楽天と中国小売最大手の京東集団がタッグ、無人配送の実現をめざして連携
楽天と中国小売最大手の京東集団(JD.com)は2月21日、楽天が日本国内で構築する無人配送ソリューションに、京東集団のドローンと地上配送ロボットを導入すると発表した。
京東集団は2015年からドローン開発に着手。2016年に世界初の商用ドローンを使った配送を開始し、これまでに40万分以上の配達飛行の実績がある。2019年1月にはインドネシアで同国初となる政府承認ドローン試験飛行の成功を発表し、インドネシアおよび東南アジアでの商用ドローン基盤を構築した。
楽天は2016年に「楽天ドローン」を開始し、自律制御研究所と共同でドローン「天空」の開発を行っている。「天空」は最大積載量が2kg、最長飛行距離が10km。今回のドローンは最大積載量が5kg、最長飛行距離が16km。今後は状況に応じて2種のドローンを使い分ける。
また、京東集団が2017年に発表した宅配用のUGV(Unmanned Ground Vehicle/地上配送ロボット)は、すでに複数の大学に導入されており、一部の都市では市街でも運行している。2018年11月には中国長沙市、フフホト市に中国初の「無人配送車スマート配送ステーション」が設立された。
現在、UGVは日本の公道は走行できず、ドローンの飛行にも多くの規制があるため、当面は場所や期間を限定した形で実績を重ねていく。
楽天 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャーの向井秀明氏は「オペレーションスタッフをしっかりとし育成し、定期的なサービスとして成り立つよう体制を構築した上で、ドローン配送サービスを提供するのが2019年の目標」と話した。
京東集団 副総裁でX事業部 総裁の肖軍(ショウジュン)氏は、「中国でドローン配送を常に行っているのは、交通アクセスの悪い地域。ドローン配送だからといって別途料金は徴収していない。中には車も通れず、人が運ばなければならない場所もあるため、従来型の配送方式よりもむしろコストが安く済んでいる。今後はもっと大型のドローンの技術的なブレイクスルーに期待している」と語った。
なお、今回の提携について京東集団と楽天は次のようにコメントしている。
中国ではスマート化に多くのリソースが投入され、ユーザーが新しい技術を受け入れるレベルもかなり高い。京東集団は中国国内ではかなりの実績がある。これを日本をはじめ世界に応用していきたい。楽天と京東集団はお互いに大きなEコマースを運営している似た会社だと思っている。それぞれの国における強みのある会社同士の連携。未来についても一緒に考えながらやっていけると思っている。(京東集団 副総裁・X事業部 総裁 肖軍氏)
ドローン議連や国交省と密に連携し、より便利な世界を実現するためにどういったことが必要かを検討中。安倍総理も「2020年には実用化を」という発言があったので、我々もルール改正に期待し、市街でも安全に飛ばせるよう実践を重ねたい。
ドローンやUGVによる無人配送は楽天市場の流通総額にも寄与すると思っている。例えば、ユーザーが「いま配達して」と知らせれば、倉庫から人の手を経ずに深夜でもお届けできる。海外ではレストランから料理を配達したり、病院間で血液の輸送などに活用されている。EC以外でも活用の場があると考えている。(楽天 常務執行役員 安藤公二氏)