売上高300億円を突破した爽快ドラッグの課題は? 小森社長に聞いてきた
7年連続で「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」のグランプリを獲得するなど、EC業界をけん引する1社の爽快ドラッグ。だが、小森紀昭社長は「このままでは、EC業界の流れに置いていかれるのではないか」と危機感を強く抱いている。爽快ドラッグが抱える課題は何なのか。越境ECの取り組みなどもあわせ、今後の展開なども聞いてみた。
売上高は21%増の311億円に
――2016年3月期の売上高は前期比21%増の311億円となりました。
正直なところ、もう少し伸ばすことができたのではないかと思います。ただ、前期の目標として「爽快ドラッグ」は20%成長、「ネットベビー」が10%成長を掲げており、この目標を達成することはできました。
今後の足掛かりとしてペット用品ECサイト「快適ねこ生活」などのココロを買収。2015年から始めた越境ECもうまくスタートを切ることができました。着実に成長できた1年だったと思っています。
――特に注力した点は。
「爽快ドラッグ」は総合店舗として運営してきましたが、ケース販売する飲料は送料込みで販売した方が良いのではないかと考え、別店舗「爽快ドリンク専門店」として運営を始めました。「楽天市場」のショップ・オブ・ザ・イヤーでジャンル賞を獲得できるほど成長したので、方向性は間違っていないと思っています。
――物流の改善を常に行ってきましたが、前期はどうですか?
「ネットベビー」の倉庫を2016年5月に統合し、3か所に分散していた関東の倉庫を1か所に集約。合計延べ床面積も増床させました。「ネットベビー」は従来、ベビーカーやチャイルドシートなどが中心でしたが、倉庫の統合で、おむつ、おしりふき、ミルクなど消耗品の品ぞろえを増やすことができました。リピート購入するユーザーが増えてきています。
システム面では「爽快ドラッグ」と「ネットベビー」の統合が進んできました。別会社にする意味がなくなったので、2016年6月、爽快ドラッグに吸収させる形で、会社統合も行いました。
「Tmall Global」内の日系企業で流通額1位を達成
――2015年5月から中国向け越境ECを開始しました。手応えは?
とてもいい手応えを感じています。うまくいっている要因は、パートナーでしょう。現地パートナーの(住友商事の中国現地子会社)住商電子商務上海では、以前から「天猫(Tmall)」上で商品を販売しているので、「Tmall」の販促を熟知しています。「爽快ドラッグ」の「天猫国際(Tmall Global)」店の運営を一手に引き受けてくれています。「Tmall Global」は「Tmall」と同じ管理画面ですので彼らは操作を熟知している。販促の仕組みなどもよく知っているので、一気に売り上げを伸ばすことができました。
おそらく「Tmall Global」で販売している日系企業では流通金額が1位となった月もあると想定しています。これからも期待できる市場で、さらに売り上げを伸ばしてていけると考えています。
――日本ではメーカーと協力した販促を実施してきました。中国でも、メーカーへの情報提供、一緒に販促を行っているのでしょうか。
同じようなことを中国でもやりたいと思っています。とはいえ、まだまだ始めたばかりの段階。まずは取扱商品を増やして、売り上げを伸ばしていきたいですね。
配送スピードアップをしなければ、置いて行かれる
――現状の課題は。
やはり、物流です。「ネットベビー」の物流は全品365日17時までの注文は「あす楽」に対応しています。ドリンクのケース出荷も配送リードタイムはかなり短くなってきたので、さらに改善させていきます。
一方、「爽快ドラッグ」を中心とした梱包が必要な店舗の物流は、ある程度リードタイムを犠牲にしながら、赤字にならないように事業を展開してきました。しかし、Amazonがプライムサービスを始めたり、ヨドバシカメラが全国8割で翌日配送できる体制を整えるなか、いまのままでは「爽快ドラッグ」は置いていかれるのではないかと考えています。そのため、翌日配送できるような体制を整えていかなければならないと考えています。
――今期の取り組みは
モール店や自社サイトで直接商品を販売するだけでなく、NTTドコモに商品を提供するといった施策も行っています。今期(2017年3月期)は新たに「auウォレットマーケット」との提携も進めています。現在は店頭での販売だけですが、8月にはWebでの販売も始まるなど、商品提供する事業が大きく伸びるのではないかと期待しています。
リクルートのベビー用品ECサイト「赤すぐ」に対して、「ネットベビー」のベビーカーやチャイルドシート、おむつ、ミルクなどの消耗品を提供することになりました。
――今期の売り上げ目標は。
前期(2016年3月期)に買収したココロの売り上げが通年で寄与することもあり、400億円を超える目標を設定しています。