来店行動に大きな影響を与えるGoogleマップの口コミですが、誹謗中傷したり、不正に評価を上げようとなりすましの投稿をしたりといった悪質運用も絶えないのが実情です。
そこでGoogleは「不正口コミの取り締まり」を行っています。今回はGoogleの公式ブログを参照しながら、あまり知られていないGoogle口コミの舞台裏について紹介します。
Googleによる口コミの取り締まり、3つの砦
Googleは不正な口コミを防止するためにどのような施策を講じているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
1. ポリシーの作成
まず、Googleでは健全な口コミ投稿を促すべくポリシーを作成・公開しています。過激であったり、不適切な内容を含むコンテンツは投稿禁止です。たとえば以下の画像のような例があります。
ほかにも以下のようなコンテンツが禁止/制限されています。
- スパムと虚偽のコンテンツ
- 関連性のないコンテンツ
- テロリストのコンテンツ
- 不適切なコンテンツ
- 利害に関する問題
このポリシーは、その時々の社会的状況によって更新・強化されています。
たとえば、新型コロナウイルス感染拡大を受け、各国でワクチン接種証明の取得を義務付ける動きがみられました。Googleでは、この接種義務を守ることに対して企業を批判するような口コミを削除するため、ポリシーを追加で導入したということです。
施設情報を管理するオーナーは、ポリシーに違反する口コミを報告し、Googleに削除を依頼することができます。
2. 「機械による大量の情報処理」と「人の手による細かな調整」
Googleでは、投稿された口コミを「機械による大量の情報処理」と「人の手による細かな調整」の両方を活用して管理しています。
こちらもわかりやすく図解してみました。
まず、機械による大量の情報処理は、不正な口コミを防止する最初の防壁です。
- 不快なコンテンツや関連性のないコンテンツが含まれているか
- 投稿したアカウントは信頼性があるか
- 口コミが投稿された場所に、不正な口コミが投稿される動機があるか
など、複数の角度から口コミを調べるいわば警備員のような役割を果たします。
ただし、機械による情報処理のみですべての不正な口コミを防げるとは限りません。微妙な言い回しの違いやその言葉が使用される状況などによっても、口コミが不正かそうでないかの判断は変わってきます。場合によっては、正当な口コミを機械の誤った判断で削除してしまう可能性があります。
こうした細かな判断を担うのは人間のオペレーターです。オペレーターは定期的に機械学習モデルの品質をチェックし、追加でトレーニングをおこなうことで、ポリシー違反を捉える精度を高めています。
また、ポリシー違反が検出されず、口コミの投稿が完了したあとも、Googleは引き続きコンテンツの分析と監視をおこなっているということです。
3. ユーザーによる口コミの監視
Google側ではシステムを使って口コミを監視していますが、ユーザー側でも不正な口コミを見つけたらGoogleに報告することが可能です。
大きく分けて、第三者の立場で口コミを報告する方法、ビジネス経営者として自身のプロフィールに投稿されたコンテンツの削除を依頼する方法の二つがあります。
ただし、削除対象となっている口コミはコンテンツポリシーに違反するもののみであり、単に内容が気に入らないからという理由で削除することはできません。
Googleのオペレーターチームでは報告されたコンテンツを24時間体制で監視し、不正と確認された場合にはアカウント停止や法的措置などで対応しています。
オーナーは定期的にビジネスプロフィールの確認を
Googleでは、ユーザーにとって信頼できるコンテンツを提供するために日々口コミを監視し、体制をととのえています。
しかし、それでもすべての不正行為を防止できるわけではありません。ビジネス経営者は自身のビジネスプロフィールに投稿されたコンテンツを定期的に確認し、情報の整備をおこなう必要があります。また、一般のマップユーザーも、不正の疑いがある口コミを見つけた場合には、Googleに報告することが可能です。
Googleとユーザーが一帯となって口コミを監視することで、Googleのサービスの利便性をより高めることができるでしょう。