Digital Commerce 360 2016/9/29 8:00

消費者は次に何を買うか、何をするかといったアイディアを求めてPintarest(ピンタレスト)にアクセスする。ピンタレストは意思決定のためのプラットフォームの役割をしている。

こう説明するピンタレストが初の広告展開をしてから1年8か月が経ちました。ピンタレストは“独自のツールやデータを提供できる”と広告主に売り込んでいます。

ピンタレストは最近、多数の広告ツールを発表しました。そのなかには、

  • 小売業者の「ピン」(ボードに収集する視覚的なブックマーク)に反応した消費者をターゲティングする
  • 小売業者のWebサイトで特定のアクションを起こした消費者をターゲティングできる

といったEC事業者の販促に役立つ機能が搭載されています。

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米国TOP500社が活用するソーシャルフォロワー数などの成長率(出典はInternetRetailer社、画像は編集部がキャプチャ)

たとえば、エンゲージメントターゲティングというツール。これを使用すると、過去540日以内に小売業者のピンを「保存」「クリック」「タップ」した消費者に対して広告を出稿することができます。

また、ピンタレスト内のネイティブ広告に掲載したピンへ反応した消費者と、広告など一切プロモーションをしていないピンに反応した消費者を分けてリターゲティング広告を展開することも可能です。

ピンをするかどうかは、ネット上で商品を買う気があるかどうかを示す最もわかりやすいサインなのです。

ピンタレストのプロダクトマネージャー、フランク・フマロラ氏はこう話します。

ピンタレストの社内調査によると、ピンをした消費者は、していない消費者の2.2倍も商品を購入しているというデータがあります。

先日発表された広告メニュー「ピンタレスト・タグ」は、小売業者のWebサイトで消費者が9つのアクションの内の1つでも行った場合、ピンタレストでリターゲティングできる機能です。9つのアクションとは「サイト内で商品検索をした」「商品をカートに入れた」「商品を購入した」などが含まれます。

「ピンタレスト・タグ」は、WebサイトにフェイスブックのFacebookピクセル(Webサイトで使用するとFacebook広告の機能を高めることができるコードのタグ)を埋め込むのと同じ要領で対応可能。いくつかの「ピンタレスト・タグ」のコードをWebサイトに加えると、この広告メニューを利用することができます。

「消費者のWebサイト上でのアクションが、オーディエンス構築につながるのであれば、小売業者はより多くのアクションを取ろうとするのです」とフマロラ氏は説明します。

ピンタレストは、「ルックアライク」というターゲティングツールを「アクトアライク」という名称に変更しました。

「アクトアライク」は、小売業者のWebサイト訪問者や顧客と同じような特徴・行動をしている消費者をターゲテディングするツールです。ピンタレストは、フェイスブックの「ルックアライクオーディエンス」(保有顧客に似た傾向を持ちビジネスに関心を示す可能性が高い人々を探し出してリーチを広げる機能)やグーグルの「シミラーオーディエンス」、他社の類似広告メニューとの差別化を図ろうとしています。

フマロラ氏はピンタレストの方向性などを次のように説明します。

ピンタレストの独自性を強調したいのです。「ルックアライク」(現在の名称は「アクトアライク」)はデモグラフィック属性によってオーディエンスが決定されます。大量のデモグラフィックデータがあることは素晴らしいこと。しかしながら、ピンタレストはそれ以上のモノを提供できるのです。他のプラットフォームが持っていない、エンゲージメントデータを保有しています

ユーザーが何を好み、どんなことを望み、実際に何をしたのかがわかります。ユーザーがどのように考え、行動しているのかを把握しているので、「アクトアライク」を利用すれば、より効率的に広告を展開できるようになるのです。

現段階でピンタレストの最新ターゲティング広告ツールを評価するのは時期尚早ですが、出だしは好調のようです。詳細なデータは明らかになっていませんが、ピンタレストによると新しい広告ツールを使っている広告主のCTRは以前に比べて80%上昇したそうです。

フマロラ氏は、消費者の意思決定に関わる情報を集めることで、フェイスブック、グーグルといった競合他社よりも高い価値を提供できると強調します。実際、フマロラ氏の主張を後押しするデータもあります。

ベンチャーキャピタルのKleiner Perkins Caufield & Byers社のメアリー・ミーカー氏が発表したプレゼンテーション「インターネットトレンド 2016 インターネットの現状」によると、ピンタレストユーザーの55%がピンタレストで買い物(購入もしくは商品を探す)をしているそうです。その数字は、フェイスブックの12%、インスタグラムの12%、ツイッターの9%をはるかに上回っているのです。

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各ソーシャルメディアユーザーがソーシャル経由で製品を購入もしくは探す割合(2016年4月)、出典は「インターネットトレンド 2016 インターネットの現状」(画像は編集部がキャプチャして追加)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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