【2016年版】中国人はどの国のECサイトを使う? 何を買う? など越境EC利用状況まとめ
中国のリサーチ会社iResearchはこのほど、2018年に中国人が海外のECサイトなどから商品を購入する越境EC(輸入)小売市場の規模は5260億元(日本円で約8.8兆円)に拡大する見通しを示した。輸入に関する越境EC全体(BtoB含む)の27.9%を占める見通しで、右肩上がりで成長を続ける。
中国人の越境EC利用が急拡大している3つの理由
2016年の越境EC(輸入)小売市場の規模は2198億元(日本円で3.5兆円)になる見通し。成長率は2015年比85.6%増と大きく伸びる。
iResearchが2016年12月に発表した「中国電子商務生命力報告書2016」によると、中国人の越境EC利用が急激に伸びている理由は3つあるという。
政策上の支援「保税区活用」
中国政府が始めた「保税区」(越境EC試験区)を、海外企業が活用していること。「保税区モデル」は、コンテナ船や飛行機を利用して一度に商品をまとめて保税区に送り、通関手続きを経ずに中国国内の保税倉庫内に商品を保管する方法。注文を受けたらその都度、保税倉庫から出庫するため、中国消費者の手元に数日の配送期間、低コストで配達できる。
上海、重慶、杭州、寧波、鄭州の各拠点で2013年8月に施行・スタートした「保税区」は現在、中国全土の都市に広がっている。保税区の特徴は、税関、検査、販売チャネル、物流業務を統合している点。消費者向けネット通販における越境ECの保税スキームは、中国現地での輸入許可・関税・各種販売許可などの貿易障壁が大幅に軽減することができる。
消費者意識の変化
2点目は、消費者意識の変化である。2015年の中国人1人当たりのGDPは7600米ドルに達し、可処分所得が増えている。iResearchの調査データによると、2014年、2015年にECサイトで買い物をしたユーザーが最も重視したのが商品の品質。所得も増えていることから、コストパフォーマンスの高い海外商品のニーズが上昇傾向にあるようだ。
設備・サービスなどの発展・改善
3点目は関連設備・サービスの発展や改善。「保税区」の増加にともない、国内の物流大手が越境EC物流に関する業務に参入。越境ECの輸入、決済サービスが改善されていった。支払方法の利便性が高まり、国内EC企業も相次いで越境EC(輸入)小売業務に参入している。
[2016年版]中国人ユーザー越境EC利用動向
越境ECサイトで買い物をする理由
中国人消費者が2016年に越境ECで買い物をする理由を見てみよう。
「品質が保証できる」が最も高く60.7%。「コストパフォーマンスが高い」と「国内ECサイトでは買えない」が続いた。
利用する越境ECサイトの種類
中国人消費者が利用する越境ECサイトの種類を見てみると、「越境ECモール」を選ぶユーザーが断トツで高く、60.8%だった。
越境ECを利用する際の人気国
越境商品で最も人気が高いのはアメリカ商品で、購入率は53.9%。日本は45.7%で2位。韓国商品が35.3%で続いた。
越境ECの人気ジャンル
越境ECの人気商品カテゴリーを見てみると、TOP3は「化粧品/ヘルスケア」(45.7%)「マタニティ」(39.3%)「食品/健康食品」(38.6%)。安全や品質に対する要求が高い商品カテゴリーが人気となっている。また、ファッションに対するニーズも高い。