石居 岳 2021/10/13 7:00

矢野経済研究所が実施した国内アパレル市場の調査によると、2020年の国内アパレル総小売市場規模は、前年比18.1%減の7兆5158億円だった。

小売市場を販売チャネル別で見ると、百貨店の下げ率が最も深刻で、量販店、専門店も苦戦を強いられているという。ファッション通販サイトやECモールなどその他(通販など)が伸びているとしている。

今回調査のアパレル市場規模は、総合アパレル、メンズアパレル、レディスアパレル、ベビー・子供アパレルなどのアパレル関連企業によるアパレル・洋品の小売金額ベースで算出している。リサイクルショップなど二次流通は含まない。

矢野経済研究所が実施した国内アパレル市場の調査によると、2020年の国内アパレル総小売市場規模は、前年比18.1%減の7兆5158億円
国内アパレル総小売市場規模推移

消費者の外出自粛傾向で、消費が都市部の店舗から郊外に移行。その他を除くチャネルの苦戦は、コロナ禍による景況悪化の影響による国内市場の消費マインドの冷え込みも影響している。

販売チャネル別の2020年の小売市場動向は以下の通り。

百貨店は、紳士服に限らず衣料品全般で厳しい状況が続く。特に紳士服においてはオケージョン需要、ビジネス着のカジュアル化やリモートワークの増加でスーツウェアの消費が減退している。

量販店は、品ぞろえや低価格だけでの集客が難しい状況。自社アプリなどを利用した効果的なプロモーションを行っている専門店に顧客が流出しているものと見られる。

専門店は、リモートワーク推進とビジネス着のカジュアル化で、主要紳士服専門店チェーンが苦戦。セレクトショップも売上高が減少傾向にあり、流行のアウトドアなどを切り口としてアパレル以外の周辺アイテムをそろえる動きが活発になっている。

その他(通販など)では、ファッション通販サイトやECモールなどECが成長。今後、どのようにECの顧客が店舗に行く仕組み作りを行うか、OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)の試みが始まっている。

国内アパレル総小売市場は、コロナ禍の終息が不透明なものの、行動制限の緩和などを要因に一時的に回復基調になると見られる。しかし、中長期的に見ると少子高齢化や人口減少、景況悪化による消費の冷え込み、インバウンド(訪日外国人客)の回復時期が見えないなどのマイナス材料が多く、市場は減少傾向になる見通し。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]