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「Forever 21」の買い物体験向上施策5選。決済後のパーソナライズ提案、アプリ誘導などの改善例

Forever 21が実施した決済体験の向上が事業を成功に導いています。そのなかから、成果をあげた代表的な5つの施策を紹介します

Digital Commerce 360[転載元]

2024年6月13日 8:00

米ファストファッションチェーンのForever 21が、ECサイトにおける支払いフローの改善により、成果を出しています。なかには、お勧め商品のパーソナライズ表示によって、レコメンデーション経由の収益が2倍になった施策もあります。成果につながった5つの取り組みをデジタル部門最高マーケティング責任者が解説します。

Forever 21が支払いフローの改善に成功した5つの施策

米アパレル小売チェーンのForever 21のジェイコブ・ホーキンス氏(デジタル部門最高マーケティング責任者)はこのほど、Forever 21のチェックアウト(編注:支払い)戦略を説明しました。Forever 21のチェックアウトは、小売業界において最も成功していると言っても過言ではありません。

チェックアウトの簡潔さ・わかりやすさは、買い物体験を大きく左右します。Forever 21の経営陣たちは長年、支払いフローの改善に取り組んできました。ジェイコブ氏は、最も効果があった5つのチェックアウト改善方法について説明しています。

1.顧客をモバイルアプリに誘導

モバイルアプリは、Forever 21がチェックアウトを改善した「最初で最大のポイント」だとジェイコブ氏は説明します。彼が入社した2年前、アプリ経由の売上構成比はEC全体のうち1ケタ台半ばでしたが、今ではアプリを通じた売り上げがEC売上全体の50%以上を占めています。

Forever 21で買い物をする際に、お客さまにとって最も早くて簡単な方法がアプリです。自分が閲覧した商品と類似した他の商品を見ることができます。一度買い物をすると、次回はより早くチェックアウトできるよう、住所情報などの入力したすべての情報が保存されます。また、アプリを通じて、お客さまは店舗の特定の商品の価格や在庫状況を確認したり、住まいの近くなど特定の店舗への配送を選択することもできます。(ジェイコブ氏)

Forever 21は、「Bolt」を利用して顧客情報を保存し、次回以降の購入時に顧客がスピーディーにチェックアウトできるようにしている(画像は『Digital Commerce 360』より)
Forever 21は、決済サービス「Bolt」を利用して顧客情報を保存し、次回以降の購入時に顧客がスピーディーにチェックアウトできるようにしている(画像は『Digital Commerce 360』より)

2.多岐にわたる支払いオプション提供

ジェイコブ氏は、消費者にさまざまな支払い方法を提供することが、確実に購入を完了させるための重要なファクターだと言います。Forever 21は支払い方法として「Apple Pay」「Venmo」「PayPal」「Klarna」「Amazon Pay」を選択できるようにしています。

お客さまに負担を感じさせることなく、さまざまな支払い方法を選択できるようにすることが大切です。(ジェイコブ氏)

その一方、決済方法が多ければ多いほど良いというわけではないため、ジェイコブ氏は「すべての支払いタイプ」を用意する考えはありません。たとえば、20種類にわたる支払い方法があると、どれがどれだかわからなくなり、顧客が混同してしまうこともあるからです。

「Apple Pay」「Pay Pal」のような代表的な支払いタイプを用意することによって、チェックアウトのプロセスがスピードアップし、クレジットカードや配送情報の入力に必要な時間を短縮することができます。(ジェイコブ氏)

3.ページ表示のスピードアップ

Forever 21はサードパーティベンダーを通じて、顧客向けにWebサイトのページ表示を高速化する施策を講じました。Webサイト全体があらかじめ保存され、コンテンツは消費者に近いサーバーから読み込まれるようにしています。これにより、ページの読み込みが省略され、ページの表示が各段に速くなるのです。

Forever 21公式オンラインストアのトップページ(画像は編集部がサイトからキャプチャ)
Forever 21公式オンラインストアのトップページ(画像は編集部がサイトからキャプチャ)

この変更を取り入れてから約1か月後、アクセスに使用したデバイスに応じて、Forever 21はWebサイトのページ表示が50%~80%高速化しました。チェックアウトのプロセスにおいて、消費者は読み込みが遅いチェックアウトページを我慢強く待つのを嫌い、「注文がスピーディーに完了することを期待している」とジェイコブ氏は説明しています。その期待に応えることが、コンバージョンにもつながるのです。

4.チェックアウト時にパーソナライゼーションした商品を提案

チェックアウトプロセスに、消費者の行動履歴に基づいた要素も追加しました。たとえば、顧客がチェックアウトページにいる時に、共有した他の情報に基づいてパーソナライズしたお勧め商品を表示します。また、さまざまな商品のページにもレコメンデーションを表示するようにしています。

顧客が商品をカートに入れると、パーソナライズしたお勧め商品を表示する(画像はForever 21の公式オンラインストアから編集部がキャプチャ)
顧客が商品をカートに入れると、パーソナライズしたお勧め商品を表示する(画像はForever 21の公式オンラインストアから編集部がキャプチャ)

チェックアウトのプロセスだけでなく、お客さまの購買行動に関わるプロセス全体をスピードアップしたいと考えています。パーソナライズされたお勧め商品の表示によって、お客さまは興味のある商品をすぐに見つけることができます。(ジェイコブ氏)

ジェイコブ氏によると、Forever 21はこの機能を取り入れてから8か月間で、顧客ごとにパーソナライズされたレコメンデーションからの収益が2倍になりました。

5.顧客都合で選べる配送オプションを提供

小売事業者は消費者に対して、商品を受け取るための配送オプションを多く提供し、顧客の購買行動を後押しする必要があるとジェイコブ氏は説明します。

Forever 21は、一部の対象商品について、自宅への配送と店舗での受け取りを顧客が選べるようにしています。

商品によっては自宅配送と店舗受取を選択できる(画像はForever 21の公式オンラインストアから編集部がキャプチャ)
商品によっては自宅配送と店舗受取を選択できる(画像はForever 21の公式オンラインストアから編集部がキャプチャ)

このことは、Forever 21が消費者のさまざまな需要に応えるブランドであることをアピールするのに役立ちます。

たとえば、自宅への配送料を節約したい顧客は、配送料が無料になる店舗への配送を選択できます。または、顧客が「注文当日の夕方までには手元にほしい」という洋服がある場合は、オンラインで購入した後、店舗受け取り(BOPIS)を通じて購入すると、数時間以内に入手できます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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