EC利用者1000人に聞いた「購買行動に影響を与えるデジタルマーケティング」【消費者調査まとめ】
米国の大手EC専門誌『Digital Commerce 360』がオンライン通販利用者1015人を対象に行ったデジタルマーケティング調査のまとめをお伝えします。
マーケティングに大きな投資を行っている小売企業にとって、オンライン上でリーチしたい消費者を理解することが不可欠となっています。
『Digital Commerce 360』は、Bizrate Insightsと共同で、2022年5月にオンライン通販利用者1015人を対象に、購買行動、オンライン広告への反応、ソーシャルメディアの役割などに関する調査を実施しました。
「どのマーケティング施策がオンライン購入の意思決定に影響を与えますか?」という問いに対して、無数のマーケティング活動が消費者の購買行動に影響を及ぼしていることが、今回の調査で明らかになりました。
Eメールは依然として多くのマーケティング施策の要
44%が影響力ありと回答した一般的な広告メールから、購入後のコミュニケーションメールまで、Eメールは依然としてかなりの影響力を持っています。オンラインショップの場合、注文時に発生するコミュニケーションでも活用されています。
少なくとも回答者の5人に1人がEメールの影響力について言及。注文確認/出荷通知メール内のプロモーション(23%)、カートに残っている商品の案内(20%)、在庫切れメール(20%)などについて触れています。消費者にとって、これらの案内は配送に対する信頼感を高める材料になっています。小売事業者は、Eメールを通じて消費者を購買モードに戻すことが重要です。
カタログを含む従来の郵便物は、依然として通販利用者の心をつかんでいます。カタログやその他の印刷物の影響力は43%で、Eメールに次いで2位。広告に関しては、ネットで閲覧したコンテンツに掲載された広告が最も影響力があり32%。一方、検索エンジンの影響力は17%と半減し、リターゲティングは11%にとどまりました。
ソーシャルメディアの影響力は、広告が21%、一般的なソーシャルメディアへの訪問が18%でした。インフルエンサーは回答者のなかで最も重要度が低く7%。
テキストメッセージ(SMS)の影響力は、回答者の12%でした。
今回の調査から、オンライン通販利用者は小売事業者からの広告メールを受け入れていることがわかりました。消費者は高頻度のマーケティングメールを歓迎しており、それが高い開封率につながっています。
回答者の72%は週に数回、43%が毎日、もしくはそれ以上、広告メールを閲覧しています。彼らは、いつでも購入する準備ができている経験豊富な消費者であり、すべての小売事業者が注意を払うべき層と言えるでしょう。
開封率も重要だが、本当に大事なのは購入してもらうこと
Eメールの開封率が高いにもかかわらず、ほとんどの消費者は月1回しか購入しません。購入に積極的な人を見ると、毎日またはそれ以上購入する2%の人たちと、毎週または週に数回購入する16%の消費者です。
小売事業者の仕事の1つは、まったく購入しない、あるいはほとんど購入しない22%の人たちにPRし、メールを熟読させ、購入機会を与えることです。同時に、小売事業者は受信者の購買頻度を高めるために、Eメールのコンテンツ、配信頻度、戦略を最適化し続ける必要があります。
消費者の節約志向が、プロモーションメールを開封させる大きな要因
オンライン通販利用者を含むすべての消費者は、プロモーションを好みます。調査回答者の62%は、プロモーション関連のEメールを開封する可能性が高いと回答。送料無料に関するメッセージは、37%の回答者に支持されています。
注文関連の連絡のうち、52%が配送と注文の確認メールを開封する可能性があると回答。43%は配達確認のメールを見るようです。大多数の消費者が注文に関連するEメールを開封しており、強力な販売機会となることをを示唆しています。
レビューのページを開いたことがあるのはわずか20%。評価やレビューは購入者にとって重要ですが、購入した商品のレビューを求める小売事業者のリクエストは、それほど注目されていません。
オンライン通販利用者は、以前からロイヤルティプログラム、特に「Amazon Prime」を好んで利用しています。これが、ロイヤルティプログラムに関連したプロモーションの開封率が40%という高い数字になった理由の1つであると考えられます。
「新商品入荷のお知らせ」が26%と高い割合を示しているのは興味深い結果です。また、在庫復活の案内(19%)、季節のイベント告知(13%)も好評でした。補充商品は、一部のカテゴリーでのみ有効であり、開封の可能性は5%にとどまりました。
マーケットプレイスの広告は購買行動に大きな影響
マーケットプレイスが小売事業者やオンライン通販利用者から注目されていることを踏まえると、マーケットプレイスでのマーケティングを考慮することは不可欠です。
消費者の40%がマーケットプレイス広告の影響を受けることがあると回答。11%が常に、あるいはよく注意を払っている一方で、19%は全く気にしていないと回答しています。
販売者は、さまざまなマーケティングやその他の戦術をテスト、そのパフォーマンスを評価し、その結果に応じて施策を調整する必要があります。
ソーシャルメディアを活用したマーケティングの機会
オンライン通販利用者のほとんどがソーシャルメディアを通じた購買活動に積極的と回答しており(67%)、広告主にとって良い兆候です。
Facebookは、オンライン購入につながる可能性が最も高いソーシャルチャンネルと65%が回答しています。しかし、YouTube、Pinterest、Instagramなど、他の多くのソーシャルメディアからの購買の可能性もあり、これらのチャネルも強力な影響力を持っています。この可能性を活用するには、各チャネルの役割とマーケティングの利用方法を理解し、マーケティング戦略を最適化することが必要です。
ソーシャルメディアを通じたショッピングの背後にある「なぜ」を理解することが不可欠です。調査対象者の半数強(52%)はソーシャルメディア経由での買い物をしていません。
残りの人たちは、ショッピングにソーシャルメディアを利用する人は、発見(23%)と新しいブランドや商品を試せること(11%)に強い関心があります。つまり、商品発見のために新しいチャネルを継続的に探しているのです。
また、消費者は常にお金を節約しようとしているため、プロモーションはどのチャネルでも魅力的です。回答者がソーシャルプラットフォームを通じて買い物をする理由のトップはプロモーションです(22%)。
一方で、オンライン通販利用者は、時間に追われているため、どのチャネルでも利便性が重要な役割を果たします。17%はすでにソーシャルメディアを定期的に利用していると回答しており、彼らにとって便利なチャネルであることがわかります。また、6%がソーシャルメディアで購入を促されたと回答しており、ソーシャルメディアは彼らにとって最重要であると言えます。
Cookieレス時代の小売事業者
小売事業者がCookieに関する新しい法律のもとでマーケティングに苦戦していますが、今回の調査から、消費者の多くはCookieの受け入れを選択しています。
4人に1人は常にCookieを受け入れており、これはお得で便利な買い物を継続したいという願望があるためと思われます。つまり、消費者と強い関係を築いている小売事業者は、Cookieに関して有利になる可能性があるということです
まとめ
多くのマーケティング施策が消費者に影響を与える一方で、賢い戦略立案は消費者を知ることから始まります。しかし、一律に対応することはできません。
それぞれの戦術の役割を念頭に置き、ビジネスへの影響を評価するためにテストを実施。また、より多くの消費者にとって重要性を増しているソーシャルメディアを含めることを忘れないでください。顧客を維持することが、生涯価値を高める最善の道です。長期的な視野で考えましょう。