渡部 和章 2018/6/4 7:00

宅配大手による送料値上げに端を発した「宅配クライシス」を受け、EC各社は宅配会社との契約の見直しを進めている。

宅配荷物の追跡や再配達依頼を行う無料アプリ「ウケトル」を展開するウケトルが実施した調査によると、Amazonと楽天が委託している宅配会社の利用比率は約1年で大きく変化した。

2017年4月と2018年4月における宅配会社の利用比率を比較すると、Amazonは中小規模の配送業者(デリバリープロバイダ)が5.03%から20.28%へと大幅に拡大している。

一方、ヤマト運輸の比率は71.37%から49.25%に低下。日本郵便は20.67%から26.66%、佐川急便は2.93%から3.81%にそれぞれ上昇した。

アマゾンの宅配会社利用率の変化

Amazonの宅配会社利用比率(画像はウケトルのサイトから編集部がキャプチャ)

楽天はヤマト運輸の比率が46.51%から24.02%へと、ほぼ半減した。日本郵便は21.31%から36.42%、佐川急便は33.18から39.56%に拡大している。

楽天の宅配会社利用率の変化

楽天の宅配会社利用比率(画像はウケトルのサイトから編集部がキャプチャ)

ウケトルは調査結果について、次のようにまとめている。

  • 宅配クライシスの前後で、アマゾンはヤマト運輸の利用を減らした一方、デリバリープロバイダの利用を大きく増やした
  • アマゾンは、日本郵便の利用を大きく増やしたと思われていたが、それほど大きく増えていない
  • 楽天のテナント含む宅配会社の利用においても、ヤマト運輸の利用が大きく減った一方、日本郵便の利用が大きく増えた
  • 今回のヤマトショックへの対応は、アマゾンはデリバリープロバイダ、楽天は日本郵便を使うことで切り抜けたと見ることができる

アマゾンと楽天の宅配会社利用率の変化

Amazonと楽天の宅配会社利用率の変化(画像はウケトルのサイトから編集部がキャプチャ)

EC・通販各社が送料値上げ

通販・EC業界では宅配大手各社による値上げを受け、送料の見直しや送料無料の廃止などが相次いでいる。2018年3月以降、セブンネットショッピング、ディノス・セシール、ファンケル、ベルーナ、ニッセン、オルビスといった大手が、送料無料の廃止や送料の実質値上げなどに踏み切っている。

楽天は不在再配達比率の低減に向け、商品受け取りロッカー「楽天BOX」を設置を推進しているほか、コンビニエンスストアでの店頭受け取り、日本郵便の宅配ロッカー「はこぽす」の利用などを進めている。

「ウケトル」は、「Amazon.co.jp」や「楽天市場」など大手ECサイトのアカウントを登録しておくと、荷物の配送状況の確認、再配達の依頼を行うことができるアプリ。配送状況の通知が随時届くほか、履歴管理やワンクリック再購入といった機能も利用できる。

2018年5月30日には、Amazonが契約しているデリバリープロバイダの荷物を追跡できるようになった。

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