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国際物流の課題に取り組むために、EC企業は最新情報を収集しつつ、フレキシブルである必要があります。外部の国際物流企業とパートナーシップを結ぶことで、すばやく対応できるようになるでしょう。

海外の消費者にアプローチできれば、ビジネス拡大の機会が広がりますが、複雑な物流や返品などの課題に取り組まなくてはいけません。リサーチアナリストのステファニー・パンドルフ氏がBI Intelligenceの中で述べているように、先進国の市場はもうすぐ飽和状態になるため、新興市場はECの成長に不可欠になるでしょう。

今後5年間のアジア太平洋地域におけるEC市場の年平均成長率(編注:Business Insiderの記事を編集部がキャプチャし追加)
https://www.businessinsider.com/the-global-ecommerce-landscape-report-2018-3-20

この記事は、ビジネスの機会を海外に広げるという視点で書いています。正しいマインドセットと正しいツールを持ってすれば、国をまたいだeコマースの課題に圧倒されることなく、機会をうまく生かすことができるでしょう。

国際物流101

国際物流は、簡潔なセミナーにまとめられるほど易しいトピックではありません。多くの企業が国境を越えようとしないことを見れば明らかでしょう。

Payoneer社のリチャード・ギルバート氏によると、米国拠点のEC企業のうち、たった1%しか国際的にビジネスを展開していないのです。新しい市場に打って出たい米国のブランドにとっては、大きな機会ではないでしょうか? では、国際物流には何が必要なのでしょう?

基本的に、国際物流の課題は、国内物流とほぼ同じです。Manufacturing Globalのアンドレア・オルソン氏が言うように、予定通りの配送、返品率、日々の出荷数が国際配送でも重要です。しかし、国際配送となると、新たな課題も追加されます。

マリサ・サンフィリッポ氏が、Business News Dailyで考察していたように、ECの物流には3つの重要な要素があります。

  1. 正しいパッケージを選ぶ

    何百個もの注文を毎日処理するために、場所をとらないパッケージを考えましょう。

  2. 正しいベンダーを選ぶ

    こちらに関しては、次項で詳しく説明します。

  3. 正しいテクノロジーと分析方法を選ぶ

    Cerais社のAdam Robinson氏は、EC向けの物流ツールは、配送のトラッキングから、ERPシステムへのインターフェイス、物流情報システムの出発点としての役割を果たさなければいけないと述べています。

上記の要素に関して正しいアプローチをとれば、複雑な国際物流の問題も解決できるようになるでしょう。

国際配送と在庫保管

国際物流においても、アマゾンと同じような顧客満足度を目指すなら、EC企業はサプライチェーンを持たなければいけません。それには2つの選択肢があります。

1つ目の選択肢は、ただ単に品物を海外に発送する方法です。たとえば、カナダに本拠地を置くブランドがEUで販売するならば、モントリオールの倉庫からアムステルダムの顧客まで、倉庫から直接配送できますFitSmall Businessのクリスタ・ファブレガス氏が言うように、この方法なら準備コストはかからないものの、品物ごとに高い配送料がかかります。サプライチェーンも手薄になり、配送に余計な時間がかかるかもしれません。ですから、この選択肢が最善であることは滅多にありません。

2つ目の選択肢は、ビジネスを展開する場所で地元の倉庫を持つことです。そうすれば、倉庫から倉庫へ配送し、在庫を保管することができます。また、国境を越える際のコストも、事前に一括払いできるのです。

外部の物流会社やECソリューションを提供している企業とのパートナーシップに関しては次項で触れますが、そのようなパートナーシップを結べば、商品を彼らの倉庫で保管してもらうことができます。各国での手続きや管理をしなくても済むのです。

最終的に、自社にとってどんな物流戦略が必要なのかは、ビジネス上の決定になります。Strategy&社のリチャード・ヴォッケ氏や彼の部下が言うように、物流プロセスのなかに柔軟性を持つことが理想的な方法です。

国際物流の課題

ブランドにとって国際物流の大きな課題の1つは、海外発送にかかる費用です。

国際配送サービスBorderlinx社のセバスチャン・ドゥビソン氏は次のように言います

オンラインストアを海外の消費者にまで広げれば、すばらしい成長の機会が生まれるでしょう。しかし、新しい市場に打って出ても、本当の可能性を見つける前に、国内と同じような理由でなかなか前に進めない現実に直面します。

すなわち、物流や返品処理を今までと同じやり方でやっていると、利益よりもコストのほうが高くなってしまうのです。配送代と倉庫代が上がり、返品がより複雑になり、1商品ごとの利益が著しく下がります。

さらに、スタートアップのCloud Fulfillment社によると、企業はより多くの税関規定や偽物のリスクにさらされているそうです。

上記に対する回答は、下記の2つに分かれます。

  1. 信頼できる外部の物流会社を見つける

    パートナーシップを組むことで、コストが大幅に削減されるでしょう。物流プロセス全部を引き取ってもらってもらうことも可能ですし、特定のニーズにだけ対応してもらうこともできます(在庫管理や保管など)。「外部の物流会社と組むことで、サプライチェーンに大きな価値を提供することができるようになるでしょう」と、Inbound Logistics社のボブ・ファレル氏も言います。

  2. フルサービスのECソリューションを提供する企業と提携する

    こちらに関しては、追って詳しく説明します。

国際物流において重要なのは、サプライチェーンに目を配ることです。ブランドン・バーボルカ氏は「在庫の可視化は国内のオペレーションではすでに重要になっていますが、越境ECには特に大切です。なぜなら、SKUが急激に伸びるからです」とブログに書いています。

また、MultiChannel Merchan社のロリ・ミッチェル・ケラー氏も、国際物流の可視化は、顧客の好みの違いや地理的な問題もあって、国内物流よりも難しいと言います。

サプライチェーンでのコラボレーションやインテグレーションでは、ベンダーも管理者もお互いに情報を共有できなくてはいけません。きちんと共有された課題に関してソリューションを見つけることは、国際物流を成功に導くための第一歩なのです。

この点において、アマゾンは絶対ではありません。「すべての情報が成長のためには必要で、発展するためにフレキシブルでなくてはいけません」と、Logistics Management社のエディター、パトリック・バーンソン氏は言います。言い換えれば、国際物流のニーズにすばやく応えてくれるベンダーであれば、EC企業はどんな物流ベンダーを選んでもいいのです。

効率的な国際物流を始めるには

物流管理に関するライター、マイケル・レヴァンス氏は、国際物流においては常に不確定要素があると言います。しかしながら、対応ができないほどの問題ではありません。上記で述べてきた国際物流の課題を解決するには、物流に対するアプローチの仕方を変える必要があります。

国際物流やリバースロジスティクス(還元物流)の複雑さを管理するポイントは、信頼できるパートナーを見つけることです。外部の物流パートナーでも、ECソリューションに関わるすべてを提供する会社でも(上記で説明した通りです)、複雑な課題に効率的に対応できるパートナーが必要なのです。

Global Trade Magazineは、2018年版「国際物流プランニングガイド」のなかで、「小売事業者も製造業社も、物流業界が今までは不可能だと思われていたことを実現してくれると期待しています」と書いています。Inbound Logistics社のスタッフも、物流ソリューションを導入して、サービスを劣化させることなくビジネスを行うことが重要だと述べています。

正しいパートナー企業を選べば、顧客を最優先に置きながら、トレンドに遅れることなく、新たな機会をつかむことも可能です。物流ライターのロバート・エベレット氏も、「効率的な物流の目的は、オペレーションの効率化、顧客満足度の確保、生産性の向上です」と述べています。

国際物流の課題に取り組むには、EC企業は最新情報を収集しつつ、フレキシブルである必要があります。外部企業とパートナーシップを組めば、すばやく対応できるようになるでしょう。

物流の課題解決の重要性は、強調しすぎることはありません。ServiceNow社のシニアプロダクトマネージャーであるラフル・チャタジー氏も「越境ECのハードルを解決しようと積極的に取り組むオンライン事業者は、グローバル市場で有利になることは間違いない」と述べています。

シームレスな配送は最も気にすべき顧客体験

どんなビジネスの課題にも当てはまりますが、物流問題を解決する際も、一番に気にするべきはカスタマーエクスペリエンスです。

サプライチェーンが国をまたぐようになると、配送時間も長くなり、顧客をイライラさせることになります。さらに、変動のある配送コストのせいで、顧客が支払う金額にも影響を及ぼすことがあるでしょう。追加で支払いを要求された顧客は、特に腹をたてるでしょう。チェックアウトプロセスの最終段階で金額が増えていると、カート破棄率も上がります。

ですから、フルサービスを提供できるパートナーが必要なのです。サプライチェーンを1つずつ組み立てていくことも可能でしょうが、その必要はないのです。パートナー企業がすでに重要な要素を押さえているからです。

自社で物流を組み立てると、不必要な混乱を顧客に与えかねません。それではビジネスに深刻な影響が出ます。そうではなく、まずは顧客を第一に考え、発注から配送までスムーズに行えるプロセスを作ることを考えるのが大切です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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