天猫国際の「独身の日」。データから見えてきたユーザー像と売れ筋商品の変化とは?
前回に続き2017年の独身の日(W11)についてお伝えします。税関のデータから見ると、「天猫国際(Tmall Global)」の取扱高が全越境ecモールの70%を超えたようです。今回は、天猫国際のW11に関するトピックをまとめました。
天猫国際の話をする前に、全体の話をしておきましょう。
このデータを見ると、年間の中国国内のシェアよりも天猫が数%ほど高くなっています。W11は全モール的なイベントですが、最初に行った天猫がマーケットで主導的なポジションであることがわかります。
こちらはモバイル経由比率のデータです。日本のモバイル経由比率は50%〜60%と言われている中、わずが5年で5%から90%への移行はすごいですね。
弊社運営の天猫国際店舗でも、モバイル経由比率が90%を超えた店舗もあります。天猫国際ユーザーだけで見ると。モバイル比率はさらに高い可能性があります。
天猫国際W11のユーザーとは?
天猫国際のW11におけるユーザー数は、越境ECだけで約6,000万人。2016年と比較して400万人増加しています。は天猫国際の副総経理(副社長)である邢悦氏の発言を総合すると、下記のようなユーザー像が見えてきます。
- 47%が90年代生まれ(17歳から27歳)で海外旅行が好き
- グローバルな視点から海外のコスメ、ベビー用品、健康食品、アパレルなどを欲しいと思っている
誤解されがちなのは「日本の商品がほしい」のではなく、「日本の商品を含めた海外の商品がほしい」と考えているということです。諸外国の中で日本の商品を選択しているに過ぎません。この感覚はまだ日本企業にはあまり理解されていない感覚だと思います。
売れ筋商品は?
2017年の天猫国際におけるW11では、下記のような商品が話題になりました。
- 紙おむつ 230万包 →5〜6万人の1年分
- 粉ミルク 200万缶→およそ5万人の1年分
- アストンマーチンのヨット(3億円)→3台販売
- jayjunのフェイスマスク 425万枚(韓国の商品)
紙おむつやフルグラなど、毎年売れている定番商品も変わらず好調ですが、2017年はフェイスマスクや美顔器、美顔ローラーなどが大きく売上を伸ばしました。
これらの企業はネットのKOL(Key Opinion Leader/ファンが多く影響力の大きいブロガー)の生放送などに加え、中国国内でのリアル展開なども連動させ、ある程度のプロモーションコストを使って売上拡大を図っています。
国別取扱高ランキング
アリババの発表によると、日本、アメリカの順位は2016年と変わらず。2016年に3位だった韓国がランクダウンし、4位だったオーストラリアが3位になりました。
韓国は一昨年から団体旅行への規制が入った影響をかなり受けていると考えられます。
取扱高上昇率ランキング
天下网商の発表によると、今回から発表された取扱高の上昇率ランキングは上記のような結果でした。
シンガポールの商品で売れたのは食品、粉ミルク、コーヒなど。オーストラリアの商品で売れたのはサプリメントだと考えられます。
日本企業ランキング
日本企業ランキングは、1位 花王、2位 moony(ユニチャーム)、3位 雅萌(ヤーマン)、4位 refa(MTG)、5位 utena(ウテナ)という結果でした。
カテゴリー別売上ランキング
コスメ、食品、家具・雑貨、医薬・健康食品など8ジャンル各10社(合計80社)のランキングに、上記の企業以外にもドクターシーラボ、資生堂、カルビー、ライオン、カシオなど、日本企業15社がランクインしています。
3.11の影響でサプリメント関連が伸び悩み、「医療保健(健康食品ジャンル)」で今回初めて日本企業がトップ10にランクインしませんでした。
一方、この半年でアメリカ、オーストラリアのサプリメントが伸びてきています。サプリメントでは日本とアメリカの基準に差があり、日本では医薬品に該当するようなものがサプリメントとして販売されていることも多いため、今後、このあたりをどうブランディングしていくかがキーになりそうです。
背景として旅行である国を訪れ、その国の商品を知ることで越境ECの利用が促進されていることが考えられます。今後、日本もどのようにして自分たちの商品をブランディングし、購入につなげていくのかをさらに考える必要があります。