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ディズニーのECと連動するストリーミングテレビ広告とは? Amazon、ウォルマートなども手がける動画広告最新トレンド

ディズニーは近年、新たな動画広告の手法“ストリーミングテレビ広告”に注力しています。その優位性とはどのようなものでしょうか。

Digital Commerce 360[転載元]

2024年1月25日 8:00

テレビに接続して視聴するストリーミング配信のなかで、自社の動画広告を配信できる「ストリーミングテレビ広告」の活用に注目が集まっています。ECと連動できるこの広告手法に、ディズニーが参入。米国の小売業ではディズニーのほかにも、Amazon、ウォルマート、ホームデポなどがストリーミングテレビ広告の試験運用に乗り出しています。

ディズニー、Huluでテレビ広告の運用を開始

ディズニーはHuluの筆頭株主(編注:2023年11月時点で67%の株式を保有している)で、2023年11月にケーブルテレビ大手のコムキャストが所有していたHulu株式33%を追加取得する計画を発表しています。

そのディズニーはこのほど、ストリーミングテレビ広告の試験運用を開始したと発表しました。消費者は「Hulu(フールー)」の動画コンテンツを視聴し続けながら、Huluの新しい広告メニュー「Gateway Shop(ゲートウェイショップ)」を通じて買い物ができるようになるそうです。

Huluで配信するストリーミングテレビ広告「ゲートウェイショップ」のイメージ(画像はオンラインプラットフォーム「ブライトコーブ」で公開された動画から編集部がキャプチャ)

「ゲートウェイショップ」は、2020年にHuluが開始した広告メニュー「Gateway Go(ゲートウェイゴー)」の拡張版という位置付けです。

「ゲートウェイゴー」は、視聴者はプッシュ通知、Eメール、またはQRコードを通じて、携帯電話に送信される広告の詳細情報を得ることができる広告メニュー。これまでに、さまざまなカテゴリーにわたる200以上の広告主が「ゲートウェイゴー」の出稿を契約してきました。

ディズニーのECと連動できるストリーミングテレビ広告とは? Amazon、ウォルマートなども手がけるEC広告最新トレンド 「ゲートウェイゴー」のイメージ
「ゲートウェイゴー」のイメージ(画像は「Disney Advertising」から編集部がキャプチャして追加)

ディズニーの目標は、視聴者が楽しんでいる動画コンテンツを中断させることなく、最小限のアクションで好きなブランドとつながることができるようにすることです。

ディズニーの企業DNAには、常にイノベーションを追求し続けることが組み込まれています。消費者がいくつものデバイスを使う“クロススクリーン”の昨今では、「ストリーミングテレビ広告」はストリーミング配信を補完するだけでなく、ディズニーをさらに発展させるものになると信じています。(パワー氏)

この発表からは、ディズニーがHuluで何をしようとしているのかを推し量ることができます。ディズニー・アドバタイジングのアドレッサブルセールス担当上級副社長を務めるジェイミー・パワー氏は次のように話します。

ディズニーは、Huluを含めた事業基盤として保有している顧客データと広告技術を通じて、大規模なストリーミング配信と幅広い視聴者を武器にできるのです。これにより、テレビから直接、消費者の関心と意思を購入につなげられる広告を打つことができます。(パワー氏)

スマホにもパーソナライズした広告を表示

ディズニーによると、ストリーミング配信の視聴者は、スマートフォンに送られてくるプッシュ通知やEメールを通じて、自分にパーソナライズされた広告を見ることになると言います。ディズニーは今後数か月の間に、ストリーミング配信を活用した、ユーザーと双方向のショッピング機能を拡大していく予定です。

この試験運用はまずHuluで展開し、将来的にはディズニーの公式動画配信サービス「ディズニープラス」にも追加する予定です。

ディズニーは最初の試験運用に含まれる広告主の1つとして、英国の日用品小売事業者ユニリーバを選びました。米国の広告業界誌『Ad Age(アドエイジ)』は、ディズニーは他の小売事業者にも同様の広告出稿を働きかけていると報じています。

75%の視聴者が広告のパーソナライズ化を支持

ディズニーは、消費者の行動は変容していると指摘しています。ほとんどの視聴者は、テレビと連携させているモバイル端末をセカンドスクリーンとして手に持ったり、あるいは近くに置いたりしてテレビを見ています。

「そのような消費者のほとんどは、もし選べるのなら、通常のコマーシャルよりも自分にパーソナライズされた広告が表示されるコマーシャルを選ぶ」とディズニーは予想しています。これは、大手メディアによる2023年の調査結果を踏まえています。調査結果によると、テレビ視聴者の75%が通常のコマーシャルよりもパーソナライズされたテレビ広告を好むそうです。

ディズニー・アドバタイジングの広告プラットフォーム担当上級副社長であるエイミー・レーマン氏によると「『ゲートウェイショップ』は、視聴者ファーストの広告表示とフォーマットを構築するために、ディズニーが採用している顧客アプローチの代表例です」と述べています。

視聴者の行動は変容し続けています。そのため、広告は時流を反映し、視聴者と広告を出稿するマーケティング担当者の両方に新しい方法でサービスを提供する必要があります。「ゲートウェイショップ」は魅力的かつ連続性のある広告手法で、視聴者に選択肢を提供します。(レーマン氏)

米国小売事業者によるストリーミングテレビ広告の利用拡大

「北米EC事業 トップ1000社データベース 2023年度版」で1位のAmazon、同2位のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」、同4位のホームセンターチェーン「ホーム・デポ」も、ストリーミングテレビ広告の試験運用を行っています。

Amazonは、2023年のブラックフライデーにNFL(米国フットボールリーグ)の試合を初めてストリーミング配信した際、ストリーミングテレビ広告をテストしました。

ウォルマートは2023年11月、メディアエンターテインメントグループのNBCユニバーサルと、ストリーミングプラットフォームのピーコックにストリーミングテレビ広告を出稿する契約をしました。この広告で消費者は、ケーブルテレビネットワークを提供するブラボーの一部番組で紹介されたウォルマートの商品を購入することができるようになりました。

ホームデポは2023年、米国の液晶メーカーVizio(ビジオ)と共同で、一連のブランドコンテンツを発表しました。

ドイツの大手出版社アクセル・シュプリンガーが制作・発行しているアナリストレポート「Insider Intelligence(インサイダー・インテリジェンス)」が2023年4月に行った世論調査によると、広告代理店の57%が「ストリーミングテレビ広告は小売メディアの最先端」だと考えています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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