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オムニチャネルの記事、文献は多数存在するものの、海外や国内の巨大企業の事例紹介が多く、ECサイトの店長が自社で取り組むことができる実現可能性の高いオムニチャネルの取り組みはあまり紹介されいません。では、中小のECサイトはオムニチャネルに取り組んでも無駄なのでしょうか。そんなことはありません。中小ECサイトにはそのサイズに適したオムニチャネル施策が存在します。これから5回にわたって、中小ECが取り組むべきオムニチャネルの具体的な取り組み方やポイントについて解説します。

オムニチャネルはチャネル間の相乗効果を創出する取り組みです

オムニチャネルとは、顧客接点の全チャネルの融合と言われています。では、顧客接点の全チャネルの融合とはどのようなものでしょうか。

実店舗の顧客をECサイトに、ECサイトの顧客を実店舗へ送客しようとしても、思うようにいかなかったり、全体としての売り上げや利益の向上につながらかったりするケースが多々あります。消費者の行動は、実店舗で買う、ネットで買うのどちらかを画一的に選ぶというよりも、実店舗とネットを行き来しながら購入に至るまでの一連のショッピングを楽しむ傾向にあります。

さらに、オムニチャネルをより大きな視点からみると、GoogleやAmazonなどに代表されるように、「競争により利益を受けるのは消費者である」という大きなトレンドのなかにあると言えます。利益を受けるのは消費者ではありますが、企業として、この大きなトレンドを押さえてチャンスに変えていくか。つまり、競争優位としていく必要があるとも言い換えられます。

話をオムニチャネルに戻しましょう。すでに消費行動の流れのなかに複数のチャネルが存在しており、販売チャネルの垣根は無くなりつつあるのが実状です。

販売者側は、販売チャネル別、店舗別の販売実績が目標として掲げられており、販売担当者は自分のチャネルで売り上げを伸ばすことに終始してしまいがちです。そのため、購入に至るまでのプロセスへの対策が不十分となり、購入の手前で機会ロスが起きてしまっています。

販売者側がまず、認識しなければならないのは、すでに消費者の心理としてオムニチャネルを当たり前のこととして受け入れ始めているということです。その上で、すでにオムニチャネル化している消費者に対応するには、顧客の心理、行動といった購入に至るプロセスの観点にフォーカスを当てることが重要です。

先日、消費者庁が発表した「平成25年度消費者意識基本調査」によると、ネット通販を利用する理由に「品揃えが豊富、インターネット通販でしか買えない商品があるから」が61.0%で、実店舗に比べ物理的な制約のない商品の豊富さにネットの魅力を強く感じています(参照記事)。

反面、ネットでのショッピングに不安、不便さを感じる点として、最も多いのが「購入前に実物の商品を確認できないこと」で67.2%。続いて「購入時に住所やクレジットカード番号などの個人情報を送信すること」が42.9%、「購入後のアフターサービス(返品、交換、保証、故障対応等)が行われるかわからないこと」が26.9%となっています。

こうしたデータを見ると、ECサイトの品ぞろえを生かすことでショッピングの利便性を高めつつ、実店舗で実物が確認できるようにすれば、不安を解消でき、購入に至る手前での離脱を抑止できると考えられます。

ネットでは豊富な商品情報はもちろん、多面的な検索、購入者レビュー、関連商品やレコメンデーション機能などを充実し、欲しい商品を見つけやすくするための対策を強化します。

一方で、ECサイト上で消費者が欲しい商品を最寄りの実店舗で手に取って確認し、気に入れば購入できるように案内します。さらに、実店舗の営業時間や商品の在庫情報はもちろん、商品の取り置きや在庫の無い商品をECサイトの在庫として移管したり、ECサイトを活用して入荷時に自動連絡することで機会ロスを抑止する仕組み作りも大切です。

ファッション関連の商材であれば、実店舗の大きな利点としてフィッティングができることが挙げられます。さらに、ECサイトを活用することで実店舗での販売員による接客をより効果的にすることができます。

ECサイトから実店舗へ商品を受け取りに来訪したお客さまが会員であれば、過去の購入履歴や今回の購入目的の商品から、嗜好性をより的確に把握し、商品の受け渡しに留まらず、データを生かした精度の高い接客を通じて的確なアップセル/クロスセルが可能になります。

実店舗のカリスマ販売員は、お得意さまのクローゼットの中身が想像できるそうですが、ECサイトのデータを生かすことでカリスマ販売員ではなくても質の高い接客のできる可能性が広がります。

単に実店舗の顧客をECサイトに、ECサイトの顧客を店舗にという送客とは異なり、オムニチャネルの本質は、顧客の消費行動に即したタイムリーかつ質の高いタッチポイントを実現することにあります。そのため、チャネル間で一人の顧客を奪い合うものではなく、相乗効果を創出する取り組みとして全社の協力を得なが進められるかどうかが重要なカギを握るといえます。

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山田 大樹

w2ソリューション 代表取締役社長CEO

1978年東京生まれ。1997年上智大学入学と同時にフィアコミュニケーションズを設立。その後海外、国内に複数の会社・事業を立ち上げ経営に携わる。2005年、w2ソリューション株式会社を設立。「まじめに日本を考える」NPO法人78会 創設メンバー。EO Japan所属。趣味はマラソン、登山、ピアノ演奏、書道、語学。得意な国際感覚と突破力を武器に10年目を迎えるw2ソリューションは、「Be the World's No.1 e-Commerce Company」を目指し、その指揮をとる。

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