石田 麻琴[執筆] 8:00

ECビジネスを営む私たちはいつも「連続性のなか」にいます。しかし、お客さまは「断片的」にしかECサイトを見ません。連続性のなかから生まれる固定概念に縛られず、常に「新しい視点」でECサイトを見るお客さまを感じましょう。

今日初めて出会った人の視点に気づくこと。

廃業寸前だった名古屋銘菓「鯱もなか」を救った、SNSユーザーの“斜め上をいく着眼点” | DIAMOND online
https://diamond.jp/articles/-/356586

「鯱もなかって、かわいいよね!」

僕自身、「鯱もなか」の形のユニークさや名古屋っぽさが全面に表れているところに魅力を感じていたものの、これまで「かわいい」と捉えたことは一度もありませんでした。

最初にこの声を聞いたとき、「はたして、かわいい、のか…!?」と戸惑ったことは事実です。けれども、この視点が「鯱もなか」の売上を伸ばすヒントになるかもしれません。

いつだって新しい視点はお客さまが教えてくれます。

商品への反応、お問い合わせ、レビュー、今回のようなSNSのコメントも、EC運営側には新しい視点になりえます。EC運営側は毎日商品やECサイトを見ているので、どこか考え方が固定化されていってしまうのですが、お客さまは毎日同じ商品を見ているわけではありません。

「素人の視点」。ここに気づくことが大事なんですよね。

プレスリリースでは「専業主婦の娘が店を継ぐ」というところに焦点を当てていましたし、事実、元祖鯱もなか本店の代表取締役は妻なので、大竹さんに相談のうえ、妻をメインとした取り上げ方をしてもらいました。

その他、「廃業寸前」というネガティブなワードをあえて入れることで読者に興味を持たせている点などは、すべて大竹さんのアイデアです。

プレスリリースにより「Yahoo!ニュース」に取り上げられたことが、「鯱もなか」さんの飛躍のきっかけになったとのことですが、ポイントはこの「プレスリリースの焦点」なんですよね。現在の日本の社会問題でもある「事業承継」を意識したプレスリリースとして発信したのだと思われます。

この「社会問題と絡める」というのがポイントで、「事業承継の問題」→「鯱もなかさんの取り組み事例」というようによりメディアが取り上げやすくなるわけなんです。

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今週の名言

2025年のEC業界展望:「ECの低成長時代」で、一番大切なことは何か? | コマースデザイン
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ある程度「身軽」になっておかないと、チャンスが現れたときに、飛びつくことができません

私見ですが、この状況で伸ばしている企業は、(1)コスト削減や業務効率化で「余剰リソース」を生み出し、(2)そのリソースを自店舗の伸びしろに「投資」しているように思います。

坂本さんがおっしゃるように、今の時代に大切なのは「余裕」だと思っています。

インターネット社会、SNS社会はどうしても「今」ばかりが見えてしまうので、考え方も近視眼的になりがちなんですよね。今欲しい、今儲けたい、今成功したい、今注目されたい。。

「今」の誘惑があるなかで、いかに時代の変化を読み取り変化から生まれる「ズレ」に気づき、そして飛び込めるか。

「余裕」がなければ、チャンスは気づかぬうちに通りすぎていってしまいます。

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