瀧川 正実 2019/11/12 13:00
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冬の寒さが近づいてきた11月上旬。三陽商会の自社ECサイト「SANYO iStore」で長袖シャツを探し、Amazon.co.jpのアカウントで決済できる「Amazon Pay」で購入。後日、商品が届くのを待っていると、「Amazon Echo Dot」のランプが点滅している。「ん、なんだ?」。「アレクサ、通知は何?」と話しかけるとこう返ってきた。「SANYO iStoreから商品が発送されました」。音声で配送状況を教えてくれるなんて、なんて便利な時代になったんだ――。

配送状況の音声通知を三陽商会、ドスパラ、ビジョンが先行導入

「アレクサ、通知を読んで」
「Alexa(アレクサ)」に「通知を読んで」と声をかけると、
「Amazon Payから通知があります。SANYO iStoreから商品が配送中です。」
三陽商会の運営するECサイト「SANYO iStore」から商品が配送されたことのお知らせが音声で届いた

「Amazon Pay」を使って自社ECサイトで商品を購入すると、商品の配送状況を音声で通知するこの機能は「Alexa Delivery Notifications」と呼ばれ、米国で2019年5月にスタート。日本では「Amazon Alexa配送通知機能」と呼ばれている。

購入した商品の配送状況を音声で通知する取り組みは日本の「Amazon.co.jp」でも2019年夏頃からスタート。Amazonのクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」搭載のスマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」を始めとしたAlexa搭載デバイスを通じ、Amazonの顧客に音声を使った配送状況の通知を行っている

三陽商会は自社ECサイトでの商品購入後に音声で配送状況を通知できる「Alexa配送通知機能」を、「SANYO iStore」へ先行して実装。「Amazon Alexa」搭載のデバイスを持ち、「Amazon Pay」で買い物した「SANYO iStore」ユーザーへの音声による配送状況の通知を11月からスタートしたのだ。

この仕組みを先行して導入したサイトは他にもある。PCなどを販売するドスパラの自社ECサイト、「グローバルWiFi」を展開するビジョン。これらの有名企業が導入した「Alexa配送通知機能」は、消費者に対してどんな価値を提供するのだろうか。

「Alexa配送通知機能」を使用した配送通知の動画イメージ

「Alexa配送通知機能」が消費者に提供する価値

現在、Amazon Echoシリーズから音声で通知する「Amazon Pay」で買い物した商品の配送関連情報は次の通り。

  • 配送中になった際の通知
  • 配送済みになった際の通知

スマートフォンのAlexaアプリから通知機能をオンにしておくと、「Amazon Pay」を通じた配送通知が届いた場合に、スクリーン付きのEchoシリーズであればスクリーン上部に通知バナーが表示され、スクリーン付きでなければライトインジゲーターが点滅。「アレクサ、通知は何?」と話しかけると配送状況をAlexaが音声で教えてくれる。

黄色に点滅するアレクサ
配送通知が届くとライトが黄色に点滅する

消費者のネット上での商品購入チャネルはパソコンから始まり、現在はスマートフォンに移行。今後は音声が台頭するという声もある。もちろん、今後、どれか1つの方法で商品を購入するというわけではない。場所、時間、さまざまな状況に応じて多様な商品購入方法が選べるようになり、その流れは今後、さらに加速すると考えられる。それに合わせて、商品の配送状況も多様な方法で通知を受けたいという消費者は増えると予測される

事実、Amazonがフランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国の1万297人の消費者を対象に実施した「Amazon Pay Connected Commerce Survey」によると、今後3年以内に音声サービスを利用して配送状況を確認したいといった意向を示した回答者の割合は43%にのぼったという。

「Alexa配送通知機能」を導入した狙い

「Alexa配送通知機能」を先行導入した企業はどのような狙いで音声通知機能を取り入れたのか。三陽商会、ビジョンが編集部の質問に回答してくれた。

三陽商会が「Alexa配送通知機能」を導入した理由

「Alexa搭載デバイス」などの家庭用スマートデバイスの普及によって、天気やニュースなどの生活に必要な情報収集方法の変化が起きていると感じていました。「SANYO iStore」ではメール配信での配送通知を行っていますが、お客さまがメールアプリを立ち上げるタイミング次第で多くのメールに配送通知メールが埋もれてしまうなど、確実にお届けしたい情報が埋もれてしまっているのではないかと懸念していました。

「Alexa」を活用した新たな通知手段である“音声での配送通知”を使うことで、料理中で手が離せない方、育児で目が離せない方へも必要な情報を届けることができます。私たちはECサイトでお買い物する場面だけでなく、お届けに至るまでの利便性向上を目的として実装を決定しました

「SANYO iStore」の買い物カゴ
「SANYO iStore」の買い物カゴ(画像は編集部がキャプチャ)

ビジョンが「Alexa配送通知機能」を導入した理由

「グローバルWiFi」のレンタル顧客のうち90%以上は空港カウンター受取を利用されますが、出張利用や代理申込などの理由から宅配受取を希望される顧客も多数いらっしゃいます。出荷完了時にメールでの配送通知は行っていますが、配送状況についてのお問い合わせがコールセンターに入ることも多く、通知方法に課題を感じていました

そんな折、「Alexa」を活用した音声通知のご紹介をいただき、メールと合わせて音声でも配送状況の通知ができれば、旅行準備で多忙なお客さまの不安解消と満足度向上につながると思い実装を決定しました

「グローバルWiFi」のレンタル利用サイト
「グローバルWiFi」のレンタル利用サイト(画像は編集部がキャプチャ)

2社に共通する導入理由は、商品のお届けに関する体験の向上配送状況についても積極的なコミュニケーションを消費者と交わすことで、消費者の不満や不安を解消。最終的には顧客ロイヤリティ、ブランドロイヤリティの向上につなげようとしているのだ。

2015年に国土交通省が発表した「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会 報告書」において、再配達問題に関する次のような記述がある。

配達が来ることを知らなかった、といった再配達が発生した原因のアンケートの回答結果が多く見られたことは、まさに具体的な配達スケジュールに係る宅配事業者等から消費者への通知について、消費者のニーズに充分応えられていないことを証明している。

メッセンジャーアプリなどのコミュニケーションが普及し、情報の伝達・受取は多様化。メールを開封しないユーザーも増えている。確実に情報を届ける方法として、音声による通知ニーズは今後、高まる可能性を秘めている

「Alexa配送通知機能」を導入するにはどうすればいい? 工数は?

「Alexa配送通知機能」の導入には、自社ECサイトの決済手段として「Amazon Pay」を導入することが必要。「Amazon Pay」が提供するAPI「Amazon Pay Delivery Tracker API」を使用することで、Alexaを通じて「Amazon Pay」での購入者に配送状況を通知する仕組みとなっている

実装の工数・負荷について、三陽商会とビジョンに聞いたところ、「事前にAmazonが用意した仕様書とAPIを利用することで、ECサイト側は容易に実装することができた」(三陽商会)。「仕様書の確認から実装作業、テストまでおおよそ25時間前後だった」(ビジョン)。

三陽商会とビジョンでは、想定よりも工数・負荷があまりかからなかったようだ。Amazon Alexa搭載のデバイスが音声で配送状況を通知するAlexaスキルをゼロから開発するには、自社で開発者を抱え、かつAmazonのテクノロジーに対応できる開発スキルが求められる。

今回の取り組みは、「Amazon Pay」が提供する「Amazon Pay Delivery Tracker API」を使用するので、「Amazon Pay」導入企業であれば開発の工数・負荷をかけずに配送状況を音声で通知させることが可能になる

なお、日本の「Amazon Pay」では、APIに関する情報を公開。EC事業者に加え、数多くのEC企業を抱えるECプラットフォーム側でも実装できる環境が整っている。

「Alexa Delivery Notifications」
米国では5月から「Alexa Delivery Notifications」がスタートしている(画像は編集部が「Amazon.com」からキャプチャ)

「Alexa配送通知機能」実装に必要な「Amazon Pay」とは

Amazonが日本で「Amazon Pay」の提供を開始したのは2015年5月(当時の名称は「Amazon ログイン&ペイメント」)。2020年5月にリリース5周年を迎る中、現在、導入事業者数は1万社を超えている

「Amazon Pay」はログインと決済の機能を備えており、顧客が初めて利用するECサイトにAmazonアカウントでログインすれば、クレジットカードカード番号や住所などを入力することなく決済でき、商品を受け取ることができるのが特長。そのため、入力画面でユーザーが離脱することがなく、顧客が同意すればAmazonアカウントに登録されている情報を活用した新規会員登録の促進も期待できる決済サービスだ。

「Amazon Pay」を導入しているECサイトでは未導入サイトに比べ、新規会員登録率が高いことを示すデータもある

多くのECサイトで導入が進んでいる「Amazon Pay」は、自社ECサイトの音声ショッピングへの対応支援も進めている。2018年、「Alexa」搭載デバイスで音声による注文を可能にする「Amazon Payに対応したAlexaスキル」が利用可能となった。自宅で家事や朝の身支度をしながら、Alexaデバイスを通じて音声で注文するといった買い物体験を提供している。

編集長の体験記

「SANYO iStore」で購入したシャツは無事届きました。普段、個人のメールアドレスをほぼ開かないため、これまで配送通知を見ることはほとんどありませんでした。今回、「Alexa」による配送状況の確認という体験を通じて、ECサイト側と消費者における配送状況に関するコミュニケーションの重要性を感じることができました。

また、「Amazon Pay」は「買い物体験」を向上させる決済サービスへの進化を遂げていることも実感。2019年10月には配送先情報やクレジットカード情報の入力フォームで表示されるポップアップウィンドウやチャット内などで、Amazon.co.jpのアカウントを使って簡単にログイン・支払いができることを提案するWeb接客型の機能の提供を開始しました。そして今回、音声を使った配送状況の通知機能です。決済サービスでありながら、配送通知機能を付加することで顧客の買い物体験のさらなる向上にアプローチしようとしています

「Amazon Pay」は「買いやすさ」といった利便性以外にも、多くの付加価値を消費者に提供し買い物体験を向上させるサービスへと進化を遂げています。(編集長 瀧川正実)

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