高野 真維 6/12 7:00

西鉄ストアは、EC購買データ提供のマインディア、一般社団法人リテールAI研究会と協業し、ECサイトに投稿された口コミ(レビュー)・購買データを元に実店舗の商品説明文(POP)をAIで生成したところ、対象カテゴリの売り上げが全店平均を上回るなど、新しい売り場作りや需要の掘り起こしにつながる一定の成果を得た。

西鉄ストア リテールAI POP データマーケティング EC 口コミ

マインディアが保有するECの口コミ・購買データを元に、AIによる解析と自動生成でPOPを作成し、西鉄ストアの店舗で展開した。

  1. 西鉄ストアのID-POSデータをAIで解析し、顧客層の特性と購買傾向を解明
  2. 1の結果から潜在需要が見込め、かつ種類が多く訴求が難しいカレーカテゴリと韓国のりを対象商品に選定
  3. マインディアのEC口コミ・購買データをAIで解析し、商品ごとに消費者評価の傾向を特定
  4. 各商品に対して見込み客の特性を踏まえた商品説明文を、AIで自動生成

4月24日から5月21日の4週間、AIで生成した商品説明文のPOPを、西武ストアの店舗「レガネット 牛頸」と「レガネット 東郷」の2店で展開した。「レガネット 牛頸」でのPOPの対象はカレーの定番棚に並ぶSKU30点。「レガネット 東郷」でのPOPの対象は特定のSKU1点。

「レガネット 牛頸」ではカレーの棚にAIで生成したPOPを展開
「レガネット 牛頸」ではカレーの棚にAIで生成したPOPを展開
「レガネット 東郷」でも重点商品にAI生成のコピーを採用
「レガネット 東郷」でも重点商品にAI生成のコピーを採用

得られた成果は次の通り。メーカーが販促費を過剰に使うことなく顧客と商品の出会いを創出するなど、小売事業者だけでなく、メーカー、消費者の3者の課題を解決できると見ている。

  • 売り場提案力の増強
    実験店舗におけるカレーカテゴリの対象SKU売上構成比が全店平均を6.5ポイント上回る67.5%となった。「実際の購入者の口コミとAIに基づく商品説明は、情報の信頼性の高さから、顧客に対し選ぶ楽しみと出会いを提供する」という評価が得られた。
  • カテゴリ全体の売上アップ
    カレーカテゴリの売り上げが前年対比105.5%(全店平均と比べて0.9ポイント増)となった。顧客に「選ぶ楽しみ」を提供することで、売れる商品のすそ野が広がり、カテゴリ全体の売上アップにつながった。
  • 商品が売れるPOPの作成
    実工数をかけずに購買につながるPOPを自動で作成することができた

なお、スーパーマーケット、メーカー、消費者が抱えていた課題は次の通り。

  • スーパーマーケットの課題:食品スーパーの売り場においては作成工数や費用の観点から、POPを付ける商品は重点商品に限定される。そのため、特に定番商品の販促手段は価格訴求が中心になってしまいやすく、安く売ることが利益を圧迫する要因となっている
  • メーカーの課題:プロモーションに多大な広告費や販促費がかけられないメーカーの商品は、消費者の認知と販売機会を得ることが難しく、価値ある商品であっても新規のユーザー獲得が難しい
  • 消費者の課題:現状の売り場では、パッケージの情報や限られたPOPの情報でしか商品を選ぶことができない。またそれらの情報も、メーカー・小売店の販売者による説明で、中立性に欠ける

これらの課題は、西鉄ストア、マインディア、一般社団法人リテールAI研究会が今回の取り組みで協業した背景となっている。取り組みは、マインディアが保有するEC購買データ/オンライン行動データのオフラインリテール活用を目的に、1月に3社で開始した。

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