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最大35%のCVRアップに成功したコンテンツ施策とは? 米アパレルECに学ぶ商品購入に直結する動画活用法

米国のアパレル事業者の取り組みから、動画コンテンツの活用でコンバージョンアップにつなげた成功事例を解説します

Digital Commerce 360[転載元]

2023年10月26日 8:00

アパレル商品を購入するとき、消費者は自身のセンスや選んだ商品にどれくらい自信を持っているのでしょうか。たとえば、著名なブランドなら雰囲気や機能性が影響するでしょうし、実店舗であれば店舗スタッフによるアドバイスなどが商品選びの大きなヒントになるでしょう。女性向けアパレル小売業の米Evereve(エバーイブ)は、自社スタッフが商品のモデルを務める動画をオンラインで配信し、コンバージョンの向上につなげています。

記事のポイント
  • 2023年8月から9月中旬にかけて、Evereveの動画を見た消費者のコンバージョン率は、見ていない消費者に比べて12.7%増加した
  • デニムに焦点を当てた動画に興味を持った消費者のコンバージョンは約20%だった

消費者は買い物の指標となるコンテンツを探している

動画はコンバージョンアップに貢献

オンライン上で商品の画像を見ても、自分にどのようにフィットするのかをイメージするのが難しいときがあります。Evereveは自社の従業員が服のモデルを務め、その動画を「Evereve TV」のコンテンツとしてオンライン上で配信しています。

1本あたりの動画の長さは5分~6分程度で、視聴ユーザーは1人あたり平均1.8本の動画を再生しているそうです。すべての動画における、完全視聴率平均(最後まで動画を視聴する割合)は約60%。Evereve チーフマーケティングオフィサーのトム・ノワック氏は「完全視聴率はかなり高いです」とコメントしています。

動画はYouTubeで配信している(編集部が追加)

Evereveが「Evereve TV」を開始したのは2021年。コンテンツは、従業員が服の着こなしでどれだけ商品が自分にフィットするかを説明する動画で構成しています。

毎週4~5本を投稿し、月曜の朝にはライブストリーミングセッションも実施。アパレル商品は旬やトレンドの移り変わが激しい傾向にあるため、「コンテンツは新鮮でなければなりません」とノワック氏は話します。

Evereveのお客さまの購買行動からは、ファッションに興味はあるけれども、最先端のファッションを追い求めたり、おしゃれに敏感というほどではなく、自身に合う着こなしのアドバイスを探している人が多いことがわかっています。アパレル商品は常に新しい商品が市場に投入されるので、新しい動画コンテンツをコンスタントに作る必要があります。内容がすぐに古くなってしまうからです。(ノワック氏)

ノワック氏によると、「Evereve TV」を見た消費者は、動画で紹介している商品を購入する可能性が高いそうです。2023年8月から2023年9月中旬までに、動画を見た消費者のコンバージョン率は、見なかった消費者に比べて12.7%上昇しているといいます。現在、「Evereve TV」はEvereveのブランドのWebトラフィックの4%を占めてます。

「Evereve TV」のWebトラフィックは、今後も徐々に増やしていくことを目標としています。(ノワック氏)

コンバージョンが35%以上向上した商品も

ノワック氏によると、「Evereve TV」でよく再生される商品カテゴリーはデニムで、特にブルージーンズのパンツが人気だそうです。デニムの全体的なトレンドについて語る動画もあれば、従業員がさまざまなスタイルについて自分にどれほどフィットするのか着こなしを紹介する動画もあります。

ある動画では、スタッフがジーンズの端をどのように折り返すかや、ジーンズの裾のカットに合わせて、どのようなトップスをコーディネートするべきかを視聴者に紹介しています。

Evereveのスタッフがさまざまなタイプのジーンズパンツとその着こなしを紹介している
Evereveのスタッフがさまざまなタイプのジーンズパンツとその着こなしを紹介している

デニムに焦点を当てた動画を閲覧した消費者のコンバージョンは約20%。デニムの動画で最もパフォーマンスが良かったのは、ワイドレッグデニムのスタイリングの動画でした。動画の影響により、ワイドレッグデニムは2か月の間にコンバージョンが35%以上アップしたと言います。

ノワック氏によると、2023年8月から9月中旬までの期間中、「Evereve TV」の動画を視聴した消費者の平均注文金額は、視聴しなかった消費者に比べて28%高かったそうです。

スタッフが顧客それぞれの悩みをピックアック

Evereveの顧客は、事業者独自の基準でおすすめされた商品を買い物するために「Evereve TV」を頼りにしているとノワック氏は言います。

消費者が自分に合うジーンズを見つけることは、もしかしたらその人の人生を変えるかもしれません。そんな商品を見つけてもらうことは、Evereveにとっても大切なことです。

洋服を着たときのフィット感は、商品ごとに微妙な違いがあります。さまざまな体型に対応する、それぞれのスタイルを紹介できることは、重要なことなのです。(ノワック氏)

動画で商品の着用モデルを務めるスタッフは、消費者それぞれの体型を代表して、商品の特徴や注目するべき点などについて話をします。「スタッフたちはプロとして商品に関する知識を持っているため、動画を見ている人に信頼してもらいやすいのです」(ノワック氏)

ノワック氏によれば、高いコンバージョン率に加え、スタイリングの動画を見た顧客は、チェックアウトのときにより多くの服を購入する傾向があると言います。これには、ジーンズに合う服や、複数のジーンズも含まれるということです。

小売事業者が重視するのは「ブランドの本物感」「コンバージョン」

Evereveは今後も「Evereve TV」を利用して、店舗とオンラインショップの利用者を両方ともフォロワーしていく予定です。

Evereveは、スタイリング体験に重きを置いています。私たちのNPS(ネットプロモータースコア)はとても高いです。Eコマースでは、スタイリングの視点と助言をどのようにデジタルの世界に持ち込むかという問題を解決しなければなりません。(ノワック氏)

NPSは、顧客がそのブランドや商品を友人や同僚にすすめる可能性を測る、顧客満足度の指標。顧客アンケートを実施し、1~10の段階で回答してもらい、値を算出します。

マーケティング支援企業であるBelardi Wongのカラ・マーフィー氏(デジタル戦略・統合マーケティング担当副社長)によると「クライアントはブランドの本物感、そしてコンバージョンを重視しています。そのため、小売事業者は商品詳細ページ、Eメール、顧客関係管(CRM)、Meta、Google、YouTube、TikTokの有料広告で動画を活用しています」と言います。

「Evereve TV」は、店舗とオンライン両方の消費者にリーチする最も良い方法です。商品、ニーズ、商品を着るシーン、着る人の体型などの各トピックスについて、お客さまが共感できるようにスタッフに紹介してもらうことが、当社が動画コンテンツでやろうとしていることの本質なのです。(ノワック氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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