ECプラットフォームと事業者間の取引に関する“生の声”を募集中[経産省アンケート]

結果はオンライン・プラットフォームを巡る望ましい取引環境整備の在り方について検討のために利用するという

瀧川 正実

2018年10月17日 6:00

経済産業省がECモールなどのオンラインプラットフォームを利用している事業者の“生の声”を集めようと、アンケート調査を実施している。集まったEC事業者などの声は、取引環境整備の在り方の検討に利用するという。募集期間は10月22日)まで。

名称は「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査」。アンケート対象はECモール、アプリ・音楽・映像・書籍等のコンテンツストア、オンライン旅行・レストラン予約サービスなどを利用してる事業者を想定している。

商品販売で「利用しているオンライン・プラットフォーム」に関する設問では、「アマゾンジャパン、Amazon.com その他海外の Amazon」「アリババドットコム」「Qoo10(イーベイジャパン)」「JD/京東商城、JD WorldWide/京東全球購」「セブンネットショッピング」「ZOZOTOWN(ZOZO)」「Tmall/天猫、Tmall Global/天猫国際(アリババジャパン)」「ポンパレモール(リクルート)」「MakeShop(GMO)」「メルカリ」「Yahoo!ショッピング、ヤフオク」「楽天市場」「Wowma(KDDI、DeNA)」といったサービスおよび企業が選択肢にあがっている。

経済産業省は「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査」を実施
「オンライン・プラットフォームと事業者の間の取引関係に関する事業者向けアンケート調査」のトップ画面(画像は編集部がキャプチャ)

アンケートの目的

経産省はデジタル市場において、オンラインプラットフォームが、データの収集・分析・活用によって新たなビジネスモデルを創出し、イノベーションを牽引していると認識している。事業者と消費者ともにメリットを享受できる一方で、経営や選択に関する意思決定がオンラインプラットフォームの影響を大きく受ける可能性もあると指摘。「メリットおよび影響について調査・分析を進め、産業政策や競争政策上の観点から望ましい環境整備の在り方について検討をする必要がある」(経産省)という。

なお、アンケートは「オンライン・プラットフォームを巡る望ましい取引環境整備の在り方について検討のために利用するものであり、個別の法令違反行為の検知などを直接の目的とするものではない」(経産省)としている。

どのようなことを調査しようとしているのか

オンラインプラットフォームを利用するメリット、満足度といった項目のほか、トラブルの経験頻度、生じたトラブル、利用規約、販売条件、実務運用といったことをアンケートで調査する。

アンケートの回答時間の目安は約15分間。集計結果は原則として非公開という。なお、回答した企業名は公表しないとしている。

公取委もプラットフォームと事業者間のルール整備に言及

公正取引委員会もオンラインプラットフォームの動向を注視している。7月18日に開いた公取委の委員長と記者との懇談会。この場で、プラットフォーマー型ビジネスに対応したルール整備に記者とのやり取りが及んだ。議事録では次のように記載されている。

何を検討していくかというのは、経済産業省や総務省と相談していかなければならない。私の要望ベースに過ぎないが、特にデジタルプラットフォーマーが非常に重要な支配的地位を確立している現状において、デジタルプラットフォーマーに対して、新規参入を阻害するような行為を行わせないためには、どういう措置が必要なのかというようなことも検討してもらいたいと思っている。

行政がプラットフォームと事業者間に目を光らせたのは今回からではない。2016年、公取委と経産省は共同で、電子商取引(コンテンツ関係含む)などオンラインビジネスに関連するプラットフォーム事業者と、そこで取引関係にある出店者などに対し、事業者間の取引実態などを把握する共同ヒアリング調査を行った。

また、公取委とECモールを巡っては2006年、公取委は楽天、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の3社の大手ECモールと出店者の取引間には、優越的地位の乱用などで独占禁止法違反につながる恐れがある取引関係が存在すると指摘した調査報告書を発表した。

資料公表後、公取委は調査を継続。最終的な結論として2007年、大手モール事業者と出店者の間の取引関係について、独占禁止法に抵触する問題はないとの結論を出し、“シロ”判定を下している。

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