一次流通企業(EC事業者など)はフリマアプリが生み出す消費活動をどのように考えているのか――。メルカリの調査では、フリマアプリ利用による「新品商品の消費換気効果は年間484億円」という結果が出ている。この結果から見えてくる小売・EC事業者への影響とは? 三陽商会の執行役員・慎正宗氏、メルカリ・執行役員の野辺一也氏、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏がパネルディスカッションから、新たな消費行動、一次流通への影響を見ていく。

一次流通企業から見た二次流通市場とは

フリマアプリの利用でより良い物を新品で購入するようになる

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏(以下:山口):(フリマアプリ利用で新品購入金額が増加するといった)調査結果について感想をお願いします。

三陽商会の執行役員・慎正宗氏(以下:慎):フリマアプリや二次流通が増えることは、一次流通にとって悪いことではない。「1回使ったら捨てる物」から「資産としての価値」に変わることは、新規購入において“より良い物を買う”という消費行動につながるのではないかと思います。

メルカリ・執行役員の野辺一也氏(以下:野辺):フリマアプリユーザーの利用行動を見ると、アプリ内でどれぐらいの値段で売れるのかを確認しています。「ハイスペックな物を買っても最終的には売れば良い」と考えながら新品を購入するので、最終的に良い物を買うことにつながっているのではないでしょうか。

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三陽商会執行役員の慎正宗氏

山口:「フリマアプリの利用で、より良い物が売れるのではないか」という考えは2人とも一緒ですね。慎さんは、「フリマアプリを利用する人たちの行動が、企業活動に生かせる」という考えに至ったそうですね。

リセールバリューを考えながらお客さまが洋服を買うということは、今までのアパレルにない考え方なんです。「今後、(買ったモノが)売れることを考えると、もう少し良い物を買ってみよう」と思う人の増加。そして、値段が高くて手が届かなかった経験を持つ人たちが「エントリーモデルとしてフリマアプリで購入し、チャレンジしてみよう。駄目だったらまた売れば良い」と考えるのではないか、と思ったからですね。

山口:ファッション業界の方たちは、フリマアプリをどのように考えているのでしょうか?

:自分が消費者として上手く使っている人は多いはず。ただ、運営者やメーカー、小売りの立場として「フリマアプリを取り込んで成長しよう」という考えはなかった。まだ、お客さまの購買行動の変化についていけていないと思いますね。

一次流通と二次流通の連携でプラス効果を生む

山口:一次流通と二次流通の今後についてお聞きします。野辺さんの考えを聞かせていただけますか?

野辺:業界内ではまだ、「一次流通の消費が減るのでは」というマイナス意見が多いのが事実です。マイナスもあるかもしれませんが、それ以上のプラスの効果を企業間連携でもたらすことができるはずです。それは、「売れた後のライフサイクルを一次流通企業は知りたいのではないか」ということです。

メルカリは商品のライフサイクルが見える購買データを持っています。「隠れファン」「憧れのブランドは高くて手が出せないけど、メルカリなら買える」と思っている人のデータを一次流通企業が把握できるようにすることで、より良い商品を作ってもらう。その後、メルカリで売ってもらえるような流れを作りたいですね。

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メルカリ執行役員の野辺一也氏

山口:企業とメルカリが連携することで、相乗効果を狙っているということですか?

野辺:そうですね、データ連携を積極的に一次流通企業やメーカーとやりたいなと。「フリマとやるともっと良いことが起きるのでは」と思ってもらえるようなことをやりたいですね。

山口:今のお話を聞いて慎さんはどう感じましたか?

:個人としてはスーパーハッピーです。私たちには商品購入時の声はレビューなどで入ってきますが、使用者としての感想はあまり取れていない。データ連携を通じて、商品のLTV(顧客生涯価値)が高まっていることがわかれば、質をどんどん変えることができます。消費者の使い方も、リセールするために大事に使うように変わると思いますよ。消費も使用も良い循環に変わると思うので、チャレンジしていきたいです。

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モデレーターを務めた山口氏

フリマアプリが消費者と一次流通市場をつないでいく

山口:中長期的にファッション業界の一次市場と二次市場のあり方はどうなると思いますか?

賢い人ほど一次と二次を上手く使いわけ、ミックスすることが当たり前になると思います。今後は残価設定保証モデルをメルカリとやりたい。一緒に組んで物が売れたら非常に面白い商売ができるのではないかと思っているので。

野辺:メルカリとしては、メーカーへダイレクトコンシューマーが見える環境を提供していくべきだと考えています。商品のライフサイクルの先が見える形で、メーカーがお客さまとつながる関係を提供することにより、一次流通メーカーの消費量を上げることや、お客さまとの結び付きがより良くなるような流れを作ることができるのではないか。そして、リセールの中ではメルカリが一番の選択肢に入る。そんなモデルができたら良いと思っています。

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藤田遙

ネッ担編集部

保険系SE→ECサイト運営を経て、編集未経験でインプレスに入社しネット担当者フォーラム編集者に。カレーとコーラが好き。

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