配送オプションの充実がコンバージョンUPに役立つのはなぜ?ECユーザー3500人の見解
送料無料の配送サービスは重要ですが、地元の店舗やロッカーでの受け取りなど、利便性を求める消費者が増えています。配送メリットがあるロイヤルティプログラムは人気が高く、多くの事業者は配送オプションが顧客に与える影響について考えています。
「購入する」ボタンを押す決め手は多様な配送オプション
この記事を読んでいる読者の方なら、配送が果たす役割の重要性を十分理解されていることでしょう。MetaPack社(編注:配送関連サービスのベンダー企業)の調査では、配送オプションの有無が、チェックアウト画面で「購入する」ボタンを押すかどうかの決め手になっています。
ECで購入された商品の配送に関し、回答した消費者の半分(50%)が「配送オプションが気に入らなかったためカートを破棄(カゴ落ち)したことがあると回答しました。
現代の消費者たちは、どのチャネルでもイノベーションや卓越したサービスを求めており、どこで、いつ、どのように商品を受け取るかといったカスタマーエクスペリエンスを自らコントロールしたいと考えています。
配送は、配送方法の選択から、返品の利便性まで、購入プロセスのすべての段階に関わります。配送に対する期待に応えられなければ、消費者はすぐにそっぽを向いて、別のECサイトで購入することでしょう。
では、小売事業者やブランドはどのような配送オプションを提供すればいいのでしょうか? 消費者の視点から考えた、成功をもたらす方法を紹介します。
多様な配送オプションを提供するECサイトは支持される
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、イタリアで3,500人の消費者を対象に調査したところ、54%の回答者が買い物の決め手は配送だと答えました。また、60%は配送オプションが豊富かどうかで、どのオンライン通販サイトを利用するか決めると答えています。
オンラインショッピングをする消費者の間では、利便性がさらに重要になっています。調査対象者の82%は自宅への配送を望みましたが、店舗受け取り(44%)や、地元の指定場所や指定店での受け取り(39%)、職場への配送(19%)、ロッカー使用(11%)などのオプションも利用したいと答えています。
また、8%はコンシェルジュサービスを通じた配送を希望しました。配送オプションが多ければ多いほど、消費者に選ばれる可能性が高くなるのです。
送料無料は最も重要な要素
配送オプションのなかで送料無料は最も大切で、59%の回答者は送料無料サービスがあるかどうかで、そのECサイトで買うかどうかを決めると回答しました。さらに、28%は注文当日の配送に関しても送料無料を期待しています。
一方、3分の1(35%)の消費者は、利便性が高くてスピードが速い配送であれば、配送料金を支払ってもいいと考えています。また、約3分の2(59%)の消費者は、配送料(もしくは、配送スピード)が購入商品の金額によって異なることを理解しています。
パーソナライゼーションの重要性が増す
消費者の関心事は、無料配送と利便性だけではありません。パーソナライゼーションも重要度が増しています。消費者調査の対象者のうち15%が、購入するECサイトが利用者のプロフィールを理解し、お気に入りの配送オプションを提供してくれることを期待しています。
4分の1以上(29%)は、特定の住所ではなく、場所がどこであっても配送してくれることが最も重要だと答えています。
高い配送ロイヤルティプログラムのニーズ
調査対象者の79%が、利用するECサイトでの配送ロイヤルティプログラムの提供を望んでいます。よく使うECサイトでの、より速い、無料配送を期待しているのです。加えて、VIP会員向けの配送ロイヤルティプログラムがあれば、他のECサイトでの買い物が少なくなると86%が答えました。
エコに関心のある消費者の要望
多くの消費者がよりエシカル(環境や社会貢献)に興味を持ち、自分たちの買い物が社会に及ぼす影響について考えています。
4分の1以上(27%)が商品の配送よりも環境の方が心配と答え、71%はすべての購入商品をまとめて配送して欲しいと回答しています。商品の一括配送は、消費者に大いに歓迎されることでしょう。
消費者、そして自社の立ち位置の理解を
今後の展開を考える際、「購入前のお試し」の人気が高まっていることを念頭に置きましょう。調査対象者の57%が、購入前のお試しサービスを利用してみたいと答えています。
物流と返品の高速化を図りつつ、スケールしていきながら、この新しい流れに乗っていくことが大切です。
世界のマーケットシェア争いで、アマゾンやアリババといった巨大企業は常に新しく革新的な小売ビジネスを模索し、新たな市場に参入していきます。つまり、小売事業者やブランドにとって、新たな価値を生み出すことが難しくなっているのです。
さらに、消費者第一主義で考える場合、同じような考え方を持つサプライチェーンやオペレーションが必要になります。特定の商品、素早い配送、エコ要素、高い品質などにお金を払う消費者もいれば、とにかく安く買いたいだけの消費者もいます。顧客がどんなタイプで、自社がどこに位置するのかを理解する必要があります。
変化し続ける消費者の要望によって、配送も変わっていくでしょう。効率的に競争し、勝ち残るためには、現在、そして将来のニーズに応えなければいけません。利便性、コスト、そして消費者の要望を満たすオプションが必要なのです。