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EC売上が最大20倍アップしたSNS活用法+TiKTokとInstagramの違い&使い分けを米国アパレル企業に学ぶ

昨今、SNSの活用はブランドの認知拡大や集客力アップに欠かせません。SNSのフォロワー増加、EC売り上げアップに成功している米国アパレル事業者の事例を紹介します

Digital Commerce 360[転載元]

2023年9月28日 7:00

EC事業者が販売する商品のレビューの有無は、消費者のコンバージョン率に大きな影響を及ぼすようになっています。米国のオンライン家電量販店Newegg Commerce(ニューエッグ コマース)はこのほど、ECサイト上の商品レビューを要約する生成AIツールを導入、売上アップに寄与しているそうです。Newegg Commerceが始めたAIによるレビューの要約は、EC市場最大手であるAmazonのAI生成レビュー機能導入にも影響を与えているようです。

記事のポイント
  • TikTokの投稿で50万ビュー以上の閲覧があると、投稿で取り上げた商品のオンライン売り上げが200%~2000%増加する
  • 米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の調査によると、18歳~39歳の消費者の半数以上が、ソーシャルメディアがオンライン購買に影響を与えると回答している
  • GotFunnyのTikTokフォロワーの93%は35歳以下となっている

売り上げの95%がTikTokまたはInstagram経由の消費者

Tシャツを販売するECサイト「GotFunny.com」の責任者であるブライソン・オッパーマン氏は、ブランドによるTikTok投稿の必勝パターンを見つけるまで数か月の間、試行錯誤したと言います。しかし、今ではGotFunnyの売り上げの95%が、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアでブランドを知った消費者によるものです。

GotFunnyが運営するオンライン通販サイトGotFunny.comのトップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
GotFunnyが運営するオンライン通販サイトGotFunny.comのトップページ(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

ソーシャルメディアを始めた当初、TikTokの投稿に対する閲覧数は少なかったようです。

ある意味で、ちょっと頑張りすぎていたと思います。TikTokへの当初の投稿はとても作り込んだ感じでした。バズるようになるコンテンツを意図的に作ろうとしていましたし、消費者のためではなく、アルゴリズムのためのコンテンツを作ろうとしていました。(オッパーマン氏)

“ブランドらしい”自然体の動画がバズる

オッパーマン氏が、「自分らしく」「自社ブランドらしく」を心がけた動画を作成すると、TikTokのフォロワーは10万5000人にまで増え、動画は何百万回も再生されるようになりました。

一例をあげると、流行している曲、効果音、ハッシュタグなどを盛り込んで、3時間かけて作った動画が、300回しか再生されなかったのに対して、「今まで作ったなかで最高のシャツだと思う」と説明しながらTシャツを映す10秒の動画は、50万回再生されました。そこからオッパーマン氏が学んだのは、「自分らしい」コンテンツを作ることが大切であり、そういうコンテンツは視聴者の心に響くということでした。

他の人がやっていることをまねする必要はありません。自分のビジネス、自分のブランドに忠実なやり方によって、口コミで徐々に拡散する方法はある程度わかります。(オッパーマン氏)

広告費をかけなくても最大20倍の売り上げ

オッパーマン氏によれば、TikTokの投稿で50万ビュー以上の閲覧があると、取り上げた商品のオンライン売り上げが通常時と比べて200%から2000%増加するということです。

@brys.online

He's so sassy. He would have made a great drag queen if he wasn’t too busy dragging himself alongside degenerates…

♬ original sound - David Pakman
オッパーマン氏がTikTokに投稿した動画の一例

これらの動画はすべてオーガニックな投稿で、広告費は一切かけていません。たとえ自社サイトで商品の宣伝をしていても、広告のように感じさせないことが大切だとオッパーマン氏は言います。

当初は1日に2、3回投稿していました。現在は1日に1回だけの投稿です。こうすることで、オッパーマン氏はただ急いで何かを動画でまとめようとすることがなくなり、各投稿がきちんと閲覧され、自然に広がっていくようになったと言います。

1日に2、3回投稿していた頃は、息つく暇もなくコンテンツを作っていました。(オッパーマン氏)

この新しい戦略は、オッパーマン氏に適していました。なぜなら、自分が面白いと思うコンテンツを作ることができるようになったからです。GotFunnyのTikTok視聴者の56%は15-24歳、37%は25-34歳で、合計93%が35歳以下。オッパーマン氏は26歳で、GodFunnyの商品ターゲット層と同年代なのです。

『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsがオンライン通販利用者1070人を対象に実施した調査(2023年4月実施)によると、ソーシャルメディアは若い消費者に影響を与えていることがわかります。

調査結果によると、18歳から39歳の消費者の半数以上が、ソーシャルメディアがオンライン購買に影響を与えていると回答しているのです。

SNSはオンラインショッピングに影響力があると評価する割合(年代別)(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)
SNSはオンラインショッピングに影響力があると評価する割合(年代別)(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査)

事例に学ぶTicTokとInstagramの使い分けと違い

GotFunnyは、すべてのプラットフォームに対して同じような動画を投稿しているわけではありません。オッパーマン氏はTikTokの動画をInstagramのリール(5秒から最大90秒のショート動画をシェアする機能)に投稿しています。また、TikTokに投稿する画像とは別に、より販売に重点を置いた別の画像をInstagramのページに投稿しています。

Instagramの投稿は「より『見た目が美しく』、売り上げにつながるような高い生産価値を備えている必要があります」とオッパーマン氏。TikTokの視聴者層とプラットフォームの仕組みは“カジュアルな動画”に向いており、GotFunnyのブランドに適しているとオッパーマン氏は考えています。

GotFunnyによるInatagramのフォロワー数は4万5500人。TikTokのフォロワー数よりはるかに少ない理由は、このような視聴者の好みの違いが理由となっている可能性があります。

ただし、フォロワーの年齢層はTikTokおよびInstagramとも同様で、GotFunnyのInstagramフォロワーの85%は35歳未満です。

TikTokに比べてInstagramには、人々がフォローし、関わりを持ち、宣伝されていると感じたり、場違いだと感じたりしないような、ビジネスアカウントを構築するための機能や方法がたくさんあります。一方、TikTokは違います。TikTokは個人的に楽しむために利用している人々が多いようです。TikTokの利用者は物を売りつけられたりすることを望んでいないのです。このような違いがフォロワー数の違いに表れていると言えます。(オッパーマン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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