米国EC企業に学ぶ生成AI活用。「アイデア出し」「コンテンツのABテスト」「作業時間短縮」など事例まとめ
米OpenAI社による「ChatGPT」を皮切りに、消費者だけでなく企業もオープン生成AIの活用が拡大しています。生成AIは、タスクを簡素化したいデジタルマーケターは重宝するツールです。この新技術は、役に立つアイデアもそうでないアイデアも、そして時には奇抜なアイデアも生み出すクリエイティブの貯蔵庫と言えるでしょう。
多くの小売事業者は、競合他社に差をつけようとするなら生成AIの活用は良いことだと考えています。記事では、米国事業者による生成AIの活用法や、活用のメリット、デメリットについて事例から解説します。
- 米国のコンサルティング会社Forrester Researchによると、米国のマーケティングまたは広告運用者の56%が、マーケティング活動で生成AIを使用している
- マタニティ・子ども向け商品を手がける米Babylistのクリエーティブチームは「ChatGPT」が生成したコンテンツをアイデアのブレインストーミングに役立てている
- オンラインで生花を販売する米UrbanStemsは、AIが生成した画像を使って消費者向けにテストを実施。新商品の開発にあたり、消費者の購買行動に与える影響が得られるかどうかを確認する狙い
- 紳士靴ブランドの米Koioのような小売事業者は、若手マーケティング担当者の作業負担を軽減するためにAIを活用している
生成AIは販促に役立つツール
Babylistのマーケティング担当者にとっては、生成AIの活用はECサイトで実施するキャンペーンを促進するための手段となっています。
ECサイトという役割と同時に、赤ちゃんに関連する情報のデーターベースとしての役割も果たすBabylistは、生成AIを「副操縦士」のような役目として使用。そのため、「必ずしも作業時間を短縮するためのツールではありません」とチーフグロースオフィサーのリー・アン・グラント氏は説明します。
生成AIは、新たなアイデア、コンテンツ、広告コピーを生み出すためのツールです。ある意味、このツールを使いこなすために、より多くの時間を費やしているとも言えます。
なぜなら、Babylistのクリエーティブチームは、ブログの記事やその他のマーケティングコンテンツをただ書くのではなく、より良い内容にするためのインスピレーションを得るために生成AIを活用しているからです。マーケティング担当者はAIに質問し、その結果がどのようにクリエーティブに役立つかを考えています。
2023年初頭、教育開発の一環としてテクノロジーにアプローチすることを目的に、全社ミーティングを実施しました。「生成AIを仕事に活用することが許されただけでなく、それをうまく使いこなすことを期待されました」とグラント氏は言います。
テクノロジーが進化を続け、小売企業がAIの活用方法について学びを深めるにつれて、それに追随する企業もさらに増えていくでしょう。
調査会社のForrester Researchが2023年6月に154人の経営幹部を対象に行ったBtoCマーケティング調査によると、米国のマーケティングまたは広告の意思決定者の56%が、自社のマーケティング運用ですでに生成AIを使用していると回答。活用している生成AIのツールは、「ChatGPT」「DALL-E」「Stable Diffusion」「Midjourney」などの言語モデル、チャットボット、画像ジェネレーターでした。
キャンペーンの広告コピーを生成AIでABテスト
デジタルマーケターは、運用テストをすればするほどテクノロジーが学習することを知っています。しかし手頃に使えるツールは、マーケティング担当者の助けにはなるものの、代わりにはなりません。たとえば、Babylistは「ChatGPT」を使って、ニュースレターやマーケティングEメールキャンペーンの広告キャッチコピーをテストしています。
生花販売のUrbanStemsは、生成AIを使ってブログ記事を書き、ソーシャルメディアマーケティングのクリエーティブ用画像を作成しています。また、紳士靴ブランドを展開するKoioは、Eメールや広告のアイデアのブレインストーミングにAIが生成したコピーを使用しています。
AIツールは運用コストがかからず、利用のハードルが低いため、自社が使っていなくても、競合は活用していることを、UrbanStemsのような小売業者は意識しています。
生成AIのメリットとデメリットとは?
デジタルマーケターは、Eメール、SEO、そのほかのマーケティング資料のアイデアや事例を作り出すために生成AIを利用しています。Forrester Researchのバイス・プレジデントで、プリンシパル・アナリストでもあるジェイ・パティソール氏は「生成AIの活用は潜在的なメリットが大きいものの、注意を払わなければならない点もあります」と言います。
パティソール氏は「マーケティング担当者は、ブランド、小売事業者、代理店がどのようにテクノロジーを利用しているかを考慮しなければなりません」と説明。たとえば、著作権法ではAIが生成したアートは保護されません。
しかし、ブランドがAIをどのように活用できるかは興味深いとパティソール氏は考えています。広告代理店は、自社独自の技術の一貫として、クライアント企業のためにプラットフォームを構築しています。同時に「自社で生成AIを構築している小売企業もあります」とパティソール氏は付け加えています。
しかし現段階では、より多くの選択肢が市場に出回っているため、購入する方が現実的ですが、将来的には変わるかもしれません。(パティソール氏)
「ChatGPT」を活用したメルマガの効果検証
Babylistは「ChatGPT」を使って、顧客向けニュースレター配信のメールキャンペーンをテストしています。大手ベビー用品小売りチェーンBuy Buy BabyのオーナーであるBed Bath&Beyondは2023年、破産を申請。Babylistはこれを、Buy Buy Babyの顧客を獲得するチャンスだと捉えました。
Babylistは4月29日、2種類のニュースレター購読者を対象に「ChatGPT」を使ったメールマーケティングキャンペーンのテストを実施。"妊娠中"のニュースレター受信者の10%(全リスト58万9000人のうち約5万9000人)と、すでに"親"になったニュースレター受信者の10%(232万人のうち22万2000人)に送信しました。各グループを半分に分け、Babylistの編集者が書いたメールと「ChatGPT」が書いたメールを送信したのです。
結果は"妊娠中"グループの場合、編集者が作成したメールは、生成AIのバージョンと比較して2.9%高い開封率となりました。
- Babylistの編集者が作成したメールの件名:“Buy Buy Babyの破産とあなたの登録情報:お役立ち情報”
- 「ChatGPT」が生成したメールの件名:“Buy Buy Babyの破産が保護者に与える影響”
親グループでは、「ChatGPT」が0.37%高い開封率で、編集者よりわずかに優位に立ちました。
- Babylistの編集者が作成したメールの件名:"Buy Buy BABYの破産 & 保護者向け情報"
- 「ChatGPT」が生成したメールの件名:"Buy Buy Babyの破産が保護者に与える影響"
「ChatGPT」が生成した件名がテストの半数で開封率を増加させたことについて、グラント氏は「『ChatGPT』は、チームがメールの件名を考えるためにインスピレーションを必要としているときや、件名を書く手助けが必要なときのための素晴らしいリソース」だと結論付けています。
生成AIが小売事業者のアイデア出しをサポート
「ChatGPT」が生成したコンテンツは、「Babylistのクリエーティブチームがより良いコンテンツを作成するのに役立っています」とグラント氏は言います。その価値はブレインストーミングにあります。
「コピーライターがTikTok動画の新しいコンセプトに行き詰まりを感じている場合、『ChatGPT』に依頼すれば、たくさんのアイデアを生み出してもらうことができます」とグラント氏。
また、Forrester Researchのパティソール氏は、「生成AIを使うことで、小売事業者はマーケティングの規模を拡大し、顧客向けのパーソナライゼーションを深めることができます」と話します。
クリエーティビティは人間に任せ、テクノロジーにはマーケティングのスケールアップとボリュームアップをサポートしてもらうのです。(パティソール氏)
著作権や法的責任についての留意点とは?
「Babylistの従業員は『ChatGPT』やその他の生成AIプラットフォームと機密情報を共有しないように指示されています」とグラント氏は言います。小売事業者はAIモデルの「トレーニング」に使用する素材にも注意を払わなければならないため、これは重要なことだとパティソール氏は指摘しています。
著作権で保護された素材をデータポイントとして使用している場合、権利保護された素材を使用することで著作権を侵害している可能性があります。(パティソール氏)
1200万枚以上の写真を許可なく使用していた米国企業の事例
その一例が、映像メディア企業のGetty ImagesとStability AIの問題です。Getty Imagesは、Stability AIが1200万枚以上の写真を許可なく、あるいは代金を支払うことなく使用していると訴えました。2023年2月に提出された訴状によると、Stability AIは自社のAIテキスト画像変換ツール「Stable Diffusion」を訓練するために、Getty Imagesの著作権で保護された画像とメタデータを含むテキストを違法に使用したということです。
メタデータとは、データがいつ、どのように作成されたか、またデータの出所、種類、所有者を要約するための情報です。「Stable Diffusion」は、ディープラーニングを使用して書かれた説明から、高品質の画像を生成するテキスト画像を作るツールです。
Getty Imagesの画像はすべて著作権で保護されています。そのため、マーケティング担当者は使用責任が問われるのです。(パティソール氏)
競合他社に追い付くために生成AIを活用するUrbanStems
「UrbanStemsは、他社との競争によって生成AIの活用に注力するようになった」と、コンテンツディレクターのケイティ・ハドソン氏は言います。2023年初頭、UrbanStemsはすでに生成AIを使って花の商品ページに添えるコメントを作成していました。ハドソン氏は、競合他社が同じことをやっているのに気付き、メディアでも生成AIを使う競合他社の記事を目にしたそうです。
UrbanStemsはブランドの認知拡大にとどまらず、「この新しい技術(生成AI)をどのように利用できるかを検討することにしました」とハドソン氏は言います。
2週間で検索のコンバージョン率が17%上昇
花を扱うUrbanStemsにとって「母の日」は最も忙しい祝日で、「母の日」による売上高は同社の年間総売上高の15%を占めています。2023年の「母の日」に向けて、UrbanStemsは「ChatGPT」を使い、ワシントンD.C.にある「母の日」に最適なブランチスポット10か所についてのブログを書きました。
UrbanStemsのマーケティング担当者がブログのイントロダクションを書き、AIが残りの部分を書いたそうです。
その結果、「母の日」を含む5月中、このローカルな記事がブログへのオーガニックなトラフィックにおいて5%をけん引しました。この投稿は5月のトップ10に入りました。
ブログはコンバージョンを促進するためのものではなく、オーガニック検索結果を改善する目的でした。生成AIを活用した当社のブログは、「母の日」にブランド以外の検索トラフィックで過去最高を記録しました。
この結果はマーケティング施策のなかでも特に、ブランチブログに起因している可能性があるとハドソン氏は指摘。「母の日」までの2週間で、UrbanStemsのオーガニック検索のコンバージョン率は17%上昇したそうです。
ハドソン氏は「作成したAI記事の数はまだ、ブログのパフォーマンスを比較するのに十分な数ではありません」と話しています。その理由の一つは、ブログがGoogleなどの検索エンジンでトラフィックを獲得し、閲覧されるようになるまでには通常数か月間かかるからです。
2~3時間かかっていたコンテンツ作成業務を20分に短縮
「ChatGPT」の投稿は、UrbanStemsのサイトへのトラフィックを促進しただけでなく、マーケティング担当者が消費者に最適なブランチの場所を手作業で調査する必要がなくなり、時間の節約にもなりました。
ハドソン氏によると、UrbanStemsは、AIが生成したブログ記事を週に少なくとも1本投稿し、記事のパフォーマンスをテストしているといいます。同社のマーケティング担当者は、AIを効率的に使うためのテンプレートを用意しています。あらかじめ保存したテンプレートを使用して、名前の挿入や単語数の要件など、必要な情報をコピー&ペーストで加えることができるそうです。
すべてをゼロからやる必要はありません。ブログ記事の構成においても、担当者は作業時間を短縮できています。生成AIが自動で記事を構成してくれるからです。また、生成AIに答えてほしいと思うような質問をすべて入力すれば、興味深い事実を教えてくれます。その後、必要に応じて微調整を加えます。ブログの投稿に2、3時間かかっていたのが、今では20分で済むのです。(ハドソン氏)
活用には人間の手直しが必要
AIの結果は完璧ではありません。ときどき、AIは知らない商品の説明をねつ造したり、UrbanStemsのブランドらしく文章を書かなかったりします。
「ChatGPT」に、ある種類の花を使ったブーケについて書いてくれるように頼んだのですが、その説明はあまりに見当違いでした。「ChatGPT」は私たちの商品をまったく理解していなかったのです。結局、社内のスタッフが大幅に手直しをしなければいけませんでした。(ハドソン氏)
UrbanStemsは、「ChatGPT」に独自の商品説明を加えています。こうすることで、生成AIが学習するにつれて「ブランドの声」をよりよく理解するのに役立つとハドソン氏は話しています。
AIに当社のブランドを理解させることに継続して取り組んでいます。AIは(説明文に)安直な文章を作りがちだからです。(ハドソン氏)
現状はまだ、UrbanStemsのスタッフが商品説明を書いていますが、「すべてのSEOコンテンツ、ブログコンテンツの一部、SEO目的のメタディスクリプションとタイトルタグの下書きをAIで作成しています」(ハドソン氏)ということです。
マーケティングコンテンツ生成にAIを活用している事例
Babylistは検索エンジン最適化にも生成AIを活用していますが、なかでもコンテンツライティングソフトウエアベンダーのFraseを使用しています。「通常、企業のマーケティング担当者はGoogleのウェブマスターツールにログインして、SEOのためにどのようなキーワードを使うべきかを検索します」とFraseのバブリストであるグラント氏は言います。
現在同社は、Babylistが執筆中の記事がSEOに最適化されているかどうかを確認するために使用すべき、よくある質問のキーワードを生成しているそうです。
浮いた時間の分、クライアント企業の編集者は時間をかけて記事を書いたり、より質の高いコンテンツを作ったりすることができます。(グラント氏)
Forresterのパティソール氏は「生成AIによって小売事業者は顧客により適切なコミュニケーションメッセージを送ることができるようになります」と述べています。マーケティング担当者は、新規顧客を獲得する新しい方法を見つけることができます。
また、「コストが年々増加してしまうことなく、既存顧客を維持するためにテクノロジーを利用することができる」(パティソール氏)と付け加えています。
小売業はビジネスマージンを維持することができます。新しい技術によって利益をアップさせることができるのです。(パティソール氏)
ソーシャルメディア用の画像を自動生成するAI
マーケティング担当者が生成AIを使うもう一つの方法は画像作成です。UrbanStemsは、テキストプロンプトから画像を作成するAIソフトウエアプログラムの「Midjourney」を使用しています。マーケティング担当者はこのソフトに、白地にガラスの花びんに入った、赤と白の10本のボタンのアレンジメントの画像を作成するよう依頼しました。ハドソン氏によれば、その結果は心強いものだったそうです。
まだ本当のイメージとはほど遠いのですが、素晴らしい出発点でした。その画像を商品開発チームに送ったところ、彼らはその画像をベンダーに提供し、イメージの参考にすることができました。これは私たちにとって大きな価値です。(ハドソン氏)
AIが生成した画像によって、UrbanStemsは新しいブーケのデザインを素早く試したり作ったりすることができます。新しいデザインのモックアップのために花を購入したり、写真撮影をしたりする必要がないのです。
ハドソン氏によると、UrbanStemsは「Midjourney」のスタンダードプランを利用しており、1か月にAIで作成できる画像数には制限があるそうです。もっと料金を支払えば、AIが数秒で画像を生成したりすることもできますし、もっと安いプランにすると画像生成に10分程度かかります。ベーシックプランは月額10ドル、メガプランは月額120ドルです。
商品開発に役立つ画像生成AIの活用法
2023年の夏、UrbanStemsはソーシャルメディアを通じて、AIが生成した画像を使って消費者の購買意識や核心が得られるかどうかのテストを実施しました。テストではUrbanStemsがすでに販売している商品を使用しましたが、その目的は、実際に新商品を作る前に消費者の行動や思惑を得られるかどうか確認することでした。
UrbanStemsは、Instagramのストーリーズを使って「This or That」と名付けた投票キャンペーンを開始し、消費者はどのブーケが好きか投票結果を探りました。ストーリーズは24時間公開され、UrbanStemsは価格帯や配色が似ているブーケを投票用にまとめました。
UrbanStemsのInstagramのストーリーズの平均インタラクション率は、23万3000人のフォロワーのうちの20%です。
「投票結果は実際の売り上げを反映したものだった」とハドソン氏は言います。投票で最も票が集まったブーケは、得票数が少なかったブーケに比べて、オンラインでの売り上げが高かったそうです。2023年7月12~13日にかけて投票された「ソル」ブーケ対「ネオンライト」ブーケの結果は、ソルの21%に対しネオンライトが79%を獲得しました。
この結果はハドソン氏に、AIが生成した画像を使ってこのような調査を行うことで、UrbanStemsが商品を市場に投入する前に消費者の好みを知ることができるという自信を与えました。さらに、このように得られる購買意識が、「Midjourney」や生成AIアプリケーション全般に対する経営陣のさらなる投資につながるとハドソン氏は考えています。
高コストのプランに投資しても、社内を納得させることができると確信しています。たとえば、SEO用語を調べるためにわけもわからず手探りで探す必要がなくなるのです。私たちは、社員が自分の役割のなかで成長し、つまずかないようにしたいと考えています。(ハドソン氏)
生成AIを試すことがマーケター育成に役立っている事例
小売企業がAIを活用するもう一つの方法は、若手マーケターの作業負担を軽減することです。メンズシューズブランドのKoioのように、生成AIを使い始めたばかりの小売企業もあります。Koioのマーケティング担当、ジョー・アンハルト氏によると、約半年前からKoioはEメールの件名に「ChatGPT」を使用しています。
「ChatGPT」はインスピレーションを得るために最初に行く場所の一つです。何度か試行錯誤が必要かも知れませんが、プロンプトを入れれば結果を示してくれます。(アンハルト氏)
アンハルト氏によると、Koioは、AIが生成したコピーをFacebookとInstagramのパフォーマンス広告に使用しているそうです。Koioは、ソフトウエアベンダーのZenlyticsと、画像生成AIツールの「Zoe(ゾーイ)」を利用。「Zoe」は質問に答え、マーケティングキャンペーンや特定のプロモーションのパフォーマンスに関するレポートを作成します。Koioは、AIが人間のマーケティング担当者と比べてどのような成果を上げているかの調査はしていませんが、このツールによってかなりの時間を節約できたそうです。
当社にとっての大きな収穫は、生成AIを活用しているいくつかの業務に、フルタイム勤務の従業員を割り当てる必要がなくなったことです。(アンハルト氏)
アンハルト氏によると、「AIはマーケティング担当者が他の仕事をする時間を確保するのに役立っています」と話します。しかし、若手マーケターが成長するには学習曲線があるそうです。Koioでは通常、若手マーケターが「ChatGPT」や同様のツールを使ってEメールやバナー広告、その他のサイトコンテンツを作成できると確信できるまで、コピーライターとペアを組んで仕事を進めます。
AIツールのコストは「手ごろ」「妥当」
Babylist、UrbanStems、Koioは、「生成AIを使用するためのコストは手頃」だと述べています。UrbanStemsとBabylistによれば、特定のアプリケーションについて「ChatGPT」は無料であり、「Midjourney」「Frase」のようなサービスは「妥当な」料金だそうです。
Forresterのパティソール氏は、「これはコストではありません。小売企業が直感的に反応しがちなのは、『これはいくらかかるのか』あるいは『これでいくら節約できるのか』ということです。しかし、それは間違った質問です」と指摘します。
生成AIは加速度的に進化し続けています。マーケターがその使い方を学ぶにつれ、テクノロジー自体も向上していきます。「AIは、何もなくてもアイデアを生み出すツールです」とBabylistのグラント氏は言います。
編集者が「ChatGPT」にInstagramの投稿のアイデアを40個出すように頼んだとき、40個のアイデアのうち30個は使えないかも知れません。でも、奇抜なアイデアのなかから珠玉のアイデアにたどり着くこともあるのです。(グラント氏)