに関するメッセージよりも高い数値です。

また、『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsがオンライン通販利用者1060人を対象に実施した調査によると、顧客の28%が「ロイヤルティプログラムのメンバーとなっている小売店に注文する可能性が高くなる」と回答しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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