EC売上高上位50社が行っているサイト内検索機能のユーザビリティ改善施策とは
通販・EC企業のトップ企業は、ECサイトのユーザビリティを改善するためにどんな施策を行っているのだろうか。“サイト内検索”にフォーカスし、EC売上高の上位50社が行っている施策を、ナビプラスが調査した。Amazonや楽天市場など大手モールでは、一般消費者が当たり前のように使用するサイト内検索機能「サジェスト(オートコンプリート)機能」「ドリルダウン機能」「ファセットカウント機能」。これらを上位企業がどの程度実装しているのか。サイト内検索対策の状況を探ってみる。
大手モールも実装のサイト内検索3機能の実装率は42%
この記事のポイント
- サイト内検索の3機能を実装しても、いきなり大幅な成果が得られるわけではない
- 多くのECサイトが日々改善を続けているなか、もはや発明的な改善策などはない
- 小さな取り組みの積み重ねが、大きな結果の差を生む
消費者の多くが「Amazon」「楽天市場」で商品を購入するようになり、大手モールが行っている“ユーザビリティ”改善施策は、自社ECサイトでも実現したいところ。
一般消費者が当たり前のように使用している状況にあるサイト内検索機能「サジェスト(オートコンプリート)機能」「ドリルダウン機能」「ファセットカウント機能」の実装状況を、EC売上高トップ50社を対象にナビプラスが調査した。
「ネットショップ売上高ランキング(日本ネット経済新聞 2015年6月11日号)」の上位50社では、3点セットが実装されているのはわずか42%にとどまることがわかった。
2機能を実装しているのは18%で、2機能以上を搭載しているECサイトは全体の6割を占める。一方、1機能のみは22%で、実装無しは18%。1機能以下は全体の4割となっている。
ナビプラスによると、「アイテム数の少ないサイトなど、敢えて実装していないサイトも見受けられる一方、明らかに検索のユーザビリティにストレスを感じるサイトも数多くあった」。
Amazonや楽天では当たり前の機能の実装率が、売上上位サイトでも半分以下にとどまるのは、まだまだサイト内検索最適化の余地を残す企業が多いと言える。」
さて、ここであがったサイト内検索の3機能を簡単に解説。
サジェスト(オートコンプリート)機能
検索窓に何文字か入れると検索候補が表示される機能。
ドリルダウン
「絞り込み機能」。商品を複数の軸(性別、カテゴリ、ブランド、素材、色、産地、性別、価格など)で絞り込むことができる。
ファセットカウント
「カテゴリで絞り込んだら何件残るか」を表示する機能。
「小さな取り組みの積み重ねが、大きな結果の差を生む」。この考え方が主流になる
調査では、「総合通販」「家電」「ファッション」「化粧品」「食品」「日用品」の6ジャンル別の売上トップ10社の実装状況も調べた。
ECサイトのジャンル別の「3点セット導入率」は、総合通販が60%と最も高い。ファッション、家電、日用品が40%だった。こうした商材はある程度、商品アイテム数が多いといった商材の特性があり、サイト内検索を多用する消費者行動に対応する企業の動きが推測される。
日本ネット経済新聞が公表した「ネットショップ売上高ランキングの1~10位によると、総合ジャンルの企業(アマゾンの日本事業、千趣会、ニッセン、ディノス・セシール、イトーヨーカ堂、ジャパネットたかた)は6社。こうしたことも含め、ナビプラスは次のようにまとめている。
ユーザが検索のユーザビリティを求めるのは他のジャンルのECサイトでも同じ。競合との差別化を進めるためにも、3点セットの導入は優先すべき施策と言える。
一方で、「化粧品」と「食品」は10%。アイテム数が比較的少ないというケースが多いため、サイト内検索への投資よりも、CRMなど他のCVRアップ施策へ注力している企業が多いと考えられる。
「サジェスト(オートコンプリート)機能」「ドリルダウン機能」「ファセットカウント機能」を導入しても、いきなり大幅な成果が得られるわけではない。そのことを踏まえ、ナビプラスは次のように言及した。
多くのECサイトが日々改善を続けているなか、もはや発明的な改善策などはない。愚直に目の前にある課題を、競合に先駆けて解決していくこと以外に最適な答えはないはず。小さな取り組みの積み重ねが、大きな結果の差を生む。これからのECサイト運営においては、この考え方が主流にはなるのではないか。