「ChatGPT」など生成AIを活用・検討している企業は6割超。回答者から「新たに有益な相談役が加わった感覚」の声

「ChatGPT」が広く知られるようになり、生成AIを業務効率化に取り入れる企業は増えつつある。導入の実態や活用シーンでの課題などを調査結果からまとめた

高野 真維

2023年6月21日 10:00

帝国データバンクが実施した「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の活用状況に関するアンケート調査によると、「自社の業務で活用している」「活用を検討する」と前向きに捉えている企業は6割超に達している。一方、4割弱は活用意向はあるものの、自社の業務での具体的な使い方や活用場面が想定できていない。

生成AIの活用状況
生成AIの活用状況

生成AIを「活用・検討」している企業は6割超

生成AIを「業務で活用している」と回答した企業の割合は9.1%。内訳は「利用に関する社内ルールあり」(1.2%)「社内ルール等はない」(7.8%)。

「業務での活用を検討」している企業は52.0%。内訳は「活用を具体的に検討していく」(14.2%)「現時点では活用イメージが湧かない」(37.8%)。

生成AIを「活用・検討」している企業の割合は6割を超えている。

生成AIの活用状況の詳細な内訳
生成AIの活用状況の詳細な内訳

「業務での活用を検討していない」企業は23.3%。内訳は「今後も活用するつもりはない」(17.7%)「業務での利用が認められていない」(5.6%)。「知らない」(4.3%)「わからない」(11.4%)という回答もあった。

「活用を検討しているが、現時点では活用イメージが湧かない」という企業の割合は4割弱。回答企業からは「業務とのつながりがイメージできない」「使用したいが、使い方がよくわからない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」といった声があった。

企業規模に比例して生成AI活用の割合が高まる

企業の規模別に見てみると、「業務で活用している」は「大企業」が13.1%、「中小企業」が8.5%、「小規模企業」が7.7%。

利用に関する社内ルールがある企業は、「大企業」は3.4%、「中小企業」は0.9%、「小規模企業」は0.4%。

「業務での活用を検討していない」という企業で、会社から業務での利用を認められていない企業でも、「大企業」(11.4%)が最も高く、「中小企業」(4.7%)「小規模企業」(4.3%)と続いた。

「情報漏えいリスクが懸念されており、グループ全体で使用禁止になっている」など、規模の大きい企業やグループを中心に利用ルールが定められているケースが多い一方で、利用を認められていないケースも少なくないようだ。

「企業規模別」業務で活用を検討している企業の生成AI活用ルールの有無(左)と、検討していない企業の生成AIを活用しない理由
「企業規模別」業務で活用を検討している企業の生成AI活用ルールの有無(左)と、検討していない企業の生成AIを活用しない理由

「活用あり」「活用したい」生成AIは「ChatGPT」がトップ

生成AIを活用・検討している企業に、「活用したことがある、または活用したい生成AI」について聞いたところ、「ChatGPT」などを含む「文章・コード生成AI(総合型)」(93.1%)が最多。「画像生成AI」(14.3%)「音声・音楽・動画生成AI」(7.4%)が続いた。

「活用したことがある」または「活用したい」生成AIの分類
「活用したことがある」または「活用したい」生成AIの分類

「文章・コード生成AI」を見ると、「ChatGPT」(87.9%)、「Bard」(27.2%)「Smartling」(4.7%)と続いた。

「文章・コード生成AI」のうち、「活用したことがある」または「活用したい」生成AI
「文章・コード生成AI」のうち、「活用したことがある」または「活用したい」生成AI

回答者からは「利用の制限はデメリット」「有益な人物が加わった感覚」などの声

アンケートに回答した企業からのコメントは次の通り(一部を抜粋)。

業務で活用している

  • 小規模な会社のため、ルールの策定はせずに対応できている。社内のアイデア出しやビジネスチャットにおける雑談相手、教育用途ではそのままの状態で十分実用になる。個人情報や非公開情報を入力しないなど一般的な注意事項を守れば、社内での利用を厳しく制限するのはデメリットの方が大きい (不動産)
  • アイデアに困ったときのヒントとして利用。社外秘情報や個人情報を含む質問は行わない(機械・器具卸売)
  • 自分が相談する人脈のなかに、新たに有益な人物が加わったという感覚(不動産)

業務での活用を検討している

  • 「ChatGPT」を試しに利用しているレベル。文書作成やアイデア出しのたたき台としては使えそうな感触を得ている(専門サービス)

  • まずは社内のFAQ的な部分から活用してみたい(金融)
  • 生成AIによってエンジニアをはじめとする社員の能力が低下するのではないかという懸念点がある(情報サービス)

業務での活用を検討していない

  • 生成AIで得た情報が正確なものであるか、公序良俗に反してはいないかなどを確認する必要があり、信頼できるレベルにはないと思っている(建設)

調査概要

  • 調査対象:有効回答企業数は1380社(インターネット調査)
  • 調査期間:2023年6月12日~15日
  • 調査機関:帝国データバンク
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