瀧川 正実 2020/4/15 10:00

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』(トランスコスモス:著、インプレス:刊、定価:2,500円+税)。日本を含めた主要な国・地域のECデータや各市場動向を理解、把握できる海外EC・越境ECを手がける事業者さん必見の一冊です。

海外市場への進出、越境ECを検討している事業者さん、すでに展開済みの企業さんのビジネスに役立つ『海外ECハンドブック2019』はどんな内容なのか? 得られる価値は? 各国・地域のデータを収集、記事を執筆したトランスコスモス 調査部の皆さんに話を聞きました。

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』 トランスコスモス サービス推進総括デジタルテクノロジー推進本部 調査部の皆さん(写真右から、佐藤ひろこさん、崔海淑さん、金山桜子さん)
取材に対応してくれたのはサービス推進総括デジタルテクノロジー推進本部 調査部の皆さん(写真右から、佐藤ひろこさん、崔海淑さん、金山桜子さん)

『海外ECハンドブック』とは

世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理しています。新興国のデータはあまり多くはないので、継続ウォッチが難しい。そのため調査対象を主要なマーケットである30の国と地域にしています。

一番の特徴は各国・地域のEC市場について定量データとしていまとめている点。データは各国・地域の政府が発表したもの、主要な調査会社や企業が公表しているものを用いています。

市場データに加え、消費動向、法規制、決済、配送など、各マーケットに参入できるかどうかを判断できるようにという観点でデータを収集。定点でしっかり調査していますので、市場の推移や変化も把握することができます。

『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊
『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊

[主要30の国・地域のEC市場概況]

  • 世界のEC市場規模予測
  • 地域別EC市場データ
  • 30の国・地域のEC市場ポテンシャル
  • 越境EC市場規模およびEC利用者の推移
  • 越境ECの地域別利用状況
  • アジア10都市EC利用動向調査
  • EC市場データランキング(TOP10)
  • 各国のEC市場環境比較表2018年
    などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
    https://www.amazon.co.jp/dp/4295007951/

活用方法について

これから海外市場への参入、もしくは越境ECのスタートを検討している企業には、各市場のデータなどを集めたデータ集が、世界30の国と地域のマーケット調査に役立つでしょう。

参入済みもしくは越境ECを実施している企業は、ソーシャルコマースのトレンド、新しいチャネル(プラットフォーム)の増加など、市場の変化を把握するのに役立つと思います。

たとえばイギリスとアメリカ。現在、店頭での返品がトレンドになっており、返品のしやすさがEC利用につながっている状況を把握することができます。

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』
世界のEC市場規模の予測をまとめたページ。主要30の国・地域のデータをまとめています

『海外ECハンドブック』の制作を通じて感じる市場の変化

グローバル的にGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの4社のこと)への規制が厳しくなってきているのを感じます。

『海外ECハンドブック』では取り上げられてはいませんが、「Amazonはマーケットプレイスの外部業者が販売した製品にも責任を負うべき」とした、商品の欠陥をめぐる訴訟で米連邦控訴裁判所の判決が2019年7月にありました。

韓国では、欠陥のある商品販売を通じて発生した問題の責任の所在は「プラットフォーマーにある」という法律を作る流れにあります。また、中国では2018年に新しい電子商務法が成立し、プラットフォーマーの規範化を進めるための義務と責任が規定されました。

グローバルではECが大きなパワーを持つようになり、規範化などを目的とした公的機関の規制といった変化が出てきていると感じています。

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』
30の国・地域ごとの市場概況、マーケット、法制度、注目ポイントなどを、1つの国・地域について複数ページにわたってまとめています

『海外ECハンドブック』の制作を通じて感じるトレンドの変化

米国では、小売事業者は宅配よりも安全でかつ利便性の高い、ネットで注文して店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の導入に取り組んでいる企業が多いですね。端的に言うと、「店頭受け取り「店頭返品」は店頭への来客促進となり、売上向上につながるためです。

Amazonもこうした消費動向をキャッチしています。百貨店チェーンのKohl'sと提携。Kohl'sはアマゾンを利用した顧客の返品窓口、「Amazon Echo」などアマゾン製品を購入できる場を提供しています。2017年にスタートし、2019年にはKohl's全店舗で展開されています。

Kohl'sは、Amazonの商品を返品しに来た顧客に、店舗で利用可能なクーポン券を配布しており、新規顧客の獲得などで効果があがっているようです。

配送面で進んでいるのがイギリスです。日本のようにコンビニエンスストアがないイギリスでは、大手スーパーが運営する小型店舗、街のたばこ屋、ガソリンスタンドなどで、ECで購入した商品を受け取れる、つまりコンビニ受け取りのようなネットワークが台頭してきています。

中国ではソーシャルコマースが台頭。インフルエンサーを使ったマーケティングでブランド力を高めていくのがトレンドです。

注目を集めているソーシャルコマースプラットフォームは「小紅書(RED)」。30歳以下の世代を中心に人気を集めており、SNSとECを融合させたビジネスモデルです。ブランドショップに対するマーケティング機能の実装や実店舗誘導(O2O)といった総合的にブランドを支援する機能強化を図ってきています。

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』
各国・地域のデータ、市場概況などの記事から、さまざまな変化を読み取ることができます

『海外ECハンドブック』販売の背景

日本語で記載された世界のEC市場データは少ないのが現状です

『海外ECハンドブック』の制作に着手したのはトランスコスモスがECを強化し始めた2015年頃。越境EC、海外市場開拓のニーズが増えてきた時期でもあり、グローバルに向けたEC事業を支援するために、社内用として制作しました。『海外ECハンドブック2019』は、多くの事業者の方に海外EC市場について理解・知ってもらえるようにPOD(プリントオンデマンド)、電子書籍での販売を始めました。

『海外ECハンドブック』のデータ収集、記事を執筆した調査部はもともと、事業開発投資のために海外の市場や技術調査を行っている部門です。

アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域のECデータ、消費動向、法律の動きなどをまとめた『海外ECハンドブック2019』
2015年から毎年、海外のEC市場についてまとめてきた

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