読者のみなさんは日頃、電話やメールでお客さまと接することが多いと思います。商品をお買い上げいただいたり、商品やサービスへの感想をうかがったりするのは楽しいことですよね。でも、苦情・クレームが寄せられることも少なくないのではないでしょうか。

この連載では、そんな苦情・クレームや、その中に潜む「モンスタークレーマー」への対応法について解説します。

苦情・クレームの7つの発生要因

お客さまが増えて商品が売れれば売れるほど、苦情・クレームの発生率がある程度上がるのは避けられないことです。しかし当然、それらを最小限にする努力はするべきです。まずは自社の苦情・クレームの発生源を整理しましょう。

ネットショップで起こる苦情・クレームの発生要因は、大きく分けて7項目からなります。

 
分類内容
①商品関連破損、未着、効果効能「商品が破損していた」「サイズが合わない」「商品が欲しいタイミングに届かない」「商品に効果がない」「イメージや色が違う」「赤みが出た」(身体クレーム)
②サービス関連配送、返品、値引き、返金保証、ポイント「返品したいのに受けてもらえない」「返金保証すると言っていたのにしてもらえない」「ノベルティグッズが違うものが届いた」「割引されていない」「ポイントを利用したかった」
③接客関連オペレーターや配達員の対応「オペレーターや配達員の対応が悪かった」「たらい回しにされた」「電話が繋がらない」
④情報関連販売サイトや会員誌の誤表記、写真・記事の流用「HPの表記がおかしい」「顔写真が勝手に使われた」「表記された情報が違う」「自分の記事が勝手に会報誌に記載されている」
⑤決済関連決済方法(カード、代引き、コンビニ)、未払い、督促状、返金「自分の気に入っている決済方法がない」「支払ったはずだ」「何で今頃、督促が遅い」「いきなり弁護士から請求が来た」「返金が届かない」「値引きが入っていない」「送料は無料だと聞いている」
⑥システム関連ショッピングカート、定期購入、頒布会などの不具合「ショッピングカートが使いにくい」「カード情報を入れるのが怖い」「自宅のPCがエラーを起こした」「定期購入の変更ができない」「頒布会などのキャンセルができない」
⑦法律関連薬事法、特商法、表景法、個人情報保護法「薬事法違反ではないか?」「返品の方法がわかりにくい」「二重価格ではないのか?」「個人情報が勝手に使われている」「個人情報を漏えいしているのではないか?」「同意していないのに商品が送られてきた」

店舗や商材ごとに発生する苦情・クレームの内容が違うと思いますが、まずはこれらの項目について起こりうる問題を洗い出し、あらかじめ対応を考えておきくことが大切です。

実際にお客さまと接してみると、中には始めから激しい口調の方もいらっしゃいます。しかし、それを真摯に受け止め、迅速に対応し、相手の困惑や悩みを解決できれば、相手から信用を得ることができます。そしてその対応が今後の売上に影響してきます。苦情・クレームは商品やサービスを成長させる鍵なのです。

一般のお客さまの中にモンスタークレーマーがいる

このように、一般のお客さまからの苦情・クレームは、企業としてはむしろ歓迎すべきものです。

しかし、中には始めから金品を奪うことを目的とした不届き者が、残念ながら存在します。この連載ではそのような、お客さまのふりをしたお客さまではない人間のことを「モンスタークレーマー」と呼びます。モンスタークレーマーは、ネットショップ運営で起こりうるリスクの中でも、厄介なものの1つです。

モンスタークレーマーの目的は、金品の要求であることがほとんどです。以前対応した事例を図で紹介します。

日曜日、購入者からサポートセンターへメールで連絡。 「商品を使ったら肌が荒れたので返品したい」 サポートセンターは休業日なので対応できず。 月曜日、サポートセンターから購入者に電話したが… 「商品は捨てた。返品はできない」 「私は連絡した。日曜日に対応しないそちらが悪い」 「返金してほしい」 「肌が荒れた。どうしてくれる!」 あなたなら、どう対応しますか?
図 モンスタークレーマーからの不当な要求の例

このような要求を突き付けられ、悩んだ経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。他にも、

  • ミスを誘発する注文方法を行う
  • 理不尽な返品を繰り返す
  • ミスや言い間違いに付け込む
  • 本来必要のない要求をしてくる

これらがモンスタークレーマーの特徴です。モンスタークレーマーは苦情・クレームのふりをして近付き、必要以上の要求を行います。苦情・クレームとモンスタークレーマーからの不当な要求は、入り口は同じように見えて、まったく違う性格を持つものです。

この違いを理解せず、苦情・クレームに対してモンスタークレーマーに行う対応をしたり、不当要求に対して問題の解決を行ったりすると延々とトラブルが続くことになります。「苦情やクレームに悩んでいる」という経営者や担当者は、通常の苦情・クレームと不正要求の区別が付いていない場合がほとんどです。

対応する社員を守るためにも取り組もう

モンスタークレーマーの被害は金品だけではありません。例えば、運悪くモンスタークレーマーに遭遇したら、対応した社員はお客さまと接することに恐怖心を抱くようになるでしょう。当然、精神衛生的にも良くありません。

人はネガティブになると良い対応ができなくなります。落ち込んだ暗い声のオペレーターからものを買いたいとは思いません。また通常のお客さまでも、萎縮した社員からモゴモゴと自信のない小さな声で対応されてはイライラがつのってしまい、気付いたら大きな声を出していた…なんてことが起こる可能性もあります。これはまさに悪循環です。

モンスタークレーマーの対策は、収益や商品を守るためだけでなく、社員を守るためにも取り組むべき項目なのです。そのためにはリスクを把握し、ルールを作成し、自社の規程によって、社員全員が自信を持って対応できるようになることが重要なのです。

◇◇◇

次回は、具体的なモンスタークレーマーの見分け方について解説します。

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東 弘樹

HAZS株式会社

HAZS(ハッツ)株式会社代表取締役。

1964年生まれ。87年輸入貿易商社90年大手信販会社:営業・債権管理・決済システム・商品企画。当時大手通販会社を担当。06年、通販向け受注管理開発会社を経て、07年にHAZS株式会社を設立。09年、通販向け内部統制「少額債権管理 社内体制構築支援」をリリース。 14年、国立大学大学院にて「通販の債権管理」を研究。論文「通信販売における顧客の名寄せ知識の構築」などを発表。現代社会において、優良顧客と社員のためにリスクマネジメントは必須であると、通販・ネットショップに対して実践的なリスクマネジメントのノウハウを提供している。

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