【オムニチャネル利用】年代ごとの購買行動、モバイルを使った消費行動、利用意向、買い物カテゴリなど調査結果まとめ
実店舗やECなどさまざまな販売チャネルを組み合わせて消費者の購買行動を促すオムニチャネル戦略。米国の大手EC専門誌『Digital Commerce 360』と 調査会社のBizrate Insightsが実施した調査結果によると、利用者の年齢層は若く、オンライン通販では30~39歳の消費者が最も積極的に利用します。
オムニチャネルショッピングの利用者は、BOPIS(オンラインで購入した商品を店舗で受け取ること)から当日配送まで、さまざまな選択肢を利用しています。調査結果を踏まえて、消費者によるオムニチャネルの利用実態を解説します。
- SweetwaterはAIを用いて“クリックしそうな”顧客グループを作成。2022年9月のメールのクリック数は、2022年8月と比較して25%増加した
- BOPISの満足度は、カーブサイドピックアップ(車中受け取り)よりも高い
- 若年層の消費者は、オムニチャネル購入の一環としてアプリを利用する傾向がある
米国の調査結果に学ぶオムニチャネル利用実態
高い店頭在庫のオンライン確認ニーズ
オムニチャネルを利用する消費者は、BOPISや当日配達サービスを使うなど多くの選択肢を積極的に活用しています。
また、店舗受け取りやカーブサイドピックアップを好み、実店舗に出向く前に何を入手できるか調べます。また、オムニチャネル利用者層には、当日配送が魅力的に映っています。
重要なのは、年代によって消費者の行動が異なるということです。『Digital Commerce 360』と Bizrate Insightsがオンライン通販利用者1069人を対象に実施した調査によると、年齢ごとの購買行動の違いが明らかになりました。
年齢層による購買行動の違いに加え、それが小売業にとってどのような意味を持つかを分析しました。調査結果の一部から、顧客に最適なサービスを提供するためのヒントを得ることができます。
30~39歳の層はオンライン通販に最も積極的。たとえば、彼らは近くの実店舗の商品在庫を確認したいと考えています。店頭在庫の確認ニーズに対する年齢別の回答は以下の通りです。
- 18~29 歳 (72%)
- 30~39歳 (75%)
- 40~54歳 (73%)
上記の数字は、55~64歳(57%)、65歳以上(55%)とは対照的です。年齢層別の最低点・最高点の差である「年齢差」については、「カーブサイドピックアップ」が26%と最も大きくなっています。その後に続くのが「店舗受け取り」の20%で、大きな差が生まれています。
コロナ禍がオムニチャネルの利用を後押し
2022年のオムニチャネル利用とコロナ禍以前の比較では、18~29歳の消費者の79%、30~39歳の74%がオムニチャネルを利用した購買を「より多く」行っていました。55歳以上では7割強がオムニチャネルの利用が増えています。
店舗受け取りとカーブサイドピックアップ、6か月で11回以上利用する人も
さらにもう一歩踏み込むと、若い消費者ほど過去6か月間に11回以上のオムニチャネル利用を行うなど、利用頻度が高くなっています。18~29歳の40%が11回以上利用しており、30~54歳の37%も同様です。
55-64歳の高齢者層は25%、65歳以上の層では24%と同程度の割合でした。
店舗受け取りとカーブサイドピックアップを利用した店舗の割合、幅広いカテゴリーに利用拡大
若い消費者達は、調査した店舗やカテゴリーでより多くの買い物を行っているようです。例外はハードウェア・ホームセンターで、こちらは年配の消費者に好まれていることがわかります。
このカテゴリー以外では、米国の大型ディスカウントスーパー「Target」の利用者(35%)とヘルス&ビューティーのカテゴリー(25%)で、年齢によるギャップが最も大きくなっています。
カーブサイドピックアップ(車中受け取り)とBOPIS(店頭受け取り)は高評価
オムニチャネル利用者に、10を満点として1~10のスコアでカーブサイドピックアップとBOPISを評価してもらいました。年齢差では全く同じですが、7~10点満点で見ると、若い消費者はカーブサイドピックアップに高い点数をつけています。一方、年配の消費者は、BOPISに高い評価を与えています。
オムニチャネルにおけるアプリ利用
オムニチャネル利用者の66%が、注文や受け取りをモバイルアプリで頻繁に行っていることがわかりました。
18歳から54歳までの広い年代で、オムニチャネル利用者は、アプリを使用する傾向があります。30~39歳が最も多く(75%)、18~29歳(70%)が僅差で続いています。40~53歳は69%です。
筆者(編注:『Digital Commerce 360』の執筆者)自身も、アプリを使ったショッピング体験はポジティブだった為、今では常にアプリを利用するようになりました。アプリの改良が進むにつれ、より多くの人がアプリを受け入れるようになるでしょう。
小売事業者のモバイルアプリに望む機能
アプリから発信されるコミュニケーションは、年齢層が高いほど好まれることがデータからわかっています。たとえば、注文の準備ができたことを通知してくれたり、テキストメッセージを受け取るなどです。
若年層は、在庫のある店舗をすぐに見つけられるなど、ショッピングの観点からアプリのユーザーエクスペリエンスを高く評価しています。また、携帯電話や車の情報、ギフトカードやクーポンを保存できることも、若い層には魅力的です。
モバイルの利用シーン、アプリで商品購入が5割
過去6か月間の購買行動の一部であったモバイル利用については、30~39歳の消費者が6つの質問に対して最も高い数字を示しました。一方、65歳以上は常に最下位でした。各質問に対する30~39歳の回答者の割合は次の通りです。
- アプリで商品を購入する:51%
- アプリを使用して店舗で商品を探す:42%
- 店舗またはカーブサイドでの受け取りを容易にする:34%
- 店舗でバーコードスキャンを利用して、より多くの商品情報を入手する:32%
- 小売店でのセルフレジ:26%
- 店内でスマホを利用して買い物をする:23%
店舗で商品を探すことに関しては、30~39歳と65歳以上で23%と最も大きな差となりました。エイジギャップ(年齢差)の大きさでは、「モバイルアプリを使って店舗で商品を購入する」「オムニチャネルでの受け取りを容易にする」が続きました。
高齢層のオムニチャネル利用は拡大期待
高齢の消費者は、オムニチャネルに関して慎重な傾向が見られましたが、今後は若者世代に追いついてくるでしょう。彼らは2023年、オムニチャネル利用に積極的になるはずです。
調査結果では、55~64歳の79%、65歳以上の76%が、2023年に店舗での受け取りやカーブサイドでの受け取りを増やす意向を示しています。
一方、18~29歳は41%、30~39歳は50%という結果でした。関心度はそれほど高くなく、彼らの購買力にも限界があるでしょう。
小売業にとって、年齢は重要なのでしょうか?
すべての顧客が重要ですが、オムニチャネルを受け入れ、モバイルを支持しているのは若年層です。若い消費者は、オムニチャネルの世界で新しいイノベーションを試したいと考えていることがわかっています。
長い目で見ると、オムニチャネルの充実が重要になると結論付けても良いでしょう。