中国ECでマタニティ商材が売れるワケ。「二人っ子政策」への転換が日本企業に追い風
中国IT情報・コンサルティングのAnalysys社とマタニティ製品ブランドの販売などを手がけるKidswant社の発表によると、2018年の中国EC市場は7兆960億元規模(日本円で約113兆円)へと拡大する見通し。そのうちモバイルショッピングは5兆5436億元(日本円で約88兆円)で、市場全体の8割を占める規模にまで達する。
中国EC市場は赤ちゃん・子供向けなどのマタニティ商材がけん引する
発表(2016年12月)した調査資料は「中国マタニティ産業白書2016」。今後、急拡大するマタニティ産業(調査報告書が対象としているマタニティは、妊産婦および0~14歳の子供の衣食住、日用消費、エンタテイメントなどを意味する)にフォーカスしている。
中国政府は1979年から実施してきた人口抑制策「一人っ子政策」を廃止。2016年1月1日から、どんな夫婦も2人まで出産することを認める「二人っ子政策」が正式にスタートした。今後、新生児の増加が見込まれており、マタニティ関連商材のインターネット消費が拡大するとみられている(1980~90年代生まれの若い親はネットで商品を購入したり、調べたりする傾向が強い)。
これまで「一人っ子政策」が行われてきたが、経済成長に応じて可処分所得が上昇したことによって、子供にかける費用も上昇していることが背景にあると考えられる。こうした経済環境なども背景に、2015年の中国ネット通販市場規模のうち、マタニティが占める割合は5割超を記録(約2兆元、日本円で約32兆円)。2018年になっても4割以上を占める見通しである。
赤ちゃんや子供向け商品へ人気が集中している状況は、11月11日に行われる中国ネット通販の祭典「独身の日」(ダブルイレブン、W11)のデータからもわかる。
2016年の「独身の日」において、「天猫国際(Tmallグローバル)」で最も売れたのは「ムーニー紙おむつL54枚入り」(販売個数は60万個以上)。2位はミキハウスの男女子供向け限定福袋、8位に「メリーズ紙おむつL54枚入り」が入っている(詳しくはこちらをどうぞ)。
店舗別の売り上げ上位店では、全体の3位にムーニー旗艦店、4位にミキハウス旗艦店がランクインしている(詳しくはこちらをどうぞ)。
中国現地企業の販売データから見るマタニティ市場
2016年1~11月におけるKidswant社の販売データを見ると、「乳幼児粉ミルク」「紙おむつ」「哺乳瓶/離乳食器類」「ベビーウォッシュ類」のカテゴリーでは、中国ブランドよりも欧米や日本などの海外ブランドの方が人気を集めている。
たとえば、「哺乳瓶/離乳食器類」ではピジョンが1位。「紙おむつ類」では花王が1位で、大王(3位)、ムーニー(4位)が続く。「ベビーウォッシュ類」でもピジョンが3位に入った。
Analysys社が、7億5000億台のスマートフォンと、1億5000億人のモバイル・アクティブユーザー(月間)に対する追跡調査を行ったところ、中国のマタニティ・アプリユーザーのうち、30歳以下の若いユーザーが85%を占めた。
学歴構造を見てみると、高等教育(短大生、大学生、院生及び院生以上)を受けたユーザーは46.8%も存在した。
「中国マタニティ産業白書2016」は、中国マタニティ産業のサービス状況と発展傾向のほか、主なマタニティ商品の売上ランキング、消費者の収入、アクティブ時間帯などの詳細データも掲載されている。
また、越境分野に携わる中国マタニティの業界地図も公開している。