公取委のデジタルプラットフォーマー報告書を詳しく解説。EC業界の流れの1つとして考えてみよう【ネッ担まとめ】
モールに不満がある人にはスッキリする内容とも言える公正取引委員会の報告書。過去の流れをとらえ、未来に向けてどう動くのかを考えるきっかけにしてもらいたいので、今回はいつもより詳しくまとめてみました。
条件反射的にプラットフォーマーが悪いととらえないこと
「手数料を一方的に値上げ」「検索結果の基準が不透明」 デジタルプラットフォーマーの取引実態、公取委が報告書 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1910/31/news130.html
EC全般
生活者が選ぶ “2020年 ヒット予想” &“2019年 ヒット商品”ランキングキーワードは【変化本番】 | ひらけ、みらい。生活総研
https://seikatsusoken.jp/report/14207/
いろいろとキリの良いのが2020年ということですね。
「ついやってしまう」体験のつくりかたには、コミュニケーションデザインのヒントが隠れていた | ウェブ電通報
https://dentsu-ho.com/articles/6935
「導線がジグザグ」「方向感覚の喪失」 ロフトがちょっと変わった店を増やしている理由 | ITmedia
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/31/news035.html
ECサイトのデザインや店舗のレイアウトもまだまだ工夫できそうですね。
誰も教えてくれない、商品名やサービス名のネーミング方法 | note(takejune)
https://note.mu/takejune/n/n137025933062
アカウントチェックは必須です。ショップ名なども同じ考え方で。
気が変わった、お金ない…「代引き」で受け取り拒否のトラブル相次ぐ サービス中止の企業も | 産経ニュース
https://www.sankei.com/premium/news/191028/prm1910280002-n1.html
ここでの損害と手間を考えるとやめたほうが良いと思うこともありますよね。
ヤフーの「PayPayモール」で大規模キャンペーン、「PayPay残高」最大20%相当&総額100億円相当を付与 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6919
本日開始! PayPayモールとPayPayフリマの20%還元、最大還元を受けるには? | BCN+R
https://www.bcnretail.com/market/detail/20191101_143576.html
20%還元のハードルは高いですが、そうでなくてもかなりお得なキャンペーンです。
今週の名言
結局、
動くひとは、動く。
動かない人は、動かない
ただ、それだけのことなのです。
あなたの「本番」はいつ来るんだ?:あなたが「学んで欲しい人」には「学びは届かない」という「皮肉なテーゼ」 | 立教大学 経営学部 中原淳研究室
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/10857
“動く人”になれば動き続けます。まずは動かないといけません。火がついてから動いていては遅いですよ。
筆者出版情報
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まとめると、
10月31日に飛び込んできたこのニュース。記事タイトルと要約だけを見ていると誤った理解をしかねないので、ちょっと丁寧に説明します。
これまでの経緯
そもそもの発端というか、プラットフォーマと呼ばれる企業に対して、公取委などが動き出したのが昨年の12月でした。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/dec/181218.html
これは平成30年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備のために、2019年中に基本原則を定めるというもの。基本原則は以下の7つ。
https://www.jftc.go.jp/soshiki/kyotsukoukai/kenkyukai/platform/kaisai_files/190218_1.pdf
急成長したプラットフォーマーは「社会経済的に不可欠な基盤を提供している」としながらも、「デジタル市場における公正かつ自由な競争を確保するための独占禁止法の運用や関連する制度の在り方を検討する」としています。つまり、みんなに必要なものだけど新しいものなので法制度が追い付いておらず、まずは状況を把握して専門家の組織で検討し、法制度を整備していこうということです。
もちろん、Facebookによる個人情報の不正利用や、Googleが欧州委員会に独禁法違反で制裁金を科されたことなど、世界的な動きもあり、取引実態の調査が行われました。Amazonの全商品ポイント還元1%が話題になった頃なので、覚えている人も多いかと思います。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/feb/190227.html
また、これ以前にも公取委は大手ECモールと出店者の間で独占禁止法違反に該当する問題が生じていないかの調査を実施しています。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jan/190129.html
その後、中間報告を経て今回の発表となったわけです。
今回の発表の概要
ネットショップに関わる人は出店者だけでなく、広告代理店、制作会社などのサポートする企業の皆さんにも読んでおいてほしい資料です。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/oct/191031c.pdf
第1部は時代背景など。上記で説明した内容がまとまっています。世界的な流れなので皆さんご存知ですよね。
第2部は実態調査、市場の概要。まとめられている調査結果は皆さんにも実感しているものが多いかなと思います。例えば、P.8にある調査結果では以下のようにまとめられています。一方的な規約の変更や新決済システムの導入などです。
規約に同意したくなければモールなどを使わなければいいのですが、モールの売上が大きければそうもいきませんよね。「みんなで頑張ってECを盛り上げていこう!」と言っておきながら、結局はそうなるのか……と思っている人も多いはず。
ただし注意したいのは、調査に意見を寄せる人たちの多くは、何かしらの不満を持っている人たちということです。モールに満足していたら、こうした調査にわざわざ意見する人は少ないですよね。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い……ではないですが、一歩引いたスタンスでこれらの結果を見ておいた方がいいでしょう。
第3部にはまとめと今後の取り組みについて書かれています。まとめとしては、なにかしらの「独占禁止法上問題となるおそれがある」。となっていて、それに対してどう対応するのかが書かれています。それが話題となった検索アルゴリズムの公開などです。
モールやアプリストアの検索順位については言いたいことはたくさんありますよね。これはGoogleの検索結果にも言えます。しかし、これをオープンにすると悪質な業者がどんどん上位に来る懸念もありますし、技術力のある企業だけが上位に来て中小企業は太刀打ちができなくなる可能性もあります。ある程度わからない部分があるから良いこともあるのではないかと、個人的には思っています。
出店者はどうすべき?
こうした流れをふまえ、EC事業者がどうすべきかということですが、1つの考え方は「脱・プラットフォーム」です。今年の8月にこの記事を紹介しました。
https://www.commerce-design.net/blog/archives/3644
まさに「プラットフォーマーも、我々をより尊重することに」なってきそうな流れですよね。そして、売れるかどうかよりも、「自分たちが何をしているのか?」「どんな人の役に立ちたいのか?」といったことを明確にして、外部環境に左右されにくい商売をするということ。9月に紹介したこの記事を覚えている人もいるかと思います。
https://www.businessinsider.jp/post-197793
中川政七商店の緒方恵さんも坂本さんと同じくお客さんの信頼を得ることからと述べています。それができないからモールをやめる。不満があるからではありません。そして、先週もこんな記事が。
https://www.future-shop.jp/magazine/interview-saihoku-talklore
こちらもまったく同じ。顧客満足よりも売上を優先してしまうことを恐れたということです。
もちろん多店舗に展開して、トータルで利益が出るようにする方法もあります。多店舗管理ツールもありますし、AmazonはAmazon広告を使うことで一気に売り上げを伸ばすこともできます。あくまで選択肢の1つとしての「脱・プラットフォーム」を考えてみても良いかなと思います。
大切なのは「商売」をするということ
2年ほど前の記事ですが私が強烈に覚えている記事を紹介します。私がインタビューをした記事なのですが(笑)。
https://eczine.jp/article/detail/5038
プラットフォーマー(モール)ついて吉村さんはこう話されています。
スッキリバッサリです。多少のことがあろうと集客してくれて売れる場所を作ってくれてるんだから、手数料は払って当たり前という考え。前述の「脱・プラットフォーム=自社ECサイト」では、この集客コストを自社で持たなければなりませんから、そう簡単に切り替えられないのが現実です。
吉村さんによると、ネットショップに関わる人が考えておくべきことは以下の3つだということです。
まさに流れをつかんでいれば、今回の報告書を受けて何かしなければならないこともないと思いますし、プラットフォーマー側の変更にも早めに対応ができるはずです。急に何かが発生することはないので、ちゃんとニュースを読んでおきましょう。2つ目と3つ目については言うまでもないですね。
売れないのは誰かのせいにしたくなりますが、規模が小さくてもちゃんと生き残っているお店もあります。不平不満を言うのではなく、目の前のお客様のことを考えていきたいものです。