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アマゾンのスピード配送に対抗するために米小売企業・EC事業者がやっていること

米国でもアマゾンのスピード配送への対抗策は悩みの種。小売事業者・EC事業者はどんな対抗策を行っているのか?

Digital Commerce 360

2016年9月23日 7:00

米国のプライム会員(推定630万人)に対して、数百万もの商品を2日以内に無料配送しているアマゾンに追いつくため、他のEC事業者も配送スピードを必死に引き上げようとしています。

2015年に米国内オンライン販売の33%を占めたアマゾン(インターネットリテイラー社のサイトにジャンプします)。2012年比で25ポイントもシェアをアップさせました。そんな環境下、米国の他の事業者は巻き返しを図ろうと、配送スピードの向上に取り組んでいます。

インターネットリテイラー社の調べによると、米国の他のEC事業者は配送面で大きく前進しているようです(インターネットリテイラー社のサイトにジャンプします)

アマゾンの配送スピード化は衰えることを知りません。たとえば、米国内で成長が見込める市場では、一定の商品は当日配送(プライム当日配送サービス)、もしくは2時間以内の配送(プライムナウサービス)を実現しています。

プライム会員は、年間99ドルの会員費を支払えば、追加料金なしで2日以内の無料配送サービス、動画、音楽ストリーミングサービスを利用することができます。

アマゾンが提供している2日以内の配送スピードは、消費者にとっては当たり前になっています。そのため、「アマゾンの配送スピードに劣るEC事業者の配送サービスに対し、“遅い配送に耐えられない”と考える消費者が増えている」と小売事業者や専門家は話します。

このほど発表した「購入・配送・返品:フルフィルメントレポート」(インターネットリテイラー社発行)には、全のトップ30のEC業社の配送スピード、受注処理時間、返品に関するデータを掲載しています。

他のEC事業者がアマゾンに追いつくにはまだ長い時間がかかりそうですが、過去3年間でトップのEC業社が配送スピード改善に向けて着実に成果を上げていることがわかります。

これらの企業は、どのように配送スピードを上げ、どの程度の投資をしているのでしょうか?

ECサイトの分析を手がけるスライス・インテリジェンス社のアナリストによると、いくつかの要素が絡み合っているようです。

たとえば小売事業者は、オンラインのオーダーを処理するために物流センターを増やしています。また、人口密集地域に近い場所に物流センターを構築し、配送スピードを上げています。

まだ少数派ですが、実店舗を持つ小売事業者のなかには、オンラインのオーダーを実店舗から配送し、配送コストの低減に取り組んでいる企業もあります。

インターネットリテイラー社の調査では、全米トップ30のEC業社の平均配送スピードは4日間。1日か2日で商品が届くことに慣れているアマゾンプライムの会員にとっては、とても遅い配達に感じます。

しかし、スライス・インテリジェンス社は過去2年で大きな改善が行われていると指摘します。2014年1月から2016年4月までの間、アマゾン以外のEC業事業者238社の配送スピードを分析。2014年1月時点では平均8.3日だった配送スピードは、2016年4月には5.1日に短縮されていました。

スライス・インテリジェンス社は、配送量が多いEC事業者を選別し、2014年から2016年の2年間、配送データを分析しています。下記表はインターネットリテイラー社の調査に含まれた企業のみを反映しました。

アマゾンのスピード配送に対抗するために米小売企業・EC事業者がやっていること
配送スピードを上げるトップのEC事業者
オーダーから配達までにかかる時間(2014~2016年の4月度における注文から配送までにかかる平均配送スピード、単位は日)。
※出典はスライス・インテリジェンンス社(配送料が多いEC業事業者の平均配送スピードを分析し、インターネットリテイラー社の調査に含まれた企業のみを反映した。調査は全米420万人のオンライン購入者を対象に、トップEC業事業者が配送した1億10万5787個の配達データをもとに分析)

ノードストローム(インターネットリテイラー社発行「全米EC事業 トップ500社 2106」18位)やウォルマート(4位)、ニューエッグ(17位)といった規模の大きい企業は、2年間で2日以上も配送スピードを短縮しています。

最も大きな改善を実現したのは、2014年4月に9.7日だった配送スピードを2016年4月に5.1日にまで短縮したJCペニー(33位)。ベストバイは、2014年4月の6.8日から2016年は3.3日と、3.5日も短縮しました。

ベストバイは、2016年第2四半期のオンライン売り上げは24%アップしました。その理由として、効率化したチェックアウトプロセス使いやすい検索機能迅速な配送スピードの実現消費者の近くの実店舗における在庫の可視化など、デジタル機能の改善をあげています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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