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Ⅱ-2. 商品・コンテンツ(情報、在庫)の「やらなくてはならないこと」

ここからは、ECビジネスで「やらなくてはならないこと」のなかから、「商品・コンテンツ」により近いファンクションを2回に分けて説明します。今回は、「マーチャンダイジング(MD)担当者」「MDカレンダー」「商品構成・カテゴリーミックス」「商品情報」を取り上げます。

  • ネット上のコンテンツ
  • サイトのつくり
  • コンタクトポイント

これら3つの要素を念頭に、ファンクションごとに「担当者に知っておいてもらいたいこと」を説明します。ECビジネスは、まだ、比較的新しいビジネスですので、役割が完全に分離していません。

ECに限らず、新規と呼ばれる段階では、全メンバーが他の役割の把握し、お互いの業務に踏み込みあい、仕事に線を引かないことが大切です。規模拡大後や慣れてから、少しずつ明確化していきます。

Ⅱ-2-1. MD担当者のファンクション

Ⅱ-2-1-1. ECにおけるMD担当者の役割

まず、EC部門でのMD担当者の役割は、「既存事業と同じ商品を売るのか」それとも「まったく別の商品を売るのか」で大きく違います。また、既存事業と同じ商品を販売するECの場合、仕入は既存部門に依頼していることも多く、既存部門との交渉により商品の掲載を可能にすることや、在庫確保が大きな役割になる場合もあります(その場合、EC部門のMDでは仕入や価格設定をしない場合も多いです)。

いずれにしても、どこの小売でも同じく、EC部門で仕入れようが仕入れまいが、最も大事なことは、仕入れ担当者(または、商品企画担当者)が、コンセプトにあったその商品を、「なぜ仕入れてきたか(企画したのか)」「誰(顧客)に向けての商品なのか」「なぜその顧客にあっていると考えているのか」「何がその商品の特徴・バリューなのか」「なぜその値段なのか」を、ECサイト上で正しく表現できるようにすることです。

それは、すなわち、「サイト上でちゃんと伝えるための情報・考えをまとめ、EC部門内のすべての人に伝える」ことです(制作担当者に伝える、商品説明に反映させる、どのカテゴリーに表示するかを決める、商品の効果的なコピーライティングにするといった業務もMD担当者の役割です。また、販売開始直後の売れ行き予測やシステムの準備、問い合わせに対するCSの準備のためにチームに周知することも必要です。物流は仕入れ計画の段階からの準備が必要となります。スペースをどのくらい必要とするか、温度管理等特別な保管方法が必要か、梱包はどうするか、売れ行きによる出荷のタイミングでのロケーション配置、人員の確保などがすべて影響してきます)。

仕入れた商品をECサイトで正しくコンセプトを表現するために必要なこと
商品のコンセプトは、ECサイト上で正しく表現することが大切

そして、どう売れたか、誰に売れたかをちゃんと把握して、仕入れを行う人、商品政策を行う人にちゃんと伝えること。双方向の情報のとりまとめ、ECサイトのコンセプト、そのコンセプト、ターゲットの中での位置づけを明確にすることです。

こういった意味では、MD担当者は、商品ごと、または、カテゴリー単位でのプロジェクトマネジャーやディレクターといってもよいでしょう。

MDは、ECサイト上のコンテンツの起点

広義のマーケティングの考え方では、MDもマーケティングの一部です。特に小売の場合はMDの考え方が非常に大きく、多くのマーケティングの役割をMDが果たします。これは、転職で小売に移ってきた人にはなかなかわかりにくく、もし、チームに小売外の出身者がいる場合は考慮してあげるとよいでしょう。

中心となる業務は、商品政策、商品企画、仕入、価格設定、商品の見せ方(VMD:ビジュアルマーチャンダイジング)、在庫管理ですが、その他、商品にかかわる多くを行います。また、商品だけでなく、コンテンツ、配送方法などの顧客サービスもマーチャンダイジングの役割とする企業もあります。

ECに限らず、会社によってMDの役割は大きく違います。筆者も中途採用者が多い会社にもいましたし、複数の小売企業で仕事をしましたが、出身会社での業務範囲の違いにびっくりしたものです。MD担当者の業務が、仕入れ(買い付け、調達)だけの会社もあれば、それこそ顧客分析から商品政策、プロモーション、担当カテゴリーのほぼすべての役割を行うところまでさまざまです。

ECにおけるMD担当者の役割について
ECにおけるMD担当者の役割は、買い付け以外にも広範囲に及ぶこともある

ECが小売である以上、当たり前なのですが、MDはECサイト上のコンテンツの起点となる役割です。また、既存事業からの出身者が多い役割でもあるので、EC部長としては、そのスキルを最大限に生かしながら、ECビジネスにうまく応用していきたいと考えます。

小売では、MD担当が強すぎて、他のファンクションへの配慮が足らない場合があります。店舗の場合は、最後は販売員さんという素晴らしい(言い方は悪いですが)インターフェース・ソフトウェアが吸収してくれますが、ECの場合は、システム(この意味では、登録、制作もシステムです)にすべて反映しなくてはなりませんので、準備不足がすべて、顧客の見えるところとなります。

EC部門内で、仕入れや商品開発を行うMD担当者もいるでしょう。基本は、実店舗などのMDと変わりありません。ただ、実店舗はすでに集客のある所に店舗を作る場合が多いため、集客をゼロから行って育てていくWEBサイトとは違うこと、また、特定の集客を前提に床面積で仕入れや売上計画を立てるが、ECでは床面積の概念がないこと等を認識してMD業務にあたってください。

Ⅱ-2-1-2. MDカレンダー

いろいろな要素を検討したうえで、EC部門の予算編成を終えたら(もちろんMDの要素を取り込んで作ってもらうのですが)、計画に合わせ、商品の売れ行きなどの要素を入れ、細かい販売計画、仕入計画、商品の展開計画を作ります。

この計画は、会社によって「MDカレンダー」「MDスケジュール」と呼ばれたりします。(実店舗ではMDカレンダーを作るのに、なぜかECになると作らない会社がありますが、ECも実店舗も同じです。

MDカレンダーには、売上予算や季節の要素、歳時記、サイトのプロモーション、キャンペーンイベントなどはもちろんのこと、既存ビジネスのイベントなどの要素を漏れなく記載します(マーケティングから考えるとマーケティングカレンダーです)。

年間のカレンダーを作り、3か月ごとの詳細な計画と、月次や週次のさらに詳細な計画を作って、マーケティングや制作をはじめとする部門内のすべてのチーム、メンバーに共有し、準備を始める起点とします。MD担当者もMDカレンダーに従って調達の準備をします。商品が決まれば、販売日、販売告知日、特別な告知、プロモーションをするか決定する。そして、商品登録を行うために必要な情報を入手します。

ECにとって、商品と商品情報はサイト上で最も大切なコンテンツです。これらの情報をスケジュールにあうように、また、正確に入手する必要があります。商品を登録しなければECサイトはオープンできません。また、既存事業の販売開始、価格、イベントなどと矛盾がないかなどを確認することも非常に大切です。

Ⅱ-2-1-3. 商品構成、カテゴリーミックス(カテゴリー構成、MDミックス)

複数の商品、複数のカテゴリーを扱うビジネスでは、商品構成やカテゴリーミックスをどうするか決めるのもMD担当者の重要な役割です。商品構成やカテゴリーミックスが実店舗とECで同じかというと、そうではない場合も多いので、ECのMD担当者の役割は大きくなります。

最初は既存ビジネスと同じ商品構成、カテゴリーミックスで始め、売れ行きを分析しながら調整していくといいかもしれません。また、実績に合わせる場合もありますが、望むカテゴリーミックスを徹底し、売り上げを獲得していく場合もあります。価格帯(プライスライン)もあわせて、全て商品政策でありMD担当の役割です。

Ⅱ-2-1-4. 商品マスター

これも会社によりますが、商品名の決定や、商品説明文の作成とそれに必要な情報の収集、ベンダーからの入手などもMD担当者が担うことが多いです。商品登録や商品マスターの全ての起点になります。ということは、すべてのECサイトの運用の起点になるということです。

商品マスターへの登録や作成を別チームが担うこともありますが、そのチームが勝手に商品の仕様や価格を決めるわけにはいきませんので、MD担当者の役割は重大です。また、起点ということは、EC部門の後のほぼすべての役割がMDの後工程ということになり、MDの仕事が遅れるということは、他のすべて作業に影響を与え、最終的には、「サイトへのアップ」⇒「顧客への提案」が遅れることになります

Ⅱ-2-1-5. 商品情報

商品情報に関してもMD担当者の役割が大きいと書きましたが、商品情報はサイトを訪れたユーザーのコンバージョン(購入)に働きかけるだけでなく、商品情報自体がサイト上のコンテンツとして、SEOに貢献します。わかりにくい内容は論外ですが、極論、商品に関する情報は多ければ多いほどよいのです。

検索エンジンは5000文字以上のページを上位表示させるという話もあります。実店頭では顧客に情報を与えすぎると迷わせてしまい購入の決定を妨げると言われていますが、Web上では、お客さまは自分のペースでじっくり情報を見ることができるので、ここもECと実店舗の違いの一つです。

ECにおけるMD担当者が果たすべき役割
MDカレンダーの作成、商品構成・カテゴリーミックスの検討、商品マスターの構築、商品情報(コンテンツ)の充実などにおいてもMD担当者が果たす役割は大きい
◇◇◇

次回はファンクションの説明の後半です。「どのカテゴリーにするか、どう誘導するか」「関連商品」「特集ページ」「販売時期」などを解説します。

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中島 郁

ネクトラス株式会社 代表取締役

中島 郁(なかしま かおる)

ネクトラス株式会社 代表取締役

新規事業立ち上げ、急成長事業マネジメントのプロフェッショナル。

ベンチャー、外資、老舗にて、事業立上げ、急成長ビジネスの責任者を歴任。関与分野は、小売、EC、インターネット、メディア、アウトソーシングを含むサービス業等。

トイザらスではマーケティング部門立上げ、EC専業法人設立。ジュピターショップチャンネル執行役員(EC、テレビ編成及びマーケティング)本部長を経て、世界最大のECサービス企業GSI Commerce(eBay Enterprise)アジア太平洋担当副社長兼日本法人社長。三越伊勢丹では役員兼WEB事業部長として、EC・情報メディア等の構築、オムニチャンネル導入を担当。米国Babson College MBA。

おそらく大規模EC・オムニチャンネル3社で事業責任者に携わった国内唯一の経験者。
ベンチャーから大企業までのコンサルティング、アドバイス、顧問、業務支援に携わっている。

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