公文 紫都 2020/12/10 9:00

EC開設・運営のプラットフォーム「STORES」、キャッシュレス決済、オンライン予約事業を行う事業子会社を抱えるheyは12月3日、heyを存続会社とする吸収合併により、傘下のEC事業会社ストアーズ・ドット・ジェイピー、決済事業会社のコイニー、予約事業会社のクービックを統合すると発表した。コロナ禍でニーズが伸びるオンライン需要に対応するため、EC、決済、予約の各機能の連携を強化する。

各サービスのID統合や審査一元化などを予定

heyは2018年2月、「STORES」運営のブラケット(ストアーズ・ドット・ジェイピーの前身企業)と、キャッシュレス決済事業のコイニーの経営統合で誕生。

すでに決済サービスを「Coiney」から「STORES 決済」へ、オンライン予約サービスを「Coubic」から「STORES 予約」へとするなど、「STORES」にサービスブランドを統合。主に個人、中小事業者のデジタル化を支援する「STORES デジタルストアプラットフォーム」を展開してきたが運営組織も統合する。

heyが展開する「STORES デジタルストアプラットフォーム」
展開する「STORES デジタルストアプラットフォーム」

これまでは、事業会社ごとに企業行動を最適化していたが、「EC、決済、予約と、お店のデジタル化を全部任せてもらえるように、運営会社をheyに一本化した」と佐藤CEOは経営統合の理由を説明する。

heyがやりたいことは、ネットショップを伸ばす、オンライン予約サービスを成長させる(などの部分最適化)ではなく、個人・中小事業者のフロントオフィス業務(全体)をデジタル化すること。

グループ企業が展開するサービスを重複して使われるお客様がいることも考えると、事業を個社ごとに最適化するのではなく、合体することで付加価値を生み出せる(佐藤CEO)。

heyではサービスごとに加盟店審査を行ってきたが、「それぞれの審査があると利用のハードルが高くなる」(佐藤CEO)。今後は決済サービスで審査が通っていれば、オンライン予約サービスもECサイト開設も利用できるフローに変更。IDベースでの統合や共通のダッシュボード運用、審査の一元化など、事業統合のメリットを打ち出していく。

コロナ禍で食品ECの新規開設数、前年同時期比約13倍

「STORES」をはじめ、キャッシュレス決済、オンライン予約事業とそれぞれコロナ禍でのニーズ急増を受け、事業は堅調に推移しているという。

特に目立つのが、「応援消費」という言葉に象徴されるように市場が急拡大している食品EC。2020年4月から6月の食品ストアの開設数は、前年同時期と比較して約13倍になっているという。

食品ストア開設数の推移
食品ストア開設数の推移

「STORES」を通してのカテゴリシェア上位は、アパレル(24.6%)、食品(16.1%)、日用品・生活雑貨(15.6%)となっている。

流通額を2018年2月度と比較すると、2020年12月度は4.5倍を見込んでいる。

「STORES」の流通総額の推移
月次ベースでの流通総額の推移

従業員数も12月時点で、2018年2月と比較し5倍となる250名へ増加。今後は400名体制へと拡大を計画するという。

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