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セレクトショップを展開するベイクルーズのネット販売が好調に拡大している。前期(2017年8月期)のEC事業は前期比27%増の275億円となった。伸びをけん引しているのは自社ECだ。自社通販サイト「ベイクルーズストア」の前期売上高は同44%増の137億円。同社は店舗とECを融合させるオムニチャネル化を推進しており、それが自社ECの成長を後押ししているようだ。ベイクルーズのEC事業の責任者である上席取締役の村田昭彦氏に、これまでの成果や今後の注力ポイントなどについて聞いた。

オムニ系の施策が売り上げ成長の最大の要因

――前期は自社EC売り上げが全体の半分を占め、じわじわと自社ECの比率を伸ばしている。

「5年前には自社ECの比率が23%程度だった。そこから自社EC強化という目標を決めてやっと半分になった」

――自社ECを含めた売り場の構成比は。

「前期が終わった段階で、自社ECが50%ゾゾタウンが39%残りの売り場で11%になっている。ただ、直近では自社ECの割合は54%程度になっており、徐々に増えている。今年も含め3年後には自社ECで7割のシェアをとる計画

――自社ECの成長はオムニチャネル化の動きが関連しているのか。

オムニ系の施策が売り上げ成長の最大の要因となっている。前期で言うと物流倉庫の一元化をして、そのタイミングでEC用の在庫とそれ以外の在庫を1つの倉庫に入れた。物理的に1か所に集め、かつ、データ的にも統合された」

――店舗やEC含めたすべての在庫が1か所にまとまって一元管理できている。

「すべての在庫が1つのデータベースに集まっていて引き当て可能な状態。かつ、店舗在庫は10秒単位で最新の在庫に更新されているため、ほぼタイムラグがない状態になっている」

――昨年11月にはECサイトも刷新した。

「昨年は先ほどの物流倉庫の一元化と在庫データの統合が1点目で、2点目がサイトのリニューアル。サイト名も『ベイクルーズストア』に変更した。一部店舗在庫の取り置きができるようになり、サービスが拡充されている

通販サイト「Style Cruise(スタイルクルーズ」は、2016年11月に「BAYCREW'S STORE(ベイクルーズストア)」にリニューアル
通販サイト「Style Cruise(スタイルクルーズ」は、2016年11月に「BAYCREW'S STORE(ベイクルーズストア)」にリニューアル(画像は編集部がキャプチャし追加)

――それに先行して昨年3月には会員データを店とECで統合した。直近の会員数は。

「190万人。伸び率では圧倒的にECサイト経由の会員登録が高い」

――同時に会員プログラムも一元化したが、その影響は。

「当社で『クロスユース比率』と呼んでいるが、店舗とECの両チャネルで購入している方の割合がすごく伸びている。当社の場合、売り上げの55%が『ベイクルーズメンバーズ』という会員制度に登録されている方の売り上げになる。そのうち『店舗だけを利用している人』『自社ECだけを利用している人』『両チャネルを併用している人』の3つに分けると、『両チャネルを併用している人』の売り上げが一番伸びており、この1年間で32%から40%にまでシェアが伸びた。両チャネルを使う人の売り上げは前期に50億円増えている」

「一人あたりの購入金額で見ると、店舗だけを利用している人の約3倍になり、両チャネル利用してもらったほうがよい。両チャネルで買っている人の売り上げが増えるのは当たり前だと思われがちだが、両チャネルを利用する人が店舗で買っている売り上げは、店舗だけを利用する人の2倍になる。つまり店舗と自社ECの両チャネルを使う人は店舗で買う回数も増える。情報接触頻度を高めると、店舗に行きたいと思う回数が増えるということ」

――自社ECだけを利用する人と両チャネルを利用する人を比較した場合については。

「自社ECだけで買う人と両チャネルで買う人を比べると、両チャネルを使う人がECで購入する金額は、ECだけを利用する人の1.7倍になる。店舗でのブランド体験を経ている人はECで買う回数が増える。つまり両チャネルを使ってもらったほうがいい。我々としては店舗・ECに関わらずなるべく接触していただき、両チャネルを使い分けていただく方を増やすと、結果的に一人あたりの売り上げも高くなる」

ヒマラヤでは、ベイクルーズのEC事業の責任者である上席取締役の村田昭彦氏
ベイクルーズのEC事業の責任者である上席取締役の村田昭彦氏

物流問題について、「送料は当分無料でいい」

――1年前にベイクルーズのオムニチャネル戦略として、4つの統合という説明があった。まず「会員」「在庫」があり、そこまではメドがついたと。それから「サービス」と「コミュニケーション」ということで、これが仕掛り中ということだった。

「『サービス』は会員プログラムが統合されたり、店舗とECを行き来する仕掛けとして店舗取り置きを導入したり、今後はネットで買って店舗で返品を受け付けるなども含め、両チャネルをシームレスに行き来できるような体験を提供していくための細かな施策をどんどん行っていく。例えばイベントを共通で行うこともその1つで、今までは会員向けセールを店舗とECでバラバラに実施していたのを共通で行う。こうしたサービスの共通化や統合はクロスユース(店舗とECの両チャネル併用)をより促す施策になる」

――「コミュニケーション」の統合は。

「これは今期の注力施策の1つ。CRMも含め、当社で言う『リアルタイムパーソナライゼーション』、リアルタイムにパーソナライズしていくことを進めていく。来春くらいにその仕組みを作る」

――具体的には。

「サイトを閲覧したり購入したお客様にその瞬間瞬間で個別に最適な情報を配信する。一斉に何かの情報を発信することは原則やめており、お客様が受け取りたい情報を受け取りたいチャネルで、受け取りたい時間や頻度で送る。例えば通販サイトであるブランドのコートを見ていて、かつ、渋谷にいるというタイミングに、そのコートが渋谷の当社の店舗に在庫があれば、その瞬間を捉えてメッセージを送るということはリアルタイムでないとできない。店舗の在庫情報をリアルタイムでつかんで、直近のサイト閲覧情報を同時につかんで、なおかつ位置情報も知っていることが必要になる

――情報発信ツールとしてメールやLINEのほかに、アプリも準備している。

「来年3月ごろにリリースする予定。Eコマース用のアプリで、アプリならではの操作性を備え、ビジュアル中心な見せ方を意識している。今は物理的なメンバーズカードがあるが、アプリリリース後はカード持っている方にアプリへの切り替えを促していく。アプリで配信する情報もパーソナライズされたものを流す。ウェブサイト含めて同じ仕組みでパーソナライズしていく」

――来春に「コミュニケーション」面を整備すると、オムニチャネル化という意味ではどの程度進んだことになるか。

「そこまでいくと7割程度はできたかなと。いろいろブラッシュアップしたり、違う仕掛けをしていく必要はあるが、7、8割終わったと思う。あとは微調整や精度をより上げていくなど細かいことはいろいろある」

――今は自社通販サイト「ベイクルーズストア」は送料無料だが、今後については。

送料は当分無料でいいかなと思っている」

――上げる予定は。

「まったくない。必要性がない」

――物流会社からの要請は。

「それは吸収できるコストなので。簡単に言うと。仮に購入金額5000円以下などのラインを区切って送料有料にしてもいいが、実際それをしたところでそれほど差がない。5000円以下で購入される方のシェアは1、2割なので、シンプルに送料無料のほうが分かりやすい」

――今期(2018年8月期)の数値目標は。

「EC全体では前期比2割増の330億円。そのうち自社ECは35%増の185億円。前期はEC全体が27%増で、自社ECが44%増だったので、その意味では抑えている」

――足元の状況は。

「直近2カ月の9、10月ではEC全体は前年同期比で32%増、うち自社ECは2カ月で48%増で推移している。年間通じて出足は良いが、計画以上の推移できているため、目標値は達成できるだろう。ただ、他社も伸ばされているので保守的な目標だけを達成できればいいわけではなく、市場の伸びや競合他社の伸び以上に伸ばしていくことが求められている」

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