AI+電力データの活用で不在配送問題を解消へ。佐川急便や東大大学院らが共同研究開発

佐川急便、日本データサイエンス研究所(JDSC)、東京大学大学院越塚登研究室・田中謙司研究室の3者は、「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」に関して、3者共同研究開発することで合意

石居 岳

2019年11月5日 11:00

佐川急便は10月31日、日本データサイエンス研究所(JDSC)、東京大学大学院越塚登研究室・田中謙司研究室とともに、「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」に関して、3者共同研究開発することで合意したと発表した。

「AIと電力データを用いた不在配送回避システム」の実証実験について、2020年中の実施に向けて共同検討を進めていく。

3者共同研究開発の目的は、「AI活用による不在配送問題の解消」。JDSCはAIを用いた電力データ解析・活用技術(特許申請中)を保有しており、東大越塚研究室 田中研究室との連携のもと、スマートメータから得られる電力データをもとに、AIが配送ルートを示すシステムを開発。2018年9~10月、東京大学内で行われた配送試験で、不在配送を9割減少させた。

スマートメーターから取得される電力データをもとに、人工知能が不在先を回避するルートを配送者に示すシステムを用いた実験題
スマートメーターから取得される電力データをもとに、人工知能が不在先を回避するルートを配送者に示すシステムを用いた実験(画像は「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」のHPから編集部がキャプチャ)

このシステムを用いて2019年9月、佐川急便の持つ配送実績データでシミュレーションした結果、不在配送の削減および総配送時間の短縮など一定の効果が認められたことから、今回の3者共同開発研究に至った。今後は協働で「AIおよび電力データを用いた不在配送回避システム」の、プロトタイプ開発の検討を進めていく。

東京大学本郷キャンパスで2018年9~10月に行われた実験は、あらかじめキャンパス内の各建物に、別途収集した住宅の電力使用データと在不在情報を模擬的に割り振った上で、電力データのみから最適ルートを提示するシステムの性能評価を行った。

本システムと用いる場合と用いない場合(人が最短経路を判断して配送)で2輪車による配送を繰り返した結果、本システムを用いた場合の配送成功率は98%となり、不在配送は91%減少、総移動距離は5%減少した。

一方、本実験の課題としては、集荷・時間指定・宅配ボックスなどの実際の配送条件がない理想環境に基づくもので、配送車も配送未経験の実験参加者によるものであり、実地環境での検証が課題となっていた。

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