世界を先読み!日本独占配信 米国でもっとも有名なEC専門メディア『Digital Commerce 360』からの最新記事
海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

Amazonの直販&第三者販売の流通総額+顧客属性+成長チャネルは?【EC事業の数値まとめ】

EC最大手のAmazon。その事業収益の推移と、Amazon内の事業分野における昨今の傾向をおさえておきましょう

Digital Commerce 360[転載元]

2024年4月4日 8:00

米Amazonの2023年度(2023年1-12月)までの連結業績から、EC売上高の推移、顧客属性、過去5年間においてシェアを高めている分野など、詳細にわたって「Amazon.com」の動向をまとめました。

AmazonのEC事業の最新実績

EC売上高は4100億ドル規模

米Amazonの2023年度(2023年1-12月)EC売上高は前期比10.5%増の4121億ドルでした。グローバルで最も大きいEC事業者です。

Amazonの2018年~2023年のEC売上高推移(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)
Amazonの2018年~2023年のEC売上高推移(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)

Amazonは2023年、EC事業の売上高を約400億ドル成長させました。

Amazonの2023年度におけるEC事業は、2020年度実績と比べると1091億ドル以上成長。過去5年間のCAGR(年平均成長率)は18.0%となっています。

Amazonの過去5年間の平均成長率と売上高の5年間の増収額
Amazonの過去5年間の平均成長率と売上高の5年間の増収額

過去5年間の年間売上高をチャネル別に見ると、全てのチャネルで売り上げがアップしています。

Amazonのチャネル別年間売上高(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)
Amazonのチャネル別年間売上高(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)

顧客属性は男性多数、ボリューム層は25~34歳

「Amazon.com」への月平均アクセス数は24億8000万です(2023年12月時点)。顧客属性を性別で見ると女性よりも男性が多く、年齢で見ると25~34歳が最もアクセス数が多くなっています。

Amazon.comの月次トラフィックデータ(出典:『Digital Commerce 360』と米調査会社のSimilarweb。データは2023年12月時点)
Amazon.comの月次トラフィックデータ(出典:『Digital Commerce 360』と米調査会社のSimilarweb。データは2023年12月時点)
Amazon.comの顧客属性(出典:『 Digital Commerce 360』とSimilarweb。データは2024年2月時点) 
Amazon.comの顧客属性(出典:『Digital Commerce 360』とSimilarweb。データは2024年2月時点) 

直販は低成長も、第三者販売が右肩上がりに拡大

Amazonのオンラインストア事業の規模はどれくらいでしょうか。オンラインストアの売り上げから、サブスクリプションサービスと第三者販売の手数料を除いたとしても、Amazonは依然として世界最大のEC事業者。2位は中国のJD.comです。

Amazonをよく知っている人なら、Amazonのビジネスで成長している分野がすぐにわかるでしょう。Amazonのなかで、オンラインストアはもう成長分野には含まれていません。実際、Amazonの直販事業は、過去4年間で最も成長の鈍い事業となっています。

オンラインストアの年度別EC売上高と成長率の変化(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)
オンラインストアの年度別EC売上高と成長率の変化(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)

近年では特に、

  • 第三者販売サービス売上(マーケットプレイスを通じた第三者が販売するサービスに関する手数料売上など)
  • サブスクリプションサービス売上(「Amazonプライム」の会員費、デジタルビデオ、オーディオブック、デジタル音楽、電子書籍などのサブスクリプションサービス)

の増加が目立っています。

「オンラインストア(直販)」「サブスクリプションサービスの利用料金」「第三者販売サービスの利用料金」の過去3年間の平均成長率(出典:米Amazonの2020年~2023年業績報告書と『Digital Commerce360』)
「オンラインストア(直販)」「サブスクリプションサービスの利用料金」「第三者販売サービスの利用料金」の過去3年間の平均成長率(出典:米Amazonの2020年~2023年業績報告書と『Digital Commerce360』)

直販と第三者販売サービスを合計した流通取引総額(GMV)を見ても、GMVに占める第三者販売サービスの流通総額は顕著に増えています。2023年度はGMV6526億のうち、過半数の4357億ドルを第三者販売サービスが占めています。

Amazonの直販および第三者販売の流通取引総額(GMV)の合計(年度別)(出典:『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)
Amazonの直販および第三者販売の流通取引総額(GMV)の合計(年度別)(出典:『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)

プライム会員による売上高は400億ドル超

Amazonは、販売事業者によるサブスクリプションサービスの利用手数料だけで年間400億ドル以上を稼いでいます。もしAmazonが他に何も売らず、直販の商品を1つもサイトに置かず、サブスクリプションサービスだけを販売事業者に提供したとしても、Amazon.comの売上高は北米で第3位です。

Amazon「プライム会員」の売上高推移と成長率(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)
Amazon「プライム会員」の売上高推移と成長率(出典:米Amazon発表の年次業績報告書と『Digital Commerce360』。データは2024年2月時点)

Apple、米国の住宅リフォーム・建築資材などの小売りチェーンHome Depot(ホーム・デポ)よりもまだ大きく、Nike(ナイキ)、Costco(コストコ)、米国のペット用品ECのChewy(チューイ)の合計売上高と比較しても、Amazonのサブスクリプションサービスだけで、これらのEC大手の合計を上回ることになります。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「声のする方に、進化する。」会社全体最適を目標とするワークマンの「補完型EC」 が実践する「レビューマーケティング3.0」とは? 12月17日 7:00 「所有から利用へ」の潮流をAIで勝ち抜く。事例で学ぶレンタル・リユースビジネスの成功法則とEC構築術 12月16日 7:00 「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00