大嶋 喜子[執筆] 6:00

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは、発電所の売買や開設支援などを手がける辻・本郷スマートアセットと、国内の系統用蓄電池(電力系統や再生可能エネルギー発電所に接続される大型の蓄電池)の普及・拡大を目的とした合弁事業の実施で基本合意したと発表した。

合弁事業の出資比率は、クラダシ51%、辻・本郷スマートアセット49%。この合弁事業では、蓄電所運用を目的とした蓄電所投資ファンドの組成も検討している。2年以内に5案件以上の系統用蓄電所を両社で共同開発し、運用を予定している。

合弁事業で想定しているスキーム
合弁事業で想定しているスキーム

クラダシは辻・本郷スマートアセットが有する太陽光発電および蓄電池事業のノウハウと実績を生かし、蓄電池を中心とした再生可能エネルギー領域の事業拡大を図る。

合弁の背景

クラダシは、2025年1月に栃木県の「栃木小山蓄電所」を取得し、系統用蓄電池事業に参入。2025年8月には、再生可能エネルギー事業における投資計画として系統用蓄電所4案件に関する投資計画を発表し、再生可能エネルギーの普及と電力ロス削減に取り組んでいる。

クラダシと辻・本郷スマートアセットの両社は、2025年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」における再生可能エネルギーの拡大方針を加速させるべく、その実現に貢献する系統用蓄電池の普及を目的として合弁事業を基本合意した。

系統用蓄電所の工事はYKエンジニアリングと連携する予定。

クラダシの2025年7-9月期業績は売上高11%増

クラダシが発表した2025年7-9月期(第1四半期)連結業績によると、売上高は前年同期比11.4%増の7億3000万円、営業損失は1500万円(前年同期は8100万円の損失)、経常損失は3400万円(前年同期は8100万円の損失)、四半期純損失は4100万円(前年同期は8300万円の損失)だった。

系統用蓄電池事業は、9月に日本卸電力取引所(JEPX)市場で取引を開始。12月の需給調整市場での取引開始から本格的な売上高・利益へのインパクトを見込んでいるという。

2026年6月期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の見込み
2026年6月期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の見込み

クラダシは、2027年6月期を最終年度とした中期経営計画で、売上高100億円を目標としている。

中計の成長戦略では、①EC事業の拡大 ②サプライチェーンにおける機能拡張 ③新規事業による非連続な成長 を三本柱としている。系統用蓄電池事業は「新規事業・新規領域」として推進している。

クラダシが中計で掲げている成長イメージ
クラダシが中計で掲げている成長イメージ
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