瀧川 正実 2018/7/19 8:30

楽天は7月17日に開いた「楽天EXPO2018」で、「プラットフォーム強化」を目的に、「「アフィリエイト料率の変更」「R-mail(全配信の形式)からR-Message(シナリオ形式)への移行」「ワンデリバリーの料金」「チャット機能の導入」を発表した。矢澤俊介執行役員(マーケットプレイス事業ヴァイスプレジデント)の講演から、変更内容などをまとめた。

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アフィリエイト料率の変更

楽天はアフィリエイト料率を変更する
ソーシャルコマースの推進の一環として、アフィリエイト料率を変更する

SNSの台頭により、マスから個人中心のマーケティングに移りつつある状況を踏まえ、アフィリエイトの強化を掲げた楽天。

これまでアフィリエイターへの成果報酬は基本的に1%で展開していたが、それを大幅に改正する。

1%のリワードが、商品を勧める側にとって魅力的かどうか? アフィリエイターの皆さん皆さんからは(楽天のアフィリエイトの料率は)魅力的ではないと言われてきた。(矢澤氏)

こうした状況を踏まえ、料率は店舗が所属するジャンルではなく、登録した商品カテゴリごとに変更する

矢澤氏の説明によると、各商品カテゴリの料率は次のように変更する(一部)。

  • ファッション → 8%
  • 食品 → 8%
  • 日用品 → 5%
  • 家電・型番商品 → 2%

一方で、アフィリエイトの発生報酬に関する計測期間は、従来の30日間から24時間に短縮する。矢澤氏は次のように説明した。

96%くらいの店舗はアフィリエイトに支払う料金は変わらないか、下がるだろう。ただ、4%程度はアフィリエイトへの支払いは上がる。

楽天はアフィリエイト料率を変更
アフィリエイトの発生報酬条件を変更

なお、詳しい料率などについては、7月31日をメドに郵送で連絡するという。

アフィリエイト料率や計測期間の変更内容は、アマゾンのAmazonアソシエイト・プログラムの内容に近しい。

Amazonアソシエイト・プログラムでは、紹介料のセッション終了は「お客様のそのクリックスルーから24時間が経過した時点」に設定。物販に関する紹介料率は0%~8%となっている(メインは2~8%)。

Amazonアソシエイト・プログラムの紹介料率
Amazonアソシエイト・プログラムの紹介料率(画像は編集部がキャプチャ)

ワンデリバリーの料金など

楽天のワンデリバリー構想
「ワンデリバリー」は、店舗、ユーザー、楽天の3者を有機的につなぎ、AI(人工知能)やビッグデータを使って効率化してくという

商品の注文から配送までの仕組みを一気通貫で提供する楽天独自の配送ネットワーク構想「ワンデリバリー」。2020年の実現に向けて料金設定などを矢澤氏が説明した。

基本的には全店舗の全荷物をお預かりし、楽天がすべて配送していく。場合によっては「楽天市場」以外の荷物もお預かりする。最初から在庫をすべてお預かりするパターン、今まで通り店舗の手元にある荷物を注文が入った段階で荷物を出して、楽天が取りにいく。または、楽天の倉庫にお持ちいただくといったいろんなパターンがある。

楽天が発表したワンデリバリーの料金など
将来的には、「ワンデリバリー」で全店舗の荷物の受託をめざす

「楽天EXPO」では物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」にすべての在庫管理をアウトソーシングするパターンに関する料金を公表した。

楽天への手数料、物流への支払い費用(保管料や出荷作業費など)は、「店舗がお支払いする物流コストは従来より下げることをコンセプトとしている。物流費用が改善できる料金体系にしていきたい」(矢澤氏)と言う。

9月1日から「楽天スーパーロジスティクス」の新料金体系でのサービス提供が始まるという。

物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の新料金パターン
物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」(荷物を全委託する場合の価格)

今の宅配クライシスの中では、ある程度、競争力のある料金になっていると思う。ただ、うちのタリフの方が安いという企業さんは、他のキャリアを使ってほしい。(矢澤氏)

R-mail(全配信の形式)からR-Message(シナリオ形式)への移行

R-mail(全配信の形式)からR-Message(シナリオ形式)への移行
コミュニケーション手段を多様化するという

(全配信形式の)「R-mail」のシステムを変えないといけないタイミング。Rメールが多くて嫌だというお客さまもいる。今まで読んでくれるお客さまのことを考えてやってきましたが、これからは「楽天のメールはいっぱいくるから嫌だ」という人のことも考えてシステムを提供していかなければならない。(矢澤氏)

楽天は今後、「R-mail」は少しずつ縮小しながら、シナリオ形式で配信する「R-Message」に移行していく。

「R-Message」は、「購入履歴」「お気に入り」「買い物カゴへの投入」といった消費者の行動データから、楽天がユーザー1人ひとりに適したメールを配信する仕組み。

CPC広告のように予算を設定すれば、楽天がユーザーの消費行動に応じて1人ひとりに適したメッセージを送れるようにする。ユーザーが開封するであろう頻度、購入するであろう商品をレコメンド。ユーザーの属性にあわせて配信頻度を変えていく。(矢澤氏)

R-mail(全配信の形式)からR-Message(シナリオ形式)への移
R-Messageの配信イメージ

矢澤氏は「『R-mail』は継続するものの、ボリュームを絞っていき将来的には値上げするかもしれない。そして、R-Messageに移行していく」と説明。

利用料金については、「R-mail」、CPC広告の相場と同様の価格設計にするとし、「店舗の支払いが増えるような設計にはしない」と話した。

チャット機能の全店舗導入

店舗スタッフと消費者がチャットできる機能で、2017年から試験的に運用を始めた「チャット機能」。これまで約100店舗が試験導入した。

導入店舗では、未利用者と比べて転換率が14.8ポイント向上、平均注文額は未利用者比135.5%。流通効果は楽天の試算で0.41%増という。

楽天が公表したチャット機能の導入効果
チャット機能の導入効果

このチャット機能は9月下旬に全店舗へ導入する。2018年末までは無料で提供。2019年1月以降、スタンダードプランは月額5000円。がんばれプラン・エンパワーメントプランは月額3000円となる。

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