「提案された広告効果が想定以下に落ち込んでいる」「売り上げは伸びているけど利益が少ない」「なぜか売り上げの伸びがイマイチ」「施策の効果が落ちてきた」……。こんな悩みを抱えているEC事業者は少なくないですよね。こうした悩みや計画は、販促計画の作成で解できる可能性があります。実は、販促計画を立てずに、場当たり的にECサイトを運営している事業者って、多いんですよね。ECサイト運営の“航路“とも言える販促計画は、進むべき道、何を決めなければいけないのかなど、方針や判断を下す指針となるのです

なぜ販促計画が必要なのか

販促計画を立てることは小売業を営む上での基礎中の基礎。目標とするKPI達成に向けた綿密な販促計画を立てなければ、各種イベント、モール内イベントにおいて、コンサルタントなどの突発的な提案に無計画で乗ってしまうといったことが起きてしまいます

たとえば、本来定価で売れば十分利益を確保できる商品を割引販売してしまったり、無駄な広告費を使ってしまうといった可能性があげられます。

年間、半期、四半期、ごとの販促計画を立てれば、「いつ(時期)」「何を(商品)」「どのような形(定価販売orSALE販売)」で売るかをしっかり決めることができます。販売計画を軸に運営を進めることで、各施策などの判断基準ができ、スムーズに事業を展開することができるようになるのです。

販売計画を立てないECサイトの失敗事例

よくある失敗ケース①

この広告は導線が厚いです!これを逃すともうチャンスは二度とありません! ですから、いつも以上に商品価格を安くして顧客を獲得しましょう! 今、最も売れてる○○の商品を○○円にしてください!

ECサイトを運営していれば、こんなセリフを聞いたことがある事業者は少なくないのでは。そんな時は、冷静に考えてみましょう。これはある店舗で起きた失敗事例です。

販売計画を立てずにECサイトを運営していたある企業は、“数を売る”ことを目的としたECコンサルタントの提案をうのみにしていまい、不良在庫を積んでしまったというケースが過去にありました。

その店舗は新作入荷した半袖Tシャツを指示通りに発売日同時に値下げし、イベントで大々的に販売しました。「値下げをすれば売れる」と思っていた店舗でしたが、その時期はまだ気温が低い季節。季節に合わせた商品を掲載するといった誘導準備も整えておらず、半袖アイテムを掲載したページにもアウター特集のバナーを設置するといった状況でした。

季節要因は売れ行きに大きく関係します。寒い時期に半袖Tシャツを打ち出すための広告を打っても鳴かず飛ばず。

販促計画を立てていない為、「イベントに合わせて商品を売る」ということを優先してしまいました。その後も継続的にイベント時の値引き価格で継続的に販売。最終的に、定価販売できず、値引き価格が通常価格に。トップシーズンになっても目新しさを打ち出せず、不良在庫の山となってしまいました。

広告を出すことに問題はありませんが、コンサルタントが指定した商品と価格帯については、店舗で再度検討する余地があります。

売る商品が決まっていないのであれば、広告出稿は大きなリスクを伴う可能性が高いのです。

よくある失敗ケース②

これは伸び悩んでいるECサイト、多店舗展開をしている事業者に多いケースです。

セール時に打ち出す商品は毎回同じ。四季ごとの特集の打ち出し方は同じ、特集ページ内の商品ラインナップも同じ……。

クリエイティブ作りは時間や手間がかかりますし、積み上がっている在庫を処分したいといったケースはよくありますよね。変わり映えがないと、「今」買わなくてもいいセールと印象を与えてしまうだけです。

販促計画を立てるメリット

半期、四半期といった中長期的なシーズンニーズを把握することで、定価販売できる期間を最適化し、多くの利益を生み出すことにつながります

販促計画に基づきシーズンニーズに合わせた新規顧客の開拓の為の施策、既存顧客のリピート施策のタイミングなども計画にあわせて実行に移せるとったメリットがあるのです。

販促カレンダーに基づき施策を設計。セール商品やその他の新商品を打ち出す方法を考えて導線を作るといったことにも役立ちます。

また、販促計画を綿密に立てることで、コンサルタントなどの提案に対しても、きちんと対応できるようになります。

たとえば、コンサルタントから良くある「良い広告枠があるので、今もっとも売れてる○○の商品を○○円にしてください!」という提案に対しての対処方法を考えてみます。

まず考えるべきこと①

「今もっとも売れてる○○の商品」は、まだ定価で売れるか売れないかを、販促計画を基にじっくり考えましょう。「シーズン的にまだ顧客ニーズはあるか?」「いま売り上げを伸ばさないと計画の達成は難しいのか」「ちゃんと利益は残せるのか?」「値引きをすることによって、他の商材を提案することで買い回りを増やせるのか」……などなど。

まず考えるべきこと②

「今もっとも売れてる○○の商品」以外で、該当する時期にニーズがある商品は他にないか? を考えましょう。もっとも売れている商品を値引きしてしまっては、値崩れを起こし、確保できる利益を逃してしまう可能性があります。「シーズン落ち商品のセールタイミングはいつなのか」「他のシーズン落ちの商品の精査」などによって、セールをする商品の優先順位を付けていきましょう。

まず考えるべきこと③

「今もっとも売れてる○○の商品」を「○○円に値引き」して広告を出稿することを決めた場合、「(ECCなどから)提案された広告の出稿タイミングで店舗内施策を打ち出せないか?」という視点を持ち、販促カレンダーに基づき施策を設計。買い回り促進の観点で、関連商品やセール商品、その他の新商品への導線を考えましょう。

上手くいく販促計画の立て方

やるべきこと①

年間イベントを把握しましょう。年間販促カレンダーや時事ネタから自社の提供する商品に影響があると思われるイベントを把握し、どの季節、時期にどんな需要があるのか洗い出しましょう。

販促カレンダーの例
販促カレンダーの例(筆者が所属するNintでも年間販促カレンダーを提供しています。ヤフーさんでも提供しています)

自社の商品に適した年間イベントを洗い出すことで、

  • 広告を使った販促の材料
  • 仕入れ、商品企画の検討材料
  • ニーズのあるキーワードの選定

などに活用してください。たとえば広告の活用。どの商品が広告に適しているのかを交渉時に活用できるようになります。あくまで商品主体で広告を選定する習慣を付けるようにしましょう。

やるべきこと②

在庫の把握です。年間イベントに併せてどの商品を仕入れるのか、または商品を開発するのか事前に販促計画を基に計画を立てましょう。あらかじめ在庫を起点に計画を立てることで、それに基づいた資金計画も考えていきたいですね。

やるべきこと③

年間イベントを把握できたら、定価販売商材とセール商材を区別しておきたいところです。あらかじめ区別しておくことで、シーズン落ちのタイミングまたはシーズンニーズのタイミングが定まっていると、定価販売、セール販売のタイミングのジャッジもしやすくなります。

イベント事にモールでは大きな特集、セール施策が実施されます。そのため、その時期は消費意欲が喚起される時期になります。その施策に対してどの商品をセールで販売するか、そのセール商品と絡めて定価販売商材をどう売るか、予め立てた年間計画を基にページ作成の計画も立てていきましょう。

商品ページ作成、特集LP作成に関してもこの準備は必須になります。特集LPであれば目玉セール商材と定価販売商材の構成、どの商品に誘導を増やしたいかによって商品ページや特集LPの構成が変わりますから。

特集LPや商品ページの作成、仕込み。季節需要に伴う店内リニューアルやモールが行う施策、または自社で行う施策に対して、より効果が出るように作成しましょう。バナーの色を季節に合わせた色にしたり、商品ページの第一画像(サムネイルで表示される)の商品も色合いや見栄えを意識すると効果が出ると思われます。

やるべきこと④

どのように売り上げ、利益を伸ばしていくのかあらかじめ計画を立てましょう。重要となるのが、どの広告を使うのか、使わないのか、をあらかじめ判断しておくことです。その上で、販促に力を入れる商材を選定し、セール商品または定価販売商材に対してどのように集客をかけていくのか計画を立てたいですね。

リスティング、SNSなどのほか、モール内であればECコンサルタントに相談をしましょう。もちろんその際は広告主体ではなく、商品主体で相談すること。商品によって広告施策が適さない場合があります。あらかじめ計画を立てておくことで、広告ありきの施策の実行を防ぐことができます

まとめ

販促計画を立て、そして自ら考え、準備し上で施策実施や商品ページや特集LP作成、広告出稿をすることは、ECサイトを運営する上では必要不可欠なこと。PDCAも回しやすくなります。

年間、半期または四半期での販促計画を立てることで精度の高い販売計画に基づいた施策を行うことが可能になります。これを活用することによって、コンサルタントの提案だけでなく、さまざまな交渉事を有利に導くことができるようになります。

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瀬川裕生

株式会社Nint

アパレル業界にて販売員、商品企画、商品PRを経て、某モールにてECコンサルティングに従事。またWebマガジンディレクターやメンズファッションのリアルショップのスタッフ教育や、コンサルティング、店舗ブランディングなどを経験した後、株式会社Nintに入社。

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