鳥栖 剛[執筆] 8:30

政府・与党が見直しに着手する方針を示している、格安越境ECなどにおける少額輸入貨物の免税制度。政府内でその議論が進み始めている。

5月に実施した政府税調専門家会合で見直し課題などについて議論があり、財務省でも5月14日の「関税・外国為替等審議会 関税分科会」でこの見直しについて言及があった。

少額輸入貨物の免税制度とは、課税価格の合計額が1万円以下の少額輸入貨物について、関税と消費税が免除(一部を除く)されるもの。財務省によると、少額貨物に関する税関を取り巻く状況として輸入件数の増加が継続。2024年の輸入許可件数は約1億9000万件と前年比約35%増えた。課税価格1万円以下を対象とする少額貨物の輸入許可件数は約1億7000万件と全輸入許可件数の約9割を占めている。

格安越境ECサイトを問題視、「国内事業者との競争でアンフェアな状況」。政府が越境ECの少額輸入貨物の優遇見直しへ
少額貨物は増加し全輸入許可件数の約9割を占める(画像は財務省の公表資料から編集部がキャプチャ)

越境ECの市場拡大に伴い、内外事業者の課税の公平性の確保などに関する問題が顕在化。こうした状況を受け、少額免税制度の見直しを含め、適正な消費税の課税のあり方について政府税調などで検討が始まっている。

2024年11月には政府税調専門家会合において「消費税に係る少額輸入免税制度について、国内外の事業者間のイコールフィッティングを図る観点から見直しを行うべきか」との論点が提起された。与党が2024年12月に公表した「令和7年度税制改正大綱」には「国境を越えた電子商取引に係る消費税の適正化」という項目を盛り込んだ。

そして5月の政府税調専門家会合においても消費税に係る少額輸入免税制度を見直す場合の課題などについて紹介され、通関実務への影響についても議論。5月14日の「関税・外国為替等審議会 関税分科会」では、一連の見直しに向けての動きについて紹介があった。

格安越境ECサイトを問題視、「国内事業者との競争でアンフェアな状況」。政府が越境ECの少額輸入貨物の優遇見直しへ
一連の見直しに向けての動きについて(画像は財務省の公表資料から編集部がキャプチャ)

2024年11月の専門家会合では、格安越境ECサイトを問題視し「国内事業者との競争でアンフェアな状況」であるといった指摘もあった。「関税・外国為替等審議会 関税分科会」で公開した資料では、次のような意見が掲載されている。

  • 越境ECに関しては、国内事業者とのイコールフッティングを考えるべきであり、海外事例を参考にしながら少額免税制度の見直しを進めていくべき。
  • 海外事業者による格安越境ECが非常に伸びており、このビジネスモデル自体が少額免税制度を利用したものとなっており、国内事業者との競争においてアンフェアな状況であり、迅速に対応する必要がある。
  • 国内で真面目に税金を納めている人が意識しないところで損をして、国際競争力を持てなくなってしまっている。加速的に検討しなければならない。
  • 少額免税制度の見直しについては、円滑な通関と適正な課税を両立できるよう進めることが肝要。
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