渡部 和章 2018/9/19 7:00
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ECのデバイスがスマホ中心になり、消費者が求める顧客体験は多様化している。ECサイトのUI(ユーザーインターフェイス)、デザイン、サイト内検索、接客、配送……さまざまな顧客とのタッチポイントの中で、消費者が“また買いたい”“このサイトで買ってよかった”と感じる最高の顧客体験を提供するにはどうすればいいのか。

オークションサイト「モバオク」を運営するモバオクの生田目知之部長、EC化率40%超のアパレルメーカーであるナノ・ユニバースの越智将平部長、ECサイト内検索エンジン「goo Search Solution」を提供するNTTレゾナントの北岡恵子氏が徹底討論。モバオクやナノ・ユニバースの成功事例から、顧客体験を向上させるためのヒントを探る。

左から生田目知之氏、越智将平氏、北岡恵子氏
生田目知之氏

モバオク カスタマーサービス部 部長 兼 オークション企画部 部長 生田目知之氏
2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。株式会社モバオクへ出向し、オークションサイト「モバオク」のサービス企画を主に担当。2017年以降はカスタマーサービス部部長も兼任し、サービス全体の品質向上に従事。

 

越智将平氏

ナノ・ユニバース Web戦略部 部長 越智将平氏
2002年、株式会社ナノ・ユニバース入社。店舗での販売業務を経て、2005年よりECの担当となる。2010年よりWEB事業の責任者として、EC事業の拡大、会員制度の構築、デジタルマーケティングを中心に取り組んできた。現在はオムニチャネル戦略を推進中。

 

北岡恵子氏

NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏
2007年、 NTTレゾナント株式会社に入社。「goo」サービスのプロデューサーを経て、アプリ開発者支援サービス「Remote TestKit」の国内外マーケティングを担当。現在はEC向けサイト内検索「goo Search Solution」の導入支援をしている。

 

商品の探しやすさはECサイトのブランド価値を左右する時代

ECで使われるデバイスは、この10年間でガラケーの利用者が減少し、スマホへと移行した。デバイスの変化に伴い、ECサイトに求められる顧客体験はどのように変化したのか。モバオクの生田目氏とナノ・ユニバースの越智氏が、現場で実感している消費行動の変化を語った。

モバオク オークション企画部 生田目知之氏(以下、生田目):「モバオク」が始まった2004年当時は回線速度が今よりずっと遅く、端末のスペックも低かった。そのため、顧客体験を高めるためには検索結果を1秒以内に表示するなど、とにかくページの表示速度を速くすることが重要でした。端末はガラケーでしたから、コンテンツはテキスト中心。画像の質もある程度は犠牲にしていましたね。

現在、「モバオク」の売り上げはスマホサイトが中心です。スマホサイトもページの表示速度が重要であることに変わりはありませんが、それに加えて、「欲しい商品が素早く簡単に見つかる」という顧客体験が非常に重要になってきていますさまざまな企業が消費者の可処分時間を奪い合っているため、消費者はとにかく時間がない。そのため、使いにくいECサイトを避ける傾向が強まっていると感じています。

生田目知之氏
株式会社モバオク カスタマーサービス部 部長 兼 オークション企画部 部長 生田目知之氏

ナノ・ユニバース WEB戦略部 越智将平部長(以下、越智):生田目さんの意見に同感です。スマホのECサイトは表示速度が速く、しかもユーザーが求めている情報を確実に表示することが必須となっています。私が想定しているスマホECサイトのユーザーは、通勤中に電車の中でスマホをいじっている人たち。15分ぐらいの隙間時間にInstagramやFacebookなどをざっとチェックし、残りの数分でECサイトを見ているのかもしれない。そういったユーザーに、いかにナノ・ユニバースのECサイトを訪れてもらうか。そして、一度使ってくれたユーザーをいかに離脱させないか。その答えの1つが、ページの表示速度と商品の探しやすさにあると思います。

生田目:最近の消費者の中には、ECサイトで商品を探すことすら面倒に感じる人が増えているような気がします。そういった消費者に対して、いかに適切に商品を表示するかが問われていますよね。

越智 :私は最近、「買い物をしやすいECサイトはブランド価値が高い」と考える消費者が、若年層を中心に増えているように感じているんです。検索したら欲しい商品がきちんと表示されている、返品の期日や返品方法がわかりやすく表示されているとか……消費者にとって便利なECサイトを運営しているブランドのことを「かっこいい」と感じる消費者が増えているような気がします。

越智将平氏
株式会社ナノ・ユニバース WEB戦略部 部長 越智将平氏

スマホECはサイト内検索の使いやすさが顧客体験に直結する

ECのデバイスがスマホ中心になり、生田目氏と越智氏があげたのが「サイト内検索」の重要性。検索の精度はECサイトのコンバージョン率や売り上げに直結。検索の使い勝手が悪ければ、ブランドイメージの悪化に直結する。スマホEC時代に必要なサイト内検索とは、どのようなものなのだろうか。

NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏(以下、北岡):ECサイトの利便性がブランドの価値を左右する時代になっているということですね。利便性を高めるという観点から、サイト内検索の影響についてどう感じていますか?

北岡恵子氏
NTTレゾナント株式会社 スマートナビゲーション事業部 北岡恵子氏

越智 :ものすごく重要ですよ。とくに、表記揺れに対応できていないと、商品に気づいてもらうことすらできませんから。通勤中の電車内で、つり革につかまって片手でスマホを操作していると、ブランド名や商品名を正確に打てないことは多いです。また、ブランド名を入力する際、英語を使う人もいればカタカナや平仮名を使う人もいます。場合によっては、「NIKE」を「にけ」って入力してしまうこともあるでしょう。

スペルミスがあろうが、カタカナだろうが、平仮名だろうが、消費者が探している商品を正確に表示しなくてはいけません。もし検索結果に商品が表示されなければ、「このECサイトは商品を扱っていない」と消費者に判断されてしまう。すごく厳しい時代ですよ。

adidas adidus アディダス あでぃだす
「adidas」の記入例。越智氏は、スマホEC時代は「表記揺れ対応は必須」と強調する

生田目サイト内検索の精度は顧客体験に直結します。「モバオク」はキーワード検索で商品を探すお客さまが非常に多いですし、取扱商品数が100万点を超えているため、キーワード検索の精度が高くないと欲しい商品を見つけられません。検索はオークションサイトの売り上げを大きく左右する要素です。

北岡:近年の消費者の傾向として、ECサイトの検索結果の表示が数秒でもあると待てなくなっている人が増えていると感じています。優れた買い物体験を一度経験すると、そこよりも遅いサイトでは我慢できなくなっている。これからのECサイトは、消費者にとって最高レベルの使い勝手を持ったサイトでなければ選ばれなくなるのかもしれません。

生田目:北岡さんがおっしゃったことで言えば、検索窓に「ヴ」と入力したら「ヴィトン」がレコメンドされないとお客さまが離脱してしまうぐらいの危機感を持つ必要がありますよね。大げさじゃなく、モバオクはそのぐらいの気持ちでサイト内検索を改善しています。

左から越智将平氏、北岡恵子氏、生田目知之氏

サイト内検索を改善して売上2倍以上

モバオクとナノ・ユニバースは2017年、NTTレゾナントが提供するサイト内検索エンジン「goo Search Solution」を導入した。2社は導入前、表記揺れに対応できないこと、キーワードと商品のマッチング率の低さなど、さまざまな課題を抱えていたという。

北岡:ナノ・ユニバースは、サイト内検索の表記揺れへの対応や、キーワードのマッチングに課題をお持ちでしたよね。

越智:アパレルのECサイトでは、膨大な数のブランド名や商品名が検索で使われますし、「ジャケット」「パンツ」「スーツ」といった商品カテゴリーや、「半袖」「長袖」といったスペック、「夏物」「冬物」といった季節の用語、「アウトドア」や「二次会」といったシチュエーションに関する単語など、さまざまなワードが使用されます。そして、表記揺れも多い。きちんと対応しないと、検索結果に1件も表示されない「0件ヒット」が大量発生し、機会損失を生んだり、ブランドイメージの低下を招いたりすることが課題でした。

生田目:「goo Search Solution」を導入してそれらの課題は解決できましたか? コンバージョン率や売り上げなど、数値として表れた効果があれば、ぜひ教えてください。

「goo Search Solution」の特徴
gooの膨大な量の検索データ(最新の情報やトレンドな情報も含め、日々膨大な量が蓄積されるgoo検索データを活用
データ解析
ユーザーの行動履歴から検索結果を最適化
ユーザーの行動をフィードバック
貴社のデータ(貴社の検索ログから分析、貴社のためだけのオリジナル検索データを自動生成)
モバオク、ナノ・ユニバースが導入した「goo Search Solution」の特徴
なつめそうせ → 夏目漱石 検索ワードのサジェストを表示する
検索ワードのサジェストを表示することで、ユーザーの入力負担軽減、意図しない検索結果ページへの移動を回避できる

越智:まず「0件ヒット」は大幅に減りました。スマホUIに合わせた機能としては、検索条件に合わせてよく利用される絞込み候補を表示する「タッチサジェスト機能」を実装したことで、キーワード検索から商品ページへの流入数が増えましたね。キーワード検索経由のコンバージョン率は「goo Search Solution」の導入前と比べて約185%に向上しましたし、キーワード検索経由の売り上げは導入前比で2倍以上に増えています。機能開発だけでここまで売り上げが伸びることはめったにないので、正直驚きましたよ。

ナノ・ユニバースのECサイトでは、カテゴリー検索の利用頻度が高いため、キーワード検索の機能開発は後回しになっていたんです。でも、キーワードで商品を探すお客さまは、欲しい商品がある程度決まっているわけですから、探している商品にたどり着けばコンバージョン率は高い。当たり前のことですが「goo Search Solution」を導入するまで、その機会損失の大きさに気づきませんでした。

ナノ・ユニバースに実装されたタッチサジェスト機能
ナノ・ユニバースは検索改善のタイミングで「タッチサジェスト」を導入。「ユーザーによく利用されている絞込み条件」をログから解析し、検索条件ごとに絞込み条件をサジェストする

北岡:モバオクは「goo Search Solution」を導入する前、キーワードとのマッチングに課題をお持ちだったと伺いました。

生田目:オークションサイトで使われる検索ワードは、一般的なECサイトとは異なる点が多く、満足できるサイト内検索エンジンを見つけられていませんでした。たとえば、オークション終了間際の商品はアクセス数が増えるため、終了間際の商品を優先して表示するなど、独特のアルゴリズムが必要となるんです。また、「傷なし」など中古品ならではの検索ワードもあります。

北岡:「goo Search Solution」を導入したことで、そうした課題は解決できましたか?

生田目:検索ワードと商品のマッチング率はかなり改善しました。その成果は数字にも表れています。フリーワード検索したお客さまが検索結果に表示された商品をクリックする割合は、従来の検索エンジンと「goo Search Solution」でABテストを約2カ月間行ったところ、ほぼすべての日で「goo Search Solution」のクリック率が上回りました。日によっては「goo Search Solution」が10%以上も高いこともありましたよ。

北岡:効果を実感していただけていてよかったです。お二人にもう1つ伺いたいのですが、サイト内検索エンジンを入れ替えるにあたって「goo Search Solution」を選んでいただいた決め手は、どのような点だったのでしょうか?

越智:表記揺れに対応できることに加え、検索結果を自動でチューニングする機能が決め手になりました。最初から完璧な検索エンジンはないので、検索結果は継続的にチューニングしていかなくてはいけません。そのためにはお客さまが入力した検索クエリや行動履歴を分析し、検索の辞書を更新する必要があります。膨大な検索ワードの検索結果を手作業でチューニングを行うのは不可能ですから、検索の辞書を自動でアップデートしてくれる「goo Search Solution」はすごく便利ですよ。

生田目:モバオクが「goo Search Solution」を選んだ決め手は、機能性の高さに加え、NTTレゾナントの実績や技術を信頼したからです。NTTレゾナントは巨大ポータルサイト「goo」を20年以上運営していますから、システムの運用や技術において安心感があります。また、膨大な検索ログを蓄積しているので、言葉に関しては他の検索エンジンよりも優れていると判断しました。NTTレゾナントの担当者が積極的に提案してくれて、サポートチームの体制も含めて信頼できると感じたことも契約を決めた理由です。

gooで日々たまっていく辞書
貴社の検索ログから作成する辞書
管理ツールで手動登録した辞書
→貴社専用の辞書
「goo Search Solution」は、ポータルサイト「goo」で検索されたキーワードデータを活用し、検索ログから自己学習、検索結果を常時最適化するのが特徴

ナノ・ユニバースとモバオクが取り組む顧客体験の向上策

北岡:最後に、サイト内検索を今後どのように活用していくか、展望をお聞かせいただけますか?

越智FAQにもサイト内検索を活用する計画があります。カスタマーサポートに電話やメールで寄せられるお客さまからの問い合わせに対して、できるだけ自動で回答できるシステムを開発中です。カスタマーサポートに寄せられる問い合わせの中には、クーポンの使用期限や新商品の入荷日など、共通した質問が少なくありません。カスタマーサポートに寄せられた問い合わせを随時、FAQの辞書に反映させ、検索結果として表示できるようなシステムを想定しています。サイト内検索は主に商品を探すために使ってきましたが、これからは商品検索以外にも検索エンジンを活用していきたいと思っていますので、NTTレゾナントにご協力いただきたいです。

生田目今後、キーワードを入力することすら面倒に感じる消費者が増えていくと予想しています。そういった時代に顧客体験を向上するため、指定期間において急激に検索クエリが伸びたワードを検索窓の下にレコメンドする「トレンドワード」をさらに活用していきたいです。そこでNTTレゾナントに要望があるのですが、トレンドワードの表示内容をコンバージョン率などに応じて管理画面で簡単にチューニングできるようにしていただけるとありがたいです。

旅行サイトでのトレンドワード機能の例おすすめ:紅葉 ライトアップ 夜間拝観
「トレンドワード」機能は、「トレンドなワードを自動で出す」だけでなく、さまざまな手法でキーワードを表示することが可能

北岡:貴重なご意見、ありがとうございました。ナノ・ユニバースもモバオクも、サイト内検索を積極的に活用してくださっているので、我々としてもご要望に一生懸命応えて、システムの改善や新機能の提供を続けていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

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